上場企業リストの作り方|
東証の公式一覧の入手と営業での使い方
上場企業に営業しようと考えたとき、最初に必要になるのが上場企業リストです。上場会社は取引所や金融庁のサイトで多くの情報を公開しているので公式の情報から一覧を作りやすい一方、公式の一覧はそのままでは営業リストにならず、使い方には条件もあります。本記事では、日本取引所グループ(JPX)と金融庁のEDINETの入手先・形式・更新の頻度・利用条件を公式のページで確かめたうえで、市場区分の違い、有価証券報告書から分かること、大きな会社への営業の考え方、営業リストに仕上げて更新する手順までを整理します。
この記事の3つの要点
- 1
上場企業の公式の情報は、JPXの「東証上場銘柄一覧」(Excel・毎月更新)と「東証上場会社情報サービス」(会社ごとの基本情報と開示資料・毎日更新)、金融庁のEDINET(有価証券報告書とEDINETコードリスト)にまとまっています。JPXの公表値では、2026年9月30日時点の東証の上場会社は3,890社です。
- 2
公式の情報にも利用条件があります。JPXのサイトの注意事項は許諾がない限り二次利用や再配信はできないとし、EDINETは出典の記載を条件に利用でき、ウェブサイトから機械的に取り出すことは禁じています。社内で営業先を検討するのに使うのか、加工して社外に出すのかで、確かめることが変わります。
- 3
上場企業への営業では、窓口を探す手間、決まるまでの段取り、取引先の登録といった相手の社内の決まりを前提に計画を立てます。有価証券報告書や適時開示を読んで話題を準備し、証券コードと法人番号で重複を整理しながらリストを更新していきます。
この記事の目次
1. 上場企業リストとは:上場会社の数と公式の情報のありか 2. 東証の市場区分の違い:プライム・スタンダード・グロース 3. JPXの公式の一覧の入手先・形式・更新の頻度 4. 公式の情報を使うときの利用条件 5. 有価証券報告書とEDINETで分かること 6. 上場企業に営業するときの考え方 7. 上場企業の営業リストを作る手順 8. リスジェネで上場区分から絞り込む方法 9. 使う前のチェックリスト 10. よくある質問1 上場企業リストとは:上場会社の数と公式の情報のありか
上場企業リストとは、証券取引所に株式を上場している会社をまとめた一覧のことで、「上場会社一覧」「上場企業一覧」とも呼ばれます。日本には東京証券取引所(東証)のほかに名古屋・福岡・札幌にも証券取引所があり、JPXの「適時開示情報閲覧サービス」の案内でも、この4つの国内の取引所の上場会社が開示した情報を見られると説明されています。営業リストの対象として考えることが多いのは東証の上場会社なので、本記事では東証を中心に説明します。
東証の上場会社は何社あるか
JPXの「上場会社数」のページでは、市場区分ごとの上場会社数が月末ごとに公表されています。2026年9月30日時点の社数は次のとおりです。
| 市場区分 | 上場会社数 | うち外国会社 |
|---|---|---|
| プライム | 1,544社 | 1社 |
| スタンダード | 1,561社 | 2社 |
| グロース | 595社 | 2社 |
| TOKYO PRO Market | 190社 | 0社 |
| 合計 | 3,890社 | 5社 |
出典:日本取引所グループ「上場会社数」の月末上場会社数(2026年9月30日時点。2026年10月に確認)
プライム・スタンダード・グロースの3つの市場を足すと3,700社になります。上場会社の数は、新規上場や上場廃止、市場区分の変更によって月ごとに動いており、同じページには最新の更新日時点の社数も載っています。社数を資料に書くときは、いつの時点の数字かを添えておきましょう。
公式の情報はどこにあるか
上場企業リストの元になる公式の情報は、主に次の3か所にまとまっています。
| 情報のありか | 運営 | 分かること | 形式 |
|---|---|---|---|
| 東証上場銘柄一覧 | JPX(東京証券取引所) | 東証に上場している銘柄の月末時点の一覧 | Excel(xlsx) |
| 東証上場会社情報サービス | JPX(東京証券取引所) | 会社ごとの市場区分・業種・決算期・本社所在地・代表者・上場年月日、適時開示やコーポレート・ガバナンスの資料 | ウェブで検索・閲覧 |
| EDINET | 金融庁 | 有価証券報告書などの開示書類と、提出者の一覧(EDINETコードリスト) | ウェブで検索・閲覧、CSV、API |
これらを組み合わせると、「どの会社が上場しているか」「どの市場にいるか」「何をしている会社か」を公式の情報で確かめられます。一方、営業の問い合わせ先や担当の部署はこれらの一覧の項目にないため、会社のホームページなどで別に調べます(第6章・第7章)。上場企業に限らず、無料で使える公開データから企業リストを作るやり方は、営業屋のコラム営業リストを無料で作る方法|企業リストの集め方7選と注意点でも紹介しています。
