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業界特化 2026.10.25 公開 読了 24分

歯科医院の営業リストの作り方:開業医への営業の考え方と注意点

歯科医院は全国に6万を超える数があり、医療機器や歯科材料、予約や会計の仕組み、求人、ホームページ制作、内装など、さまざまな会社にとって大切な営業先です。その一方で、個人で開設された医院が7割を超え、院長が診療と経営の両方を担っている医院も多いため、診療中の電話や医院の事情に合わない提案は相手の負担になりやすく、ホームページや看板には医療広告のきまりも関わります。本記事では、厚生労働省の統計で歯科診療所の数と開設者の内訳を確かめたうえで、歯科医院の営業リストの作り方を、公的な検索の仕組み・医院のホームページ・企業データベースという3つの探し方、リストに入れる列、医療広告ガイドラインなど営業の前に知っておきたい決まり、開業医への連絡のマナーの順に、公的な資料をもとに整理します。

ノートパソコンで地図と一覧を確かめるビジネスパーソンと、歯科の診療台が見える明るい医院の外観を描いたイラスト

この記事の3つの要点

  • 1

    厚生労働省の「医療施設(動態)調査」によると、歯科診療所は令和7年10月1日現在で65,624施設、令和8年7月末の概数で64,975施設です。開設者は「個人」が72.4%を占め、医療法では開設した歯科医師が自ら管理するのが原則のため、提案を判断するのは院長本人であることが多いと考えておくと、リストの作り方と連絡のしかたが決めやすくなります。

  • 2

    歯科医院の探し方は、医療情報ネット(ナビイ)などの公的な検索、医院のホームページ、企業データベースの大きく3つです。公的な検索は1院ずつの確認に向いており、転載するときは出所の明記が求められます。リストには診療日・診療時間・休診日、営業お断りの表示、連絡の記録の列を入れておきます。

  • 3

    医療広告のきまりは医院だけでなく広告代理店なども対象になり、医療機器は区分に応じて販売の許可や届出が必要です。院長名は個人情報として扱い、診療中の電話を避け、断られた医院には重ねて連絡しないことが、長く付き合える営業の土台になります。

1 歯科医院に売る会社と、提案のきっかけ

「歯科医院 営業」と調べる人の立場はさまざまです。歯科用の機器や材料を扱う会社もあれば、予約や会計の仕組みを売る会社、歯科衛生士や受付の採用を手伝う会社、ホームページや看板を作る会社、開業や移転に合わせて内装を手がける会社もあります。売るものによって、医院のどんな変化が提案のきっかけになるのか、誰と話すことになるのか、どの決まりに気を配るべきかが変わるため、リストを作る前に自社の立ち位置を整理しておきましょう。

売るもの提案のきっかけの例主に話す相手気をつけること
医療機器・歯科材料機器の入れ替え、新しく開設する医院、移転や改装院長(医療法人なら理事長や事務長も)機器の区分に応じた販売の許可や届出、医療機関等への景品類の提供の制限
予約・会計・受付の仕組み電話や受付の負担を減らしたい、制度の変更に合わせて仕組みを見直したい院長、受付の責任者患者の情報を扱うため、情報の管理のしかたを分かりやすく説明する
求人・採用の支援歯科衛生士や歯科助手、受付の募集を出している院長求人広告は医療広告に当たらないとされる一方、医院の名前で出す表現は医院と相談して決める
ホームページ制作・集患の支援ホームページが長く更新されていない、診療内容の案内を充実させたい院長医療広告のきまりは広告を作る側にも関わる
内装・設計・看板新規開設、移転、改装院長、開設を準備している歯科医師看板も医療広告の媒体にあたる
税務・保険・リースなどの経営の支援開設や法人化、設備の入れ替え院長、医療法人なら理事長個人開設か医療法人かで相談の中身が変わる

表の「提案のきっかけ」は、どれも医院の外から見て分かりやすい変化です。求人を出している、ホームページが新しくなった、移転した、といった情報は、医院のホームページや求人の掲載から確かめられます。また、制度の変更も医院が仕組みを見直すきっかけになります。たとえば厚生労働省は、保険医療機関と薬局に対して、令和5年4月からオンライン資格確認の導入を原則として義務付けました。ただし、制度の話を持ち出して不安をあおるような言い方は避け、医院の今の状況を聞いてから、役に立てそうなことを提案するのが基本です。

病院や介護施設も含めた医療・福祉業界全体の構造は、リスジェネのコラム医療・福祉業界の営業リスト作成ガイド:病院・介護施設・調剤薬局を効率的に開拓で、医療機関への営業全般の注意点は営業屋のコラム医療・クリニック向けBtoB営業|注意点と効果的な手法で解説しています。本記事では、その中でも歯科医院に絞って掘り下げます。

2 統計で見る歯科医院の数と開設者

営業リストを作る前に、全国や地域ごとにどれくらいの歯科医院があるのかを知っておくと、狙う範囲や件数の見当がつけやすくなります。歯科医院の数は、厚生労働省の「医療施設(動態)調査」で確かめられます。この調査は、医療施設から出された開設や廃止などの申請・届出をもとに、都道府県などから毎月届く報告を集計したもので、1年分をまとめた年報と、毎月の概数が公表されています。

全国の歯科診療所は6万5千施設ほど

令和8年9月29日に公表された「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、令和7年10月1日現在の歯科診療所は65,624施設で、前年の66,378施設から754施設減っています。この数は、休止中や1年以上休診中の施設を除いた「活動中の施設」を数えたものです。同じ時点の一般診療所(医科の診療所)は105,521施設なので、歯科診療所は医科の診療所の6割ほどの数があることになります。

