医療・福祉業界の営業リスト作成ガイド
病院・介護施設・調剤薬局を効率的に開拓
医療・福祉業界は規制が多く、独特の意思決定構造を持つため、一般的なBtoB営業の手法がそのまま使いにくい場合があります。本記事では、病院・クリニック・介護施設・調剤薬局といったセグメントごとの攻略法と、効率的なリスト作成のノウハウを解説します。
この記事の結論
医療・福祉業界への営業は、公的な公開情報を活用した正確なリスト作成と、施設種別に応じたきめ細かなアプローチが土台になります。医療DX・介護DXを進める国の動きも踏まえ、現場の課題解決に直結する提案を行いましょう。
この記事の目次
1. 医療・福祉業界の全体構造を把握する 2. セグメント別:施設タイプと営業ポイント 3. 意思決定者を特定する方法 4. テレアポのタイミングと受付突破 5. DM・資料送付の効果的な手法 6. 業界特化キーワードで精度の高いリストを作る 7. 法的注意点と業界ルール 8. まとめ:医療・福祉攻略のチェックリスト1 医療・福祉業界の全体構造を把握する
医療・福祉業界は就業者数の多い産業の一つです。総務省「労働力調査」(2025年平均)では就業者数が約947万人、「令和3年経済センサス-活動調査」では民営の事業所が約46万か所とされています。営業リストを作成する際は、まず業界の全体構造を理解し、自社のターゲットがどのセグメントに該当するかを明確にすることが大切です。
数字で見る医療・福祉業界
約8,000
病院数(令和7年10月1日現在)
約10.6万
一般診療所数(令和7年10月1日現在)
約6.3万
薬局数(令和7年3月末現在)
出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査」(病院は20床以上、一般診療所は19床以下)、「令和6(2024)年度衛生行政報告例」(薬局数)
医療・福祉の主要セグメント
- 医療機関:病院(20床以上)、診療所・クリニック(19床以下)、歯科医院
- 介護・福祉施設:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム
- 調剤薬局:門前薬局、面対応薬局、ドラッグストア併設型
- 社会福祉法人:保育園、障害者支援施設、児童養護施設
- 在宅医療・訪問系:訪問看護ステーション、訪問介護事業所
2 セグメント別:施設タイプと営業ポイント
| 施設タイプ | 意思決定者 | 有効チャネル | 商談化のポイント |
|---|---|---|---|
| 大規模病院(200床以上) | 事務長・購買部門 | 紹介・展示会 | 入札・コンペが多い。実績重視 |
| 中小病院(20〜199床) | 院長・事務長 | テレアポ+資料送付 | 経営課題(収益・人手不足)に刺さる提案 |
| 診療所・クリニック | 院長(=経営者) | DM+テレアポ | 院長のスケジュールを把握して連絡 |
| 介護施設 | 施設長・理事長 | テレアポ+訪問 | 人手不足・業務効率化が関心事になりやすい |
| 調剤薬局 | 薬局長・エリアマネージャー | テレアポ+FAX | チェーンの場合は本部経由も検討する |
| 訪問看護ステーション | 管理者(看護師) | テレアポ | 小規模な事業所が多く、ITへの慣れは事業所ごとに異なる |
医療・福祉業界は「誰にアプローチするか」で成否が決まります。院長なのか事務長なのか、施設長なのか理事長なのか。意思決定者の特定がリスト作成の重要なポイントです。
3 意思決定者を特定する方法
医療・福祉業界では、施設の規模や法人形態によって意思決定の構造が大きく異なります。効率的に営業するためには、誰が購買の決定権を持っているかを事前に特定することが重要です。
規模別の意思決定構造
- 小クリニック・小規模施設(院長=経営者)
院長が購買の判断をすることが多い。院長に直接つながれるかが大きなポイント。 - 中中規模病院・法人(事務長がキーマン)
日常的な購買は事務長が判断。大型案件は理事会承認が必要。 - 大大規模病院・チェーン(購買部門・本部)
購買部門が窓口。入札やコンペ形式が主流。実績と価格が重視される。
意思決定者の情報を得る手段
- 施設のWebサイト:院長挨拶、スタッフ紹介ページに名前・経歴が掲載されていることが多い
- 公的な公開情報:地方厚生局の届出情報や「医療情報ネット」で、施設名・所在地・診療科目などを確認できる(個人名の扱いには個人情報保護法に注意)
- 学会・研修会の情報:学会発表者や座長を務める医師は、業界内で発信力がある場合がある
- ListGeneのデータ:代表者名(保有企業のみ)が含まれる場合がある。代表者名は個人情報にあたるため、利用目的に注意する
4 テレアポのタイミングと受付突破
医療・福祉施設へのテレアポは、タイミングを間違えると「診療中です」「忙しいので」と断られることが多くあります。業界特有のスケジュールを理解した上でアプローチしましょう。
| 施設タイプ | 試しやすい時間帯(仮説) | 避けるべき時間 | 理由 |
|---|---|---|---|
| クリニック | 12:30〜14:00 | 午前診療中(9:00-12:00) | 昼休みに院長が電話に出られる可能性がある |
| 病院(事務長宛) | 10:00〜11:30 | 朝一番・夕方 | 午前中の会議後は比較的余裕がある可能性がある |
| 介護施設 | 13:30〜15:00 | 食事時間帯(7-9時, 11-13時, 17-19時) | 昼食後〜おやつ前は比較的落ち着く可能性がある |