2 東証の市場区分の違い:プライム・スタンダード・グロース
東証の市場区分は、2022年4月4日に今の「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つになりました。JPXの「市場区分見直しの概要」によると、それまでは市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)の4つの市場区分があり、それぞれの位置づけが重なって分かりにくいといった課題があったため見直されたものです。手元の古い営業リストに「東証一部」などの区分が残っている場合は、今の区分に置き換えておきましょう。
JPXが示している各市場の考え方(コンセプト)を要約すると、次のようになります。
| 市場区分 | JPXが示す考え方(要約) | 営業リストでの見方 |
|---|---|---|
| プライム | 多くの機関投資家が投資の対象にしうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンスの水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組む企業向けの市場 | 時価総額の大きさが前提の市場。規模や取引の決め方は会社ごとに確かめる |
| スタンダード | 公開された市場で投資の対象となる一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業として基本的なガバナンスの水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組む企業向けの市場 | 会社数が最も多い市場なので、業種・地域・従業員数などを重ねて絞る |
| グロース | 高い成長の可能性を実現するための事業計画とその進み具合を適時・適切に開示し、一定の市場評価を得る一方、事業の実績の面では相対的にリスクが高い企業向けの市場 | 事業計画と進み具合の開示が重視される市場なので、開示資料から今の取り組みを読み取って話題を準備する |
| TOKYO PRO Market | 2008年の金融商品取引法の改正で導入された「プロ向け市場制度」に基づく市場で、取引所から認定を受けたJ-Adviserが上場の審査や上場後の支援を行う | 制度がほかの3市場と違うので、リストに入れるかを目的に合わせて決める |
出典:日本取引所グループ「市場区分見直しの概要」「新規上場基本情報」をもとに要約。会社数は前章の表(2026年9月30日時点)による
市場区分は投資家に向けた位置づけであり、営業のしやすさを表すものではありません。プライムだから予算が大きい、グロースだから新しいサービスを試しやすい、と決めつけず、対象を大まかに分ける手がかりとして使い、事業の内容や規模は開示資料で確かめるのが現実的です。
また、JPXによると、上場会社が別の市場区分に移るときは、移る先の新規上場基準と同等の基準で改めて審査を受けます。市場区分は変わることがあるので、リストの「市場区分」の列には確かめた日を添えておきましょう。
3 JPXの公式の一覧の入手先・形式・更新の頻度
ここからは、JPXのサイトにある公式の一覧を、入手先・形式・更新の頻度の順に見ていきます。いずれも2026年10月にJPXのページで確かめた内容です。
東証上場銘柄一覧(Excel)
JPXのサイトの「マーケット情報」から「統計情報(株式関連)」の「その他統計資料」に進むと、「東証上場銘柄一覧」が掲載されています。ページの説明によると、直近の月末時点の東証上場銘柄の一覧で、毎月第3営業日の午前9時以降に前月末のデータが掲載され、エクセルのファイルは順次差し替えられるため、必要に応じてダウンロードして保存するよう案内されています。2026年10月に確かめたときは「東証上場銘柄一覧(2026年9月末)」がxlsx形式で置かれていました。保存するときは、いつ時点の分かをファイル名に残しておきましょう。
気をつけたいのは、これが「会社」ではなく「銘柄」の一覧だという点です。東証には株式のほかにETF、ETN、REIT(不動産投資信託)、インフラファンドなども上場しており、東証上場会社情報サービスの検索画面でも市場区分の選択肢にこれらが並んでいます。営業リストの土台にするときは、銘柄の種類を確かめ、会社の株式以外の行が混ざっていないかを見てから使いましょう。
同じページでは、JPXデータポータルの「企業・銘柄」ページの「全件CSV取得」で、直近1年間の上場廃止銘柄も含めて各銘柄の東証上場日を確かめられる、とも案内されています。なお、ページの免責事項には、情報に漏れや誤りがないことまでは保証しないという趣旨が書かれています。
東証上場会社情報サービス
