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訪問営業 2026.10.13 公開 読了 22分

飛び込み営業のリストの作り方:法人を地域で絞って回る順番まで

飛び込み営業や訪問営業では、電話やフォームでの営業と違って、リストの1行ごとに実際に足を運ぶ時間がかかります。会社名と電話番号がそろっていても、訪ね先が地図の上でばらばらに散らばっていたり、訪ねてみたら別の会社の事務所に変わっていたりすると、1日歩き回っても話ができた会社はわずか、ということになりかねません。本記事では、法人向けの飛び込み営業のリストを、回る地域の決め方、市区町村で会社を集める方法、住所を地図に落として回る順番を決める手順、訪問前の下調べと訪問後の記録の列、受付でのマナーの順に整理します。あわせて、消費者の自宅を訪ねる「訪問販売」に関わる特定商取引法のきまりと、法人あての訪問との違いも、消費者庁の資料をもとに確かめます。

オフィス街を歩くビジネスパーソンと、地図の上に立てた訪問先のピンを道順でつないだイメージ

この記事の3つの要点

  • 1

    飛び込み営業のリストは、会社の一覧に「どこを、どの順番で回るか」を書き足したものです。先に回る地域を決め、市区町村や町名の単位で会社を集め、住所を地図に落としてブロックごとの道順を決めると、移動に取られる時間を減らし、その分を訪問に使えます。

  • 2

    訪問の前には事業内容・受付の形・「営業お断り」の表示の有無を、訪問の後には対応した人・結果・次の行動を列に残します。受付で名乗りと用件をはっきり伝え、断られたらその場で引き上げて記録することが、長く続けられる訪問営業の土台になります。

  • 3

    特定商取引法の「訪問販売」のきまりは消費者との取引を主な対象とし、営業のための契約は適用除外とされています。ただし消費者庁と経済産業省の通達は、相手が事業者や法人であることだけで一律に除外されるわけではないとしており、個人で営むお店などを回るときは注意が要ります。

1 飛び込み営業のリストはテレアポのリストと何が違うか

「飛び込み営業 リスト」と調べると、テレアポや営業リスト全般の作り方が多く見つかります。けれども、足で回る営業には、電話の営業にはない事情がいくつかあります。1件ごとに移動の時間がかかること、訪ねた先に人がいる時間でなければ話ができないこと、そして住所が正しくなければ会社にたどり着けないことです。リストの作り方も、この3つの事情に合わせて変える必要があります。

項目テレアポのリスト飛び込み営業のリスト
並べる順番優先度や業種の順地域と道順の順(同じ地域の中で優先度を付ける)
欠かせない情報会社名・電話番号・業種会社名・住所(番地、ビル名、階まで)・業種・事業内容
1件にかかる時間電話をかけて話す時間移動の時間と、受付や担当の方と話す時間
先に確かめること営業時間、過去に断られていないか今もその住所で仕事をしているか、受付の形、営業お断りの表示、訪ねやすい時間帯
残す記録かけた日時、つながったか、かけ直す時期訪ねた日時、対応した人、結果、次に訪ねる日と持ち物

なかでも大きく違うのは、並べる順番です。テレアポなら優先度の高い会社から順にかければよいのですが、訪問では優先度の高い会社が地図の端と端にあると、移動だけで時間が過ぎてしまいます。飛び込み営業のリストは「会社の一覧」に「どこを、どの順番で回るか」を書き足したもの、と考えると作りやすくなります。営業リストそのものの作り方の全体像は、営業屋のコラム営業リストの作り方完全版|無料〜有料・精度を上げる方法【2026】で、電話で営業するときのリストの作り方はテレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点で詳しく扱っています。

2 回る地域の決め方

リスト作りの最初の一歩は、会社を集めることではなく、回る地域を決めることです。地域を決めないまま都道府県全体の会社を集めると、件数は多くても、1日で回れる範囲に何社あるのかが分からず、結局は地図を見ながら選び直すことになります。次の4つの順で考えると、地域を決めやすくなります。

拠点からの動き方で範囲を決める

まず、自社の事務所から、移動に無理のない範囲を決めます。電車で回るなら駅を中心に、車で回るなら駐車場を確保しやすい地域を中心に考えます。移動の手段によって回りやすい地域の形が変わるため、地図の上の距離だけで線を引くより、「乗り換えなしで行ける駅の周り」「駐車場を探しやすい幹線道路沿い」のように、実際の動き方で範囲を決めておくと、当日に迷いません。