| 調剤薬局 | 14:00〜16:00 | 午前中(処方箋が集中) | 午後は処方箋の集中が落ち着く可能性がある |
受付突破の注意点:医療機関の受付スタッフは患者対応が最優先です。「営業のお電話はお断りしています」と言われた場合は、かけ直さないようにしましょう。DM送付後にフォローコールする2段階アプローチも考えられます。表の時間帯は仮説なので、各施設のWebサイトで診療時間・休診日を確認し、調整してください。
受付で取り次いでもらいやすくする3つの工夫
- 具体的な用件を述べる — 「業務効率化のご提案で」ではなく「電子カルテの運用改善について」と具体的に
- 事前にDMを送っておく — 「先日お送りした資料の件で」と言うと取り次いでもらいやすくなる場合がある
- 院長名・施設長名を把握しておく — 「〇〇先生にお伝えいただきたいのですが」と名指しする
5 DM・資料送付の効果的な手法
医療・福祉業界では、テレアポ単独よりもDM+テレアポの組み合わせが考えられます。クリニックの院長は診療中に電話に出られないことが多いため、まず紙のDMで知ってもらい、後日フォローする流れもあります。
届きやすいDMの工夫
- 1封筒に「院長先生 親展」と記載
院長に届きやすくなる場合がある。 - 2A4サイズ1枚に要点をまとめる
忙しい医療従事者に向けて、短時間でメリットが伝わる構成にする。 - 3同業種の導入事例を入れる
実在する導入事例があれば、載せると信頼につながる(掲載は事前に了承を得る)。 - 4休診日・休診時間を確認して発送
各クリニックのWebサイトで休診日・休診時間を確認し、院長が郵便物を確認しやすいタイミングに届くよう発送する。
進め方の例:DMが届いたと思われる頃に、院長宛てにフォローコールする2段階のやり方があります。反応を見ながら、タイミングを調整しましょう。
6 業界特化キーワードで精度の高いリストを作る
ListGeneのAI検索やキーワード絞り込み機能を活用すれば、医療・福祉業界のターゲットを絞り込めます。ここでは実践的な検索例を紹介します。
目的別キーワード検索例
| 営業目的 | 検索キーワード / フィルター例 | 件数の確認 |
|---|---|---|
| 電子カルテの提案 | 業種:医療 / 企業規模ランク:B〜C / DX推進度:消極的〜標準 | 検索画面で無料で確認できます |
| 介護施設へ見守りセンサーを提案 | 業種:福祉 / キーワード:「介護」「老人ホーム」 / 地域:首都圏 | 検索画面で無料で確認できます |
| 調剤薬局へ在庫管理システムを提案 | 業種:医療 / キーワード:「調剤」「薬局」 / 企業規模ランク:A | 検索画面で無料で確認できます |
| 訪問看護向け勤怠管理ツール | キーワード:「訪問看護」 / 新設法人フィルター活用 | 検索画面で無料で確認できます |
AI自然言語検索の例
「東京都内の病院で、DX推進度が標準以下の施設」のように入力して検索できます。AIが解釈した条件は画面で確認し、必要に応じて調整してください。
7 法的注意点と業界ルール
医療・福祉業界への営業には、一般企業向け営業にはない法的な注意点が存在します。これを無視すると、クレームだけでなく法的リスクにつながる可能性があります。
医療・福祉業界で注意すべき法規制
- ・ 医療法(広告規制):厚生労働省の「医療広告等ガイドライン」による規制は、医療機関だけでなく広告代理店などにも及びます。医療機関のWebサイトや広告づくりを支援する提案では、ガイドラインの内容を確認する
- ・ 個人情報保護法・安全管理:患者・利用者の情報を扱う業界のため、システムの提案では厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への対応が求められることがある
- ・ 公益法人・社会福祉法人への営業:入札制度が適用されることがある
- ・ 医療機器の販売:薬機法(旧薬事法)に基づく許可が必要な場合がある
営業時の配慮ポイント
- 患者・利用者がいる場所での営業活動は避ける(待合室での名刺配り等は厳禁)
- 医療機関のルールに従い、アポイントなしの飛び込み訪問は原則避ける
- 薬機法に関わる商品を扱う場合は、法的要件を事前に確認
- 公的機関(国立病院、公立病院)は入札・プロポーザル形式が多い
- 「営業お断り」の意思が示されている施設には連絡しない。メールやFAXで送る場合は、特定電子メール法などのルールを確認する
- 本記事は一般的な情報提供であり、法律相談ではありません。個別の判断は専門家にご相談ください
医療機関へのFAX DM活用は、FAX DM営業の完全ガイドをご覧ください。
医療・福祉業界へのテレアポで使うリストの作り方は、テレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点をご覧ください。
8 まとめ:医療・福祉攻略のチェックリスト
この記事のポイント
- 医療・福祉は5つの主要セグメントに分かれる。自社ターゲットを明確にする
- 施設タイプごとに意思決定者が異なる。院長・事務長・施設長を見極める
- テレアポは施設の稼働スケジュールに合わせたタイミングが重要
- DM+フォローコールの2段階アプローチも選択肢になる
- 業界特化キーワードとDXフィルターを組み合わせてリストの精度を上げる
- 医療法・薬機法・個人情報保護法など法的注意点を事前に確認する