会社ごとの情報をくわしく見たいときは、JPXの「東証上場会社情報サービス」が便利です。銘柄名(会社名)やコード、市場区分などで検索でき、JPXの「ご利用案内」によると、基本情報としてコード、市場区分、業種、決算期、設立年月日、本社所在地、上場取引所、決算発表の予定日、株主総会の開催予定日、代表者の役職と氏名、上場年月日などが掲載されています。あわせて、決算短信などの適時開示情報(121か月分)、株主総会の招集通知や定款などの縦覧書類(61か月分)、コーポレート・ガバナンス情報(61か月分)、EDINETに提出された有価証券報告書なども、会社ごとにまとめて見られます。
掲載している情報は毎日午前1時ごろに更新され、最新の適時開示を見るときは「適時開示情報閲覧サービス」を使うよう案内されています。また、東証を上場廃止になった会社についても廃止後5年間は情報が掲載されるので、手元のリストにある会社が今も上場しているか、いつ廃止になったかを確かめるときにも役立ちます。
新規上場・市場区分の変更・上場廃止の一覧
JPXの「新規上場・市場区分の変更・上場廃止」のページには、新規上場会社情報、市場区分の変更銘柄一覧、上場廃止銘柄一覧がまとめられています。月に一度の東証上場銘柄一覧の差し替えを待たずに、リストの変化を拾いたいときに確かめる場所です。新しく上場した会社を営業先の候補として追いかけるときにも使えます。
| 情報 | 形式 | 更新の頻度(JPXの説明) | 主な使い道 |
|---|---|---|---|
| 東証上場銘柄一覧 | Excel(xlsx) | 毎月第3営業日の午前9時以降に前月末の分を掲載 | 上場している銘柄の全体をつかむ |
| 東証上場会社情報サービス | ウェブで検索・閲覧 | 毎日午前1時ごろ | 会社ごとの基本情報と開示資料を確かめる |
| 適時開示情報閲覧サービス | ウェブで閲覧 | 最新の適時開示を掲載 | 連絡の前に最新の発表を確かめる |
| 新規上場・市場区分の変更・上場廃止 | ウェブで閲覧 | ページで確かめる | リストの追加・削除・区分の変更を拾う |
4 公式の情報を使うときの利用条件
公式の情報は無料で見られますが、何にでも自由に使えるわけではありません。営業リストに使う前に、それぞれのサイトの利用条件を読んでおきましょう。
JPXのサイトの利用条件
JPXの「サイトのご利用上の注意と免責事項」は、サイトに掲載している情報の著作権などの権利はJPXに帰属するとしたうえで、JPXから許諾を得ている場合を除き、有料か無料かを問わず、商用目的によるデータ収集のほか、どのような用途でも二次利用と再配信はできないと定めています。生成AIなどでサイトの情報を学習・解析・生成に使う場合についても、権利を侵害しないことはもちろん、サイトの趣旨や運営方針に反する不適切な利用など、JPXが不利益を被るおそれのある行為を禁じています。さらに、サイトへの高頻度・高負荷につながるおそれのある自動取得は控えるよう求めています。
一方、東証上場会社情報サービスの「ご利用案内」の免責事項には、東証はこのサービスで公開している情報の利用を制限していないものの、東証以外の第三者が著作権を持つ情報が含まれる場合があり、利用者が情報を編集・加工して使うことも含めて、利用者の行為について東証は責任を負わない、と書かれています。
社内で営業先を検討するために一覧を見ることと、一覧を加工して社外に配ったり、販売したり、自社のサービスに組み込んだりすることとでは、求められる手続きが違ってくる可能性があります。判断に迷うときは、JPXの問い合わせ窓口に確かめるか、専門家に相談してください。生成AIで企業の一覧を作るときの注意点は、リスジェネのコラムAIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで解説しています。
JPXの情報を使うときに確かめること
- ページやファイルをプログラムで頻繁に自動取得していないか
- 一覧を加工して社外に配る・販売するなど、二次利用や再配信にあたる使い方をする予定がないか(ある場合は許諾が要るかを確かめる)
- 生成AIに読み込ませる使い方が、JPXの利用条件に沿っているか
- 使った資料の名前と、いつの時点のものかを記録したか
EDINETの利用規約
金融庁のEDINETの利用規約では、EDINETのウェブサイトで公開している情報は、だれでも「公共データ利用規約(第1.0版)」(PDL1.0)に準拠した条件で利用できるとされています。利用するときは出典を記載し、編集・加工して利用する場合は、出典とは別に、編集・加工を行ったことと、その主体を記載します。加工した情報を、国が作った加工前のもののように見せて公表・利用してはいけないとも書かれています。
また、スクレイピングのようにウェブサイトから情報を機械的に取り出すことは禁じられており、機械的に取得したい場合は、インターネットを通じて情報の取得を要求できる「EDINET API」を使うよう案内されています。APIでも、短い時間に大量のアクセスをするなど、運用に支障を与える行為は禁じられています。