商材に合う会社が集まっている場所を選ぶ

次に、その範囲の中で、商材に合う会社がまとまっている場所を探します。たとえば、製造業向けの商材なら工業団地や工場が並ぶ地域、事務所向けの商材ならオフィス街、店舗向けの商材なら商店街や駅前の通り、といった具合です。同じ業種が集まる地域を選べば、1日に訪ねられる見込み先が増えるうえ、会話の中で地域の話題も使いやすくなります。建設業や不動産業のように業種ごとにリスト作りの勘所がある場合は、建設業界の営業リスト完全ガイド:ゼネコン・工務店・設備会社を効率的に開拓や不動産業界の営業リスト作成ガイド:仲介・管理・デベロッパーへのアプローチも参考になります。

今の取引先の近くから始める

すでに取引先がある地域から始めるのも、よい選び方です。取引先への定期の訪問と組み合わせれば移動を無駄にせずに済みますし、近くの会社にとっても、近所の会社と取引があることは話を聞くきっかけになりえます。ただし、取引先の名前を話に出すのは、取引先の了承を得てからにしましょう。

地域を1日で回れるブロックに分ける

範囲が決まったら、その中を1日、あるいは半日で回れる大きさのブロックに分けます。駅の出口ごと、大きな道路で区切られた区画ごと、町名ごとなどが分けやすい単位です。ブロックに名前を付けておけば、あとで作るリストに「ブロック」の列を設けて、曜日や日付ごとの訪問の予定を立てやすくなります。何社を1ブロックにするかは、商材や1件あたりの話の長さ、移動の手段によって変わるので、最初の数日は少なめに組み、実際に回った時間を見ながら大きさを直していくと無理がありません。

3 市区町村で会社を集める

回る地域が決まったら、その地域にある会社を集めます。飛び込み営業のリストで集める単位になるのは、都道府県よりも細かい市区町村や町名です。ここでは、無料で使える公開データ、企業データベース、地図サービスの3つの使い方を整理します。

国税庁「法人番号公表サイト」の都道府県別のデータを市区町村で絞る

国税庁の法人番号公表サイトでは、法人番号を指定した法人等の基本3情報、つまり商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号が公表されています。ダウンロードのページでは、前月末時点で公表している法人等の最新情報を、全国分または都道府県・国外の単位ごとに、CSV形式やXML形式で取り寄せられます。回る地域の都道府県のデータを表計算ソフトで開き、所在地の列で市区町村や町名を絞り込めば、その地域にある法人の一覧の土台ができます。

ただし、公表される基本3情報には電話番号や業種は含まれていません。何をしている会社なのかは、各社のホームページなどで1社ずつ確かめる必要があり、件数が多いと調べものに時間がかかります。また、公表される所在地は本店または主たる事務所の所在地なので、登記上の本店と実際に仕事をしている事務所が違う会社や、支店・営業所の場所は、この一覧だけでは分かりません。訪問の前に、ホームページの会社概要や事業所の案内で、実際に人がいる場所を確かめておきましょう。無料で使えるそのほかの集め方は、営業屋のコラム営業リストを無料で作る方法|企業リストの集め方7選と注意点でまとめています。

企業データベースで市区町村と業種を組み合わせる

企業データベースを使う場合は、市区町村と業種を組み合わせて絞り込めるかを確かめます。両方を組み合わせて絞れれば、「この区にある、この業種の会社」という訪問の候補がまとめて手に入り、業種を1社ずつ調べる手間を減らせます。あわせて、所在地がどこまで細かく入っているか(番地やビル名、階まで入っているか)と、情報がいつ時点のものかも見ておきましょう。番地が抜けていると地図に落とせず、ビル名や階が抜けていると、大きなビルの前で訪ね先を探し回ることになります。営業屋のリスジェネでの絞り込み方は、第9章で紹介します。