代表者名や役員名は個人情報として扱う
東証上場会社情報サービスに載っている代表者の氏名や、有価証券報告書の「役員の状況」に載っている役員の氏名は、公開されている情報であっても個人情報にあたります。個人情報保護委員会のFAQ(Q2-6)は、法人の代表者の情報は個人情報保護法第2条第1項の定義にあてはまるため個人情報にあたり、取引先企業の担当者名といった情報も同じく個人情報にあたると説明しています。営業リストに代表者名や担当者名の列を設けるときは、利用目的の特定や、取得したときの通知・公表といった個人情報保護法のきまりに沿って扱いましょう。購入したリストを使う場合を含めた考え方は、リスジェネのコラム名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで取り上げています。
本章は公開されている規約や資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。判断に迷うときは、弁護士などの専門家や、JPX・金融庁の窓口にご確認ください。
5 有価証券報告書とEDINETで分かること
EDINETは、金融商品取引法に基づく有価証券報告書などの開示書類を見られる金融庁のシステムです。有価証券報告書(有報)は、上場会社などが事業年度ごとに提出する書類で、金融商品取引法第24条第1項は、内国会社の場合、事業年度が終わってから3か月以内に提出すると定めています(やむを得ない理由がある場合の例外もあります)。年に一度、事業や組織の状況が決まった形で公開されるので、上場企業を知るための基本の資料になります。
EDINETコードリストで提出者の一覧を取り寄せる
EDINETの「EDINETタクソノミ及びコードリストダウンロード」の画面では、「EDINETコードリスト」をダウンロードできます。金融庁の「書類閲覧 操作ガイド」(2026年6月)によると、これはEDINETに書類を提出している提出者の「EDINETコード」や「提出者名」などの一覧で、カンマ区切りのCSVファイル(文字コードはShift_JIS)です。1行目にはダウンロードした日と件数が入り、その下に次の13の項目が並びます。
| 項目 | 営業リストでの使い道 |
|---|---|
| EDINETコード・提出者種別 | EDINETで書類を探すときの手がかり |
| 上場区分 | 上場している提出者に絞り込む |
| 連結の有無・資本金 | グループ会社の有無や規模の目安にする |
| 決算日 | 相手の事業年度の区切りを知り、相談の時期を考える |
| 提出者名・提出者名(英字)・提出者名(ヨミ) | 社名の表記ゆれを確かめる |
| 所在地 | 地域で絞り込む |
| 提出者業種 | 業種で絞り込む |
| 証券コード | JPXの一覧や東証上場会社情報サービスと突き合わせる |
| 提出者法人番号 | 国税庁の法人番号を持つほかのデータや手元の顧客リストと突き合わせる |
出典:金融庁「書類閲覧 操作ガイド」(2026年6月)の「EDINETコードリスト」の項目をもとに作成
EDINETには上場会社以外の提出者も含まれるので、「上場区分」の列で絞り込んで使います。証券コードと提出者法人番号の両方の列があるので、JPXの情報(証券コード)と、法人番号を持つ企業データベースのCSVや手元の顧客リストをつなぐ橋渡しにもなります。利用するときは、前の章のとおり出典と加工したことを記しておきましょう。
有価証券報告書の中で営業に役立つ欄
有価証券報告書の書き方は「企業内容等の開示に関する内閣府令」の様式(第三号様式)で決められていて、会社が違っても同じ見出しで情報が並んでいます。営業の準備のために読んでおきたい欄は次のとおりです。
| 欄 | 書かれていること | 営業での使い道 |
|---|---|---|
| 事業の内容 | 会社とグループ会社が営む主な事業と、それぞれの位置づけ(事業の区分ごとの説明や事業系統図など) | どの事業・どの会社が自社の商材と関係するかを見極める |
| 関係会社の状況 | 子会社などの名称・住所・資本金・主要な事業の内容など | 本社ではなくグループ会社が窓口になる可能性を探る |
| 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 | 会社が示す方針と、取り組むべき課題 | 提案の切り口を考える |
| サステナビリティに関する考え方及び取組 | ガバナンスやリスク管理、人材などに関する取り組み | 人材・環境などの取り組みと商材の接点を探る |
| 事業等のリスク | 経営に影響しうるリスク | 相手が気にしている点を理解する |
| 研究開発活動・設備の状況 | 研究開発の状況、設備投資の概要、設備の新設などの計画 | 設備・IT・研究開発に関わる商材との接点を探る |
| 従業員の状況 | 連結の従業員数(事業の区分ごと)、提出会社の従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与など。女性活躍推進法などで公表している会社は女性管理職比率などの指標も | 会社と組織の大きさをつかむ |
| 役員の状況 | 役員の役職名・氏名・略歴など | 組織の体制をつかむ(氏名は個人情報として扱う) |
出典:企業内容等の開示に関する内閣府令 第三号様式・第二号様式(記載上の注意)、金融庁「サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ」をもとに作成
金融庁の「サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ」によると、2023年1月31日の内閣府令などの改正によって、有価証券報告書に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新しく設けられ、「従業員の状況」では、女性活躍推進法に基づく女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金格差といった多様性の指標の開示も求められるようになりました。これらは2023年3月期決算の会社から適用されています。人事や働き方に関わる商材を扱う会社にとっては、相手の取り組みを知る手がかりになるでしょう。
なお、有価証券報告書の表紙には本店の所在の場所や電話番号、事務連絡者の氏名の欄がありますが、営業の受付窓口として書かれているものではありません。営業の連絡には、会社のホームページの問い合わせ窓口や取引の相談窓口など、営業や取引の相談を受け付けている窓口を使うのが礼儀にかなっています。同じように、ホームページのIR(投資家向け情報)の問い合わせ先は株主や投資家のための窓口なので、営業の連絡には使わないようにしましょう。
EDINETで書類を探す方法
EDINETのトップページの「書類簡易検索」では、提出者名や証券コードを入れ、書類の種類と提出期間を選んで探せます。金融庁の操作ガイドによると、検索の方法は「書類簡易検索」「書類詳細検索」「全文検索」の3つで、全文検索では書類の中の言葉でも探せます。自社の商材に関係する言葉で探して候補を拾い、「事業の内容」を読んで確かめる、といった使い方も考えられます。
6 上場企業に営業するときの考え方
上場企業は事業や拠点、グループ会社が多く、代表の窓口に連絡しても、商材を検討する部署にたどり着くまでに時間がかかることがあります。公開されている情報を使って、無理なく近づくための考え方を整理します。
窓口と部署の探し方
まず、自社の商材を検討するのはどの部署かを考えます。勤怠管理や採用の仕組みなら人事、業務のシステムなら情報システムやDXの推進を担う部署、工場の設備なら生産や購買の部署、というように、商材によって相手の部署は変わります。そのうえで、次の順に公開情報を当たると、窓口の見当を付けやすくなります。
- 会社のホームページの組織図や会社概要で、部署の名前と並びを確かめる。
- 有価証券報告書の「事業の内容」と「関係会社の状況」で、どの事業・どのグループ会社が関係するかを確かめる。
- 適時開示やニュースリリースで、新しい事業、組織の変更、拠点の新設などの発表を確かめる。
- 採用のページで、募集している職種から力を入れている部署を推し量る。
- ホームページに取引先向けの案内や調達の窓口がある場合は、その案内に沿って連絡する。
上場企業の中には、調達の方針や取引先に求める行動の基準、新しい取引先からの提案を受け付ける窓口をホームページで公開している会社もあります。窓口がある場合は、まずその案内に沿うのが、相手にとっても自社にとっても話が早い進め方です。
決まるまでの時間と段取り
大きな会社では、ひとつの導入を決めるまでに、実際に使う部署のほか、情報システム、法務、購買、経理など複数の部署が関わり、稟議などの社内の手続きを経ることがあります。最初の面談から契約までにかかる時間は商材の大きさや会社によって大きく違うため、短い期間の売上だけを当てにせず、次の年度の予算も見すえた計画にしておくと、焦って連絡を重ねてしまうことを避けられます。
予算を考える時期の手がかりになるのが決算期です。EDINETコードリストの「決算日」や東証上場会社情報サービスの「決算期」で、相手の事業年度がいつ終わるかを確かめられます。次の年度の計画を立てる時期は会社によって違いますが、決算期を知っておけば、「いつごろご相談すれば検討に間に合いそうでしょうか」と相手に尋ねるきっかけになります。
取引を始めるときの社内の決まりに備える