地図サービスは確かめに使い、一覧の写し取りには使わない

地図アプリで地名と業種を入れて検索すれば、近くの会社や店舗がたくさん表示されます。けれども、地図サービスの画面から会社名や住所をまとめて写し取ってリストにする使い方は、利用規約に反するおそれがあります。たとえば「Google マップ エンドユーザー向けの追加利用規約」(最終更新日 2025年6月4日)は、許可されている場合などを除いてコンテンツをコピーすることや、コンテンツを大量にダウンロードすること、Google マップに代わる、または実質的に類似するサービスで使う目的で、ビジネスリスティングのデータベースやテレマーケティングリストなどのデータセットを作成または補強することを、禁止する行為として挙げています。地図サービスは、集めた会社の場所や建物の入口、近くの駐車場を確かめるといった、1社ずつの確認の参考にとどめるのが無難です。

会社を集めたら、地図に落とす前に確かめること

  • 住所に番地まで入っているか。ビル名と階が分かるか
  • 本店の所在地と、実際に人がいる事務所や店舗の場所が同じか
  • 同じ会社が、表記の違いで2行に分かれていないか
  • ホームページに「営業お断り」の表示がないか

4 回る順番の決め方:住所を地図に落とす

会社が集まったら、住所を地図に落として回る順番を決めます。表の上で住所を眺めているだけでは、どの会社とどの会社が近いのかは分かりにくいものです。地図に点として並べると、会社が固まっている場所や、離れていて後回しにしたほうがよい会社がひと目で分かり、第2章で決めたブロックの線引きが合っているかも確かめられます。

住所の表記をそろえてから地図に落とす

地図に落とす前に、住所の列を整えます。「1丁目2番3号」と「1-2-3」が混ざっている、ビル名や階が別の列に分かれている、全角と半角が混ざっている、といった表記の揺れがあると、地図にうまく置けなかったり、同じ会社が2回出てきたりします。番地までの住所と、ビル名・階を別の列に分けておくと、地図には番地までの住所を使い、訪問のときにはビル名と階を見る、という使い分けができます。生成AIに表記をそろえてもらうときの頼み方の例は、AIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで紹介しています。

地図サービスに一覧を取り込む

住所の列が整ったら、地図サービスに一覧を取り込みます。たとえばGoogleのマイマップは、ヘルプ「地図上の対象物をファイルからインポートする」によると、CSV、TSV、KML、KMZ、GPX、XLSX、Google スプレッドシートなどの形式のファイルを読み込め、緯度と経度、住所、場所の名前などの列を使って地図に目印を置けます。同じヘルプは、行数が2,000を超えるファイルはインポートしないよう案内しているので、件数が多いときは地域やブロックごとにファイルを分けておきます。取り込むのは自社で集めた一覧なので、前の章で触れた地図の画面からの写し取りとは別の話ですが、担当者の氏名など個人の情報は取り込む列から外し、地図を共有する範囲も社内の必要な人に限っておきましょう。

ブロックごとに戻りの少ない道順を決める

地図に点が並んだら、ブロックごとに道順を考えます。駅や駐車場を出発点にして、ぐるりと回って出発点に戻ってくる輪の形にすると、行きと帰りで同じ道を歩くことが減ります。点の色で優先度を表しておくと、時間が足りなくなったときにどこを残すかも判断しやすくなります。決めた順番は、リストに「訪問順」の列を設けて番号で書き込んでおきます。

回る地域をいくつかのブロックに分け、ブロックごとに駅や駐車場から出発して訪問先を順に回って戻る道順と、下調べのチェックリストと一覧表を表したイメージ

ルート検索で移動の時間を確かめる

道順の見当がついたら、地図アプリのルート検索で実際の移動の時間を確かめます。Google マップのヘルプ「Google マップでルートを検索して表示する」によると、公共交通機関と飛行機以外のすべての移動手段で複数の目的地へのルートを検索でき、経由地は最終目的地を含めて9か所まで追加できます。一方で、公共交通機関や飛行機のルート検索では、複数の目的地や地点は指定できないとされています。電車で回る場合は、駅と駅の間は乗換案内で調べ、駅から先の徒歩の区間で経由地を使う、というように分けて確かめるとよいでしょう。

時間帯と優先度で順番を入れ替える

地図の上で最短の順番が、そのまま一番よい順番とは限りません。飲食店なら仕込みや混み合う時間、工場なら交代や休憩の時間、というように、業種によって訪ねやすい時間帯は変わります。受付が開いている時間に合わせて午前と午後に回るブロックを入れ替えたり、優先度の高い会社を相手の都合のよい時間に合わせて先に入れたりして、最後は人の目で順番を整えます。