上場企業と新しく取引を始めるときは、相手の社内の決まりに沿った手続きを求められることがあります。たとえば、取引先としての登録、会社の情報や財務の状況の提出、情報の取り扱いに関する確認、反社会的勢力と関係がないことの確認などです。法務省が掲載している「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)の説明にも、多くの企業が企業倫理として、暴力団をはじめとする反社会的勢力と一切の関係を持たないことを掲げて取り組みを進めているとあります。求められそうな書類を前もってそろえておくと、話が進んだときに慌てずに済みます。
開示資料から話題を準備する
上場企業は、決算短信や適時開示、有価証券報告書などで、自社の方針や課題を外に向けて説明しています。連絡の前にそれを読み、自社の商材がどこに関係しうるかを一文で言えるようにしておくと、相手の時間をむだにしない連絡になります。ただし「御社の課題はこれです」と決めつけるのではなく、「開示資料で〇〇に取り組んでいらっしゃると拝見しました」のように、読んだ事実として伝えるほうが受け止めてもらいやすいでしょう。メールで広告や宣伝を送る場合は、特定電子メール法の同意や表示のきまりにも沿うようにします。
大きな会社は「まとまり」で計画する
部署やグループ会社が多い相手には、会社全体を1つのまとまりとして、誰に・どの順番で・何を伝えるかを計画する考え方が向いています。こうした進め方はABM(アカウントベースドマーケティング)と呼ばれ、営業屋のコラムABM(アカウントベースドマーケティング)とは|中小でも始める実践や、リスジェネのコラムABM実践ガイド:営業リストで始める戦略的アプローチで、リストを使った始め方を紹介しています。
7 上場企業の営業リストを作る手順
公式の情報で「上場している会社」を確かめ、開示資料で「関係のある会社」に絞り、会社のホームページで「連絡の窓口」を確かめる、という3段階で考えると整理しやすくなります。
- 1目的と対象の条件を決める
何を売るのか、どの部署に届けたいのか、市場区分・業種・地域・規模のどれで絞るのかを先に決めます。 - 2公式の情報で「上場している会社」を確かめる
東証上場会社情報サービスやEDINETコードリストで、対象の市場区分・業種の会社を拾います。どの資料のいつの時点のものかを記録し、JPXの情報を社外に出す使い方をする場合は、第4章の利用条件を確かめます。 - 3事業の内容を確かめて対象を絞る
有価証券報告書の「事業の内容」や会社のホームページで、自社の商材と関係があるかを確かめ、関係の薄い会社を外します。関係するのがグループ会社なら、その会社を対象の行として足します。 - 4窓口と部署の見当を付ける
第6章の順に、組織図・グループ会社・調達の窓口などを確かめ、連絡の窓口の列を埋めます。「営業お断り」の表示がある窓口には連絡せず、その理由を記録します。 - 5重複を整理する
証券コードと法人番号で、同じ会社が別の表記で重なっていないかを確かめます。 - 6記録の列を足して使い始める
連絡した日、相手の部署、結果、次の予定、断られた記録などの列を足し、社内で共有します。 - 7決まった時期に更新する
下の「更新の目安」に沿って、上場廃止・市場区分の変更・社名の変更などを反映します。
列の設計の例
上場企業の営業リストでは、一般の営業リストの列に加えて、市場区分や決算期、開示資料から読み取った情報の列があると使いやすくなります。
| 列 | 中身 | 主な出どころ |
|---|---|---|
| 会社名 | 正式な社名 | EDINETコードリスト、東証上場会社情報サービス |
| 証券コード | 上場銘柄のコード | EDINETコードリスト、東証上場会社情報サービス |
| 法人番号 | 法人ごとに指定される番号 | EDINETコードリスト(提出者法人番号) |
| 市場区分と確かめた日 | プライム・スタンダード・グロースなど | 東証上場会社情報サービス |
| 業種 | 取引所の業種や提出者業種 | 東証上場会社情報サービス、EDINETコードリスト |
| 本社所在地 | 本店の住所 | 東証上場会社情報サービス、EDINETコードリスト |
| 決算期 | 事業年度の終わり | 東証上場会社情報サービス、EDINETコードリスト |
| 従業員数 | 連結・提出会社の従業員数 | 有価証券報告書「従業員の状況」 |
| 関係する事業・グループ会社 | 商材と関係する事業や子会社 | 有価証券報告書「事業の内容」「関係会社の状況」 |
| 担当部署の見当 | 商材に合う部署名 | 会社のホームページ、開示資料 |
| 連絡の窓口 | 問い合わせフォーム・代表電話・調達の窓口など | 会社のホームページ |
| 営業お断りの有無 | 表示の有無と確かめた日 | 会社のホームページ |
| 連絡の記録 | 連絡した日・結果・次の予定 | 自社の記録 |
| 出典と確かめた日 | 使った資料の名前と時点 | 自社の記録 |
重複をなくすには番号で突き合わせる
上場企業のリストで起こりやすいのが、「株式会社」の位置の違い、英字の社名、持株会社と事業会社の取り違えなどによる重複や混同です。社名の文字で突き合わせるより、証券コードや法人番号のように会社ごとに決まっている番号で突き合わせるほうが、取り違えを減らせます。EDINETコードリストには証券コードと提出者法人番号の両方の列があるので、JPXの情報(証券コード)と、法人番号を持つほかのデータをつなぐときに使えます。また、持株会社とその子会社は法人番号が別なので、どちらに営業するのかを列で分けておきましょう。重複の整理のしかたは、リスジェネのコラム名寄せ・データクレンジングのやり方|営業リストの重複をなくす手順でくわしく解説しています。
更新の目安
資料ごとの更新の周期に合わせて見直す時期を決めておくと、古い情報のまま連絡することを防げます。
| 見直すこと | 目安 | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 上場している銘柄の全体 | 月に一度(毎月第3営業日の午前9時以降に前月末の分が掲載される) | 東証上場銘柄一覧 |
| 新規上場・上場廃止・市場区分の変更 | 気づいたときと、連絡の前 | JPX「新規上場・市場区分の変更・上場廃止」、東証上場会社情報サービス |
| 事業の内容・従業員数など | 年に一度(有価証券報告書は事業年度の終了後3か月以内に提出される) | EDINET |
| 最新の発表 | 連絡の前 | 適時開示情報閲覧サービス |
| 連絡の窓口・営業お断りの表示 | 連絡の前 | 会社のホームページ |
8 リスジェネで上場区分から絞り込む方法
公式の情報で作る一覧は出どころがはっきりしている一方、連絡の窓口を調べる作業には時間がかかります。営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールで、検索の条件に「上場区分」の項目があります。流れは次のとおりです。
- 1詳細条件の「AI営業分析」で上場区分を選ぶ
上場区分は「すべて」「非上場」「上場(全般)」「東証プライム」「東証グロース」「東証スタンダード」から選べます。 - 2地域と業種を重ねる
「地域」で都道府県や市区町村、「業種」で大分類や詳細業種を選び、対象を狭めます。 - 3企業規模ランクも参考にする
企業規模ランクは、S(大企業・上場)・A(中堅)・B(中小優良)・C(小規模)・D(零細・個人)の5段階で、従業員数・資本金・売上高・上場状況からAIが総合判定したものです。 - 4今の取引先に似た会社を探す
AI検索に今の取引先の企業URLや企業名を入れると、似た会社も探せます。AI検索は1日50回まで無料で使えます。 - 5連絡に使う項目を持つ会社に絞る
「保有データ」の「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、問い合わせフォーム・電話番号・メールアドレスなどを持つ会社だけに絞り込めます。 - 6一覧を無料で確かめてからダウンロードする
検索と一覧の閲覧は無料で、CSVのダウンロードは1件3円です。決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からになります。トップページからサンプルCSVをダウンロードして、列の中身を先に確かめることもできます。
上場区分などAIの分析の欄にある項目について
リスジェネの上場区分は、詳細条件の「AI営業分析」の欄にある項目です。上場や市場区分は変わるので、連絡の前にはJPXの東証上場会社情報サービスなどで今の市場区分を確かめることをおすすめします。CSVには法人番号の列もあるので、EDINETコードリストの提出者法人番号と突き合わせることもできます。企業情報は各企業がWebサイト上で公開している法人情報をもとに構成しており、削除依頼の窓口も設けています。代表者名を含む列は、第4章の個人情報保護法の考え方に沿って扱ってください。
9 使う前のチェックリスト
上場企業の営業リストを使い始める前に、次の点を確かめておきましょう。
- 使った公式の資料の名前と、いつの時点のものか(例:2026年9月末の一覧)を記録した
- JPXの情報を加工して社外に配る・販売する予定がある場合は、許諾が要るかを確かめた
- EDINETの情報を使う場合は、出典と、加工したことを記した
- ETFやREITなど、会社の株式以外の銘柄を外した
- 連絡の窓口は、会社のホームページで営業や取引の相談を受け付けている窓口を確かめた(IRや開示の連絡先は使わない)
- 証券コードと法人番号で重複を整理し、持株会社と事業会社を分けた
- 代表者名や担当者名を扱う場合は、個人情報保護法に沿った扱いを決めた
- 上場廃止・市場区分の変更・有価証券報告書の更新を確かめる時期を決めた
10 よくある質問
Q.上場企業の一覧は無料でダウンロードできますか?