回る順番は、1回決めたら終わりではありません。実際に回ってみて「このブロックは予定より早く終わった」「この時間は不在が多かった」と分かったら、次の週のブロックの大きさや順番に反映させていきます。第6章の訪問の記録が、そのための材料になります。

5 訪問前の下調べの列

飛び込み営業では、訪問の前に調べておくことが電話の営業よりも多くなります。相手の会社の前に立ってから「何をしている会社だろう」と考えても間に合わないからです。中小機構が運営するJ-Net21のビジネスQ&A「新規ターゲット顧客企業リストの作り方を知りたい。」でも、リストに社名しかない場合はホームページで事業内容を確かめることで、販売のターゲットになる会社かどうかを早い段階で判断できることや、組織図や事業所の案内が、狙う部門を見つけたり商談の話題を作ったりするのに役立つことが説明されています。このQ&Aは電話営業を前提にしたものですが、考え方は訪問営業にもそのまま当てはまります。

列書く内容何に使うか
ブロック・訪問順第2章で決めたブロックと、第4章で決めた順番日ごとの予定を立てる
会社名・法人番号正式な会社名と法人番号同じ会社の重複を防ぐ、実在を確かめる
住所番地まで(ビル名・階は別の列)地図に落とす、迷わずにたどり着く
最寄り駅・駐車場使う駅の出口や、近くの駐車場移動の計画を立てる
事業内容の要約ホームページで確かめた事業の内容話の切り出し、商材との接点を考える
受付の形受付の方がいる・内線電話だけ・ビルの入館受付がある など訪ね方と持ち物を決める
営業お断りの表示ホームページや問い合わせ窓口に「営業お断り」の表示があるか対象から外す
訪ねやすい時間帯営業時間・定休日、避けたほうがよい時間順番を入れ替える
話のきっかけ新しい拠点、採用の募集、新しいサービスなど最近の出来事用件を短く伝える
優先度A・B・Cなどの区分時間が足りないときに残す会社を決める

列を増やしすぎると下調べだけで日が暮れてしまうので、最初は「住所・事業内容の要約・受付の形・営業お断りの表示・優先度」の5つから始め、回りながら必要な列を足していくのがおすすめです。下調べの段階で「営業お断り」の表示が見つかった会社は、リストから消さずに「訪問しない」と理由を記録しておくと、別の人がリストを作り直したときにも同じ会社を訪ねずに済みます。

下調べに使える情報源

  • 各社の公式ホームページ:会社概要(所在地・事業所の一覧)、事業内容、お知らせ、採用情報
  • 国税庁の法人番号公表サイト:正式な商号と本店の所在地、名称や所在地の変更の履歴
  • 地図サービス:建物の場所や入口、近くの駐車場(1社ずつ確かめる参考として見るだけにとどめる)
  • 自社の過去の記録:以前に訪ねたことがあるか、断られていないか、電話やメールで連絡したことがあるか

6 訪問の記録の付け方

飛び込み営業では、1回の訪問で商談まで進むことばかりではありません。受付で資料を渡しただけで終わることも、担当の方が不在で出直すこともあります。だからこそ、訪問のたびに何があったかを記録し、次にいつ、何を持って訪ねるかを決めておくことが、リストを育てていくうえで欠かせません。前の章で紹介したJ-Net21の同じQ&Aも、電話をかけた日時やつながったかどうか、再びかけるタイミング、分かった部署名・担当者名・商談の進み具合などを記録しておくことで、計画的に営業でき、顧客の情報も蓄積できると説明しています。訪問営業でも、記録すべきことの骨組みは同じです。

列書く内容の例
訪問日時何日の何時ごろに訪ねたか
対応した人受付の方、担当の部署や役職(名刺をいただいた場合)
結果不在/受付で資料を渡した/担当の方と話せた/次の約束ができた/お断り
分かったこと担当の部署、今使っている商品やサービス、困りごと、決める立場の人
次の行動と期日いつごろ、何を持って、誰を訪ねるか。電話や資料の送付に切り替えるか
お断りの記録営業お断りと言われた日と、その内容

「結果」の列は、自由に文章で書くより、あらかじめ決めた区分から選ぶ形にしておくと、あとで数えたり並べ替えたりしやすくなります。どの地域、どの時間帯に担当の方と話せることが多かったかが分かれば、次の地域を決めるときや順番を組み直すときの手がかりになります。また、訪問の記録と下調べの列を同じ表にまとめておくと、次に同じブロックを回る人がそのまま引き継げます。

名刺の情報は個人情報として扱う

訪問の記録には、名刺でいただいた担当者の氏名や連絡先が入ることがあります。個人情報保護委員会の「よくある質問(個人向け)」Q1-1は、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の情報であっても、法人の役員等の氏名等の情報は個人情報に含まれると説明しています。担当者の氏名も特定の個人が分かる情報ですから、記録の表は社内の決まった人だけが見られる場所に置き、何のために使うのかを社内で決めて、その範囲で使うようにしましょう。

7 アポなし訪問のマナー:受付・営業お断りの表示・時間帯

約束をせずに訪ねる以上、相手にとっては予定にない来客です。相手の仕事の手を止めていることを前提に、短く、分かりやすく、引き際をわきまえて訪ねることが、自社の評判を守り、次の機会につなげることにもなります。

受付では名乗りと用件を先に伝える

受付では、最初に会社名と自分の名前、営業の用件でうかがったことを伝えます。用件をぼかして取り次いでもらおうとすると、話を聞いてもらえたとしても信頼を損ねます。「〇〇のご案内でうかがいました。ご担当の方がいらっしゃれば、少しだけお時間をいただけないでしょうか。難しければ資料だけお渡しできれば幸いです」のように、相手が選びやすい形で伝えると、受付の方も判断しやすくなります。名刺と、1枚で要点が分かる資料を用意しておきましょう。

「営業お断り」「セールスお断り」の表示があれば入らない

入口やビルの案内板に「営業・セールスお断り」といった表示がある会社には、訪ねないのが基本です。オフィスビルでは、ビルの管理のきまりとして入館の受付や訪問先の許可を求めていることもあるので、そのきまりに従います。表示を見落として訪ねてしまった場合や、受付で「営業はお断りしています」と言われた場合は、おわびしてその場で引き上げ、リストに記録します。刑法第130条は、正当な理由がないのに人の看守する建造物などに侵入することや、要求を受けたにもかかわらずその場所から退去しないことを罪として定めています。帰るよう求められたら、話の途中でもすぐに引き上げましょう。

訪ねる時間帯に気を配る

相手が忙しい時間帯を避けるのも、大切なマナーです。始業してすぐや昼休み、終業の間際は、受付の方も担当の方も手が離せないことが少なくありません。飲食店なら仕込みや混み合う時間、小売店なら開店の直後や混雑する時間、工場なら交代や休憩の時間など、業種ごとの事情も考えます。第5章の下調べの列に「訪ねやすい時間帯」を入れておくのは、このためです。

身だしなみと持ち物、車の停め方にも気を配る

清潔な身だしなみと、名刺、会社案内や商材の資料を用意します。車で回るときは近くの駐車場に停め、訪問先の敷地や店の前に無断で停めないようにします。訪問先だけでなく、近所の方や同じビルに入っている会社にとっても、営業担当者の振る舞いはそのまま自社の印象として残ります。

断られた会社には重ねて訪ねない

一度断られた会社を、日を変えて何度も訪ねたり、電話やメールで重ねて連絡したりすると、相手の迷惑になるだけでなく、自社の評判にも関わります。訪問の記録の「お断りの記録」を社内で共有し、電話や問い合わせフォームなど他の手段でも連絡しないようにしておきましょう。

  • 1
    入口に「営業お断り」の表示がないかを見る
    表示があれば訪ねずに、リストに記録して次へ進みます。
  • 2
    会社名・名前・営業の用件を最初に伝える
    用件をぼかさず、話を聞くか、資料だけ受け取るかを相手が選べるようにします。
  • 3
    短く話し、断られたらすぐに引き上げる
    帰るよう求められたら、話の途中でもおわびして退出します。
  • 4
    その場を離れたらすぐに記録する
    対応した人、結果、次の行動、お断りの有無を、忘れないうちにリストに書き込みます。