A.できます。日本取引所グループ(JPX)のサイトの「東証上場銘柄一覧」には、東証に上場している銘柄の月末時点の一覧がExcel形式で掲載されており、毎月第3営業日の午前9時以降に前月末の分が掲載されます。金融庁のEDINETでは、提出者の一覧であるEDINETコードリストをCSVでダウンロードでき、上場区分や証券コード、提出者法人番号の列があります。ただし、JPXのサイトの情報は許諾なく二次利用や再配信ができないとされ、EDINETの情報は出典の記載が求められるなど、それぞれに利用条件があります。
Q.東証プライムの企業だけの一覧を作るにはどうすればよいですか?
A.JPXの東証上場会社情報サービスでは、検索の条件で市場区分にプライムを選んで上場会社を探せます。JPXの「上場会社数」によると、2026年9月30日時点のプライム市場の上場会社は1,544社です。市場区分は変更されることがあるので、リストに使う前に、その時点の区分を確かめ、確かめた日を記録しておいてください。
Q.上場企業の一覧に電話番号は載っていますか?
A.JPXの東証上場会社情報サービスの基本情報には本社所在地や代表者の役職・氏名などが掲載されていますが、ご利用案内の掲載項目に電話番号はありません。EDINETコードリストの項目にも電話番号は含まれていません。有価証券報告書の表紙には電話番号の欄がありますが、営業の受付窓口として書かれているものではないため、営業の連絡には会社のホームページの問い合わせ窓口などを使うのが無難です。
Q.上場企業に営業するときに気をつけることは何ですか?
A.商材を検討する部署を見極め、会社のホームページの組織図や調達の窓口、有価証券報告書の「事業の内容」「関係会社の状況」で窓口の見当を付けます。導入を決めるまでに複数の部署が関わったり、取引先の登録や反社会的勢力と関係がないことの確認を求められたりすることがあるので、時間に余裕を持った計画と必要な書類の準備をしておきます。IR(投資家向け情報)の問い合わせ先は、営業の連絡には使わないようにしましょう。
Q.リスジェネで上場企業だけに絞り込めますか?
A.絞り込めます。詳細条件の「AI営業分析」にある上場区分で、「上場(全般)」「東証プライム」「東証スタンダード」「東証グロース」などを選べます。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVのダウンロードは1件3円、決済の最低額の関係で17件からです。上場区分はAIによる分析の欄にある項目なので、連絡の前にJPXの東証上場会社情報サービスなどで今の市場区分を確かめることをおすすめします。
この記事のポイント
- 公式の情報は、JPXの東証上場銘柄一覧(月に一度)と東証上場会社情報サービス(毎日)、金融庁のEDINETにまとまっている
- 市場区分(プライム・スタンダード・グロース)は、対象を大まかに分ける最初の手がかりとして使う
- JPXの情報は許諾なく二次利用や再配信ができないとされ、EDINETは出典の記載が条件。代表者名は個人情報として扱う
- 有価証券報告書で関係する事業と組織の大きさをつかみ、窓口はホームページの営業や取引の窓口で確かめる
- 証券コードと法人番号で重複を整理し、月に一度・年に一度・連絡の前と、資料ごとの周期で更新する
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上場区分(上場全般・東証プライム・東証スタンダード・東証グロース)に業種や地域を重ねて絞り込めます。一覧を確かめてから、必要な分だけダウンロードできます。
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