8 法人あての訪問と、消費者あての「訪問販売」の違い

「訪問販売 リスト」と調べると、特定商取引法の訪問販売のきまりについての説明が多く見つかります。法人を回る飛び込み営業と、消費者の自宅を訪ねる訪問販売とでは、法律の上での扱いが違う部分があります。ここでは、消費者庁の「特定商取引法ガイド」と、消費者庁・経済産業省の通達をもとに、違いの考え方を整理します。

特定商取引法の「訪問販売」とは

消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売を、事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引と説明しています。路上で呼び止めて営業所に同行させるキャッチセールスや、販売の目的を告げずに呼び出すアポイントメントセールスなども、訪問販売にあたる場合があります。同じガイドによると、訪問販売には主に次のようなきまりがあります。

  • 勧誘に先立って、事業者の氏名(名称)、勧誘の目的であること、販売しようとする商品などの種類を告げる(法第3条)
  • 勧誘を受ける意思があるかを確かめるよう努め、契約しない意思を示した相手に勧誘を続けたり、改めて勧誘したりしない(法第3条の2)
  • 申込みを受けたときや契約したときに、商品の種類や価格、支払いの方法、契約の解除に関することなどを書いた書面を渡す(法第4条・第5条)
  • 事実と違うことを告げる、故意に事実を告げない、相手を威迫して困惑させる、といった行為をしない(法第6条)
  • 消費者は、法定の書面を受け取った日から8日以内であれば、申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができる(法第9条)

営業のための契約は適用除外とされている

同じガイドは、特定商取引法が適用されない場合の1つとして、営業のため、又は営業として締結する取引を挙げています(法第26条)。法人が事業のために使う商品やサービスの契約であれば、この適用除外にあたる場面が多いと考えられます。

相手が法人や事業者でも、一律に除外されるわけではない

ただし、消費者庁と経済産業省が出している通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日付け)は、この適用除外の趣旨を、契約の目的・内容が営業のためのものである場合に適用しないというものであって、契約の相手方が事業者や法人であることだけで一律に適用除外とするものではない、と説明しています。そのうえで、一見事業者名で契約を行っていても、購入する商品や役務が事業用というよりも主として個人用・家庭用に使うためのものであった場合は原則として適用されること、とくに実質的に廃業していたり、事業の実態がほとんどない零細事業者の場合には適用される可能性が高いことを示しています。

つまり、法人の事務所を回る営業であっても、個人で営む小さなお店や事業者を訪ねる場合や、相手の事業とあまり関係のない商品を案内する場合には、訪問販売のきまりが関わる可能性があります。そうした相手を回るときは、最初に会社名と勧誘の目的、商品の種類を告げる、断られたら勧誘を続けない、契約の内容を書面で渡す、といった訪問販売のきまりに沿った進め方をしておくのが無難です。

項目法人の事務所を回る飛び込み営業消費者の自宅などを訪ねる訪問販売
主な相手会社の受付や担当の方個人の消費者
特定商取引法営業のための契約は適用除外とされる。ただし相手が法人や事業者であることだけで一律に除外されるわけではない訪問販売のきまりの対象になる
最初に伝えること会社名・名前・営業の用件を先に伝えるのがマナー事業者の氏名(名称)、勧誘の目的、商品などの種類を告げる(法第3条)
断られたら引き上げて記録し、重ねて連絡しない勧誘を続けたり、改めて勧誘したりしない(法第3条の2)
契約の後取り交わした契約書の取り決めによる書面の交付、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフなど

本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。個別の事案については、弁護士などの専門家にご相談ください。

9 リスジェネで地域を絞って訪問リストを作る手順

営業屋のAI営業リスト作成ツール|企業リストを無料で検索・1件3円(リスジェネ)は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金となり、初期費用と月額費用はかかりません。飛び込み営業のリストを作る流れは次のとおりです。

  • 1
    回る都道府県を選ぶ
    詳細条件の「エリア / 都道府県を選択」で、第2章で決めた地域の都道府県を選びます。
  • 2
    市区町村で絞り込む
    「市区町村(さらに絞り込み)」に、回る市区町村の名前を入れます。トップページの説明では、住所内の文字列で部分一致検索する仕組みです。「中央区」のように同じ名前の区がいくつかの市にあることもあるので、都道府県の選択と組み合わせて使います。
  • 3
    業種で絞り込む
    大分類・詳細業種で、商材に合う業種に絞ります。第2章で考えた「商材に合う会社が集まっている場所」と合わせて見ると、回る地域の見直しにも使えます。
  • 4
    一覧を無料で確かめる
    検索結果は無料で閲覧できるので、所在地や業種が狙いどおりかを見てから、必要な会社だけを選びます。トップページからサンプルCSVをダウンロードして、列の中身を先に確かめることもできます。
  • 5
    必要な分だけダウンロードする
    決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。トップページの説明では、CSVには住所(全文・番地まで)が含まれるので、第4章の手順で表記を整えて地図に取り込めます。
  • 6
    ブロック・訪問順と、下調べ・記録の列を足す
    表計算ソフトに取り込み、第4章のブロックと訪問順、第5章の下調べ、第6章の訪問の記録の列を足して使い始めます。

リスジェネのデータについて

リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに収集・整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための削除依頼の窓口も設けています。訪問の前には、ホームページなどで今もその住所で事業をしているか、「営業お断り」の表示がないかを確かめてください。代表者名のような個人の氏名を含む場合は、第6章で触れたとおり個人情報として扱ってください。

10 よくある質問

Q.飛び込み営業のリストは無料で作れますか?

A.作れます。国税庁の法人番号公表サイトでは、法人の商号又は名称・所在地・法人番号を都道府県ごとに無料でダウンロードでき、所在地の列で市区町村を絞り込めば、回る地域の法人の一覧の土台になります。ただし電話番号や業種は含まれないため、事業内容はホームページなどで1社ずつ確かめる時間がかかります。リスジェネなら検索と一覧の閲覧は無料で、必要な分だけ1件3円からダウンロードできます。

Q.飛び込み営業で回る順番はどう決めればよいですか?

A.回る地域を1日や半日で回れるブロックに分け、住所を地図サービスに取り込んで、ブロックごとに駅や駐車場から出発して戻ってくる道順を決めます。そのうえで、相手を訪ねやすい時間帯や優先度に合わせて順番を入れ替えます。Google マップのヘルプによると、公共交通機関と飛行機以外の移動手段では、経由地を最終目的地を含めて9か所まで追加してルートを検索できます。

Q.法人への飛び込み営業にも特定商取引法のクーリング・オフは関係しますか?

A.特定商取引法は、営業のため、又は営業として締結する取引を適用除外としています。ただし消費者庁と経済産業省の通達は、契約の相手方が事業者や法人であることだけで一律に適用除外とするものではないとし、一見事業者名の契約でも主として個人用・家庭用に使うためのものであれば原則として適用され、事業の実態がほとんどない零細事業者の場合は適用される可能性が高いとしています。個人で営むお店などを訪ねる場合はとくに注意してください。なお、この回答は法律相談ではありません。

Q.「営業お断り」の表示がある会社にはどう対応すればよいですか?

A.訪ねないのが基本です。下調べで表示を見つけた場合はリストに「訪問しない」と理由を記録し、訪問先で断られた場合はおわびしてすぐに引き上げ、その日付と内容を記録します。記録は社内で共有し、電話やメール、問い合わせフォームなど他の手段でも重ねて連絡しないようにします。

Q.リスジェネで市区町村ごとに会社を絞り込めますか?

A.絞り込めます。詳細条件の「エリア / 都道府県を選択」で都道府県を選び、「市区町村(さらに絞り込み)」に市区町村の名前を入れると、住所内の文字列の部分一致で絞り込めます。業種と組み合わせて一覧を無料で確かめてから、必要な分だけ1件3円からダウンロードできます。決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。

この記事のポイント

  • 飛び込み営業のリストは、会社の一覧に「どこを、どの順番で回るか」を書き足したもの。先に回る地域を決め、1日で回れるブロックに分ける
  • 会社は市区町村や町名の単位で集める。法人番号公表サイトのデータには電話番号や業種が含まれず、所在地は本店の場所である点に気をつける
  • 住所の表記をそろえてから地図に取り込み、ブロックごとに戻りの少ない道順を決め、時間帯と優先度で整える。地図の画面からの写し取りはしない
  • 訪問前は事業内容・受付の形・営業お断りの表示を、訪問後は対応した人・結果・次の行動を記録する。名刺の情報は個人情報として扱う
  • 法人あての営業でも、個人で営むお店などでは特定商取引法の訪問販売のきまりが関わる可能性がある

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