より新しい数としては、令和8年9月30日に公表された「医療施設動態調査(令和8年7月末概数)」で、歯科診療所は64,975施設、前月から60施設減となっています。年報と月ごとの概数は集計の時点も性格も違うので、記事や資料で数を示すときは、どちらの数かと時点を添えるようにしましょう。

開設者の7割余りは「個人」

同じ年報で開設者別の内訳を見ると、令和7年10月1日現在、歯科診療所は「個人」が47,539施設で全体の72.4%と最も多く、「医療法人」が17,395施設で26.5%です。前年と比べると、個人は1,128施設減り、医療法人は342施設増えています。令和8年7月末の概数でも、個人が46,542施設、医療法人が17,712施設です。一般診療所では医療法人が45.8%と最も多いので、歯科は個人で開設された医院の割合が高いことが分かります。

この内訳は、営業の相手を考えるうえで大切です。医療法では、歯科医業を行う診療所の開設者は臨床研修を終えた歯科医師に管理させなければならず(第10条)、開設者自身が管理者になれる場合は、都道府県知事の許可を受けたときを除いて自ら管理しなければならないと定められています(第12条)。つまり、歯科医師が個人で開設した医院では、開設した歯科医師本人が院長として管理していることが原則です。機器や仕組みの導入、採用、ホームページの見直しといった判断も、院長本人が行う場面が多いと考えておくとよいでしょう。医療法人の場合は、法人の代表である理事長と、それぞれの医院の院長が別の人であることもあるため、誰が決めるのかを最初に確かめます。

都道府県ごとの数と、1年間の開設・廃止

令和8年7月末の概数から、歯科診療所の多い都道府県を並べると次のとおりです。地域を決めてリストを作るときの目安にしてください。

都道府県歯科診療所の数(令和8年7月末概数)
東京都10,488
大阪府5,279
神奈川県4,849
愛知県3,577
埼玉県3,438
千葉県3,108
福岡県2,946
兵庫県2,840

出典:厚生労働省「医療施設動態調査(令和8(2026)年7月末概数)」の都道府県別の表から、歯科診療所の数が多い8都道府県を抜き出して作成。

また、年報の動態の表では、令和6年10月から令和7年9月までの1年間に、歯科診療所の開設が1,282件、廃止が1,915件ありました。この数には、移転に伴って古い施設を廃止し、新しい施設を開設した件数も含まれています。新しく開設された医院は開業準備の段階から機器や内装、採用、ホームページなどの需要が重なりやすい相手ですが、移転による開設も含まれることを踏まえ、リストでは「新規の開設か、移転か」を確かめて分けておくと提案の中身を合わせやすくなります。

3 歯科医院を探す3つの方法

歯科医院の一覧を作る方法は、大きく分けて3つあります。国の仕組みで公表されている情報から探す方法、医院のホームページを1院ずつ見る方法、企業データベースから条件で絞り込む方法です。それぞれ分かることと手間が違うので、作りたい件数と使える時間に合わせて組み合わせます。

探し方分かること向いている使い方気をつけること
① 医療情報ネット(ナビイ)医院から都道府県に報告された診療科目・所在地・診療日・診療時間など地域の医院を1院ずつ確かめる、診療時間を調べる最新の報告が反映されていない場合がある。転載は出所の明記が必要
② 医院のホームページ院長のあいさつ、診療内容、診療時間、問い合わせ窓口、求人の有無提案のきっかけを探す、営業お断りの表示を確かめる1院ずつ見る時間がかかる。ホームページのない医院もある
③ 企業データベース業種・地域などで絞った一覧と連絡先まとまった件数を短い時間で作る、条件を変えて作り直す収録の範囲はサービスによって違い、個人で開設された医院がどこまで載っているかは確かめが必要

医療情報ネット(ナビイ)で探す

厚生労働省の「医療機能情報提供制度について」のページによると、医療機能情報提供制度は、住民・患者による医療機関の適切な選択を支援することを目的として、平成18年の第五次医療法改正で導入されました。病院や診療所に医療機能に関する情報を都道府県知事へ報告することを義務付け、都道府県知事がその情報を住民・患者に分かりやすく提供する仕組みです。もともと都道府県ごとに運用されていた情報提供のシステムは集約され、全国統一の「医療情報ネット(ナビイ)」として令和6年4月から運用されています。

医療情報ネットでは、全国の病院・診療所・歯科診療所などを、フリーワード・施設名称・診療科目・所在地といったキーワードや、都道府県・市区町村などの場所、受付時間から探せます。医療広告等ガイドラインでは、歯科の診療科名として「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」が例示されているので、狙う診療内容に合わせて診療科目で絞り込むのも一つの方法です。

使う前には、厚生労働省の「医療情報ネット 利用規約・リンク等」を読んでおきましょう。そこには、掲載している情報は病院等から報告を受けた内容を原則としてそのまま載せており、報告の状況によっては必ずしも最新の内容が反映されていない場合があること、掲載情報の権利は厚生労働省と各都道府県に帰属し、転載する場合は出所を明記すること、管理や運営に支障を及ぼす行為を禁止し、利用が著しく集中した場合には事前の通知なく利用を制限することがある、と書かれています。この仕組みはもともと患者が医療機関を選ぶためのものなので、営業に使う場合も1院ずつ確かめる参考にとどめ、プログラムで大量に取り出すような使い方は避けるのが無難です。

医院のホームページで確かめる

医療法第6条の5第3項では、医院の名称・電話番号・所在の場所、管理者の氏名、診療日・診療時間、予約による診療の有無などが、広告できる事項として定められています。こうした基本の情報に加えて、ホームページには院長のあいさつや診療方針、診療内容、設備、スタッフの募集といった、提案の切り口になる情報が載っていることがあります。たとえば、受付やスタッフの募集が続いている医院なら採用の支援や受付の負担を減らす仕組み、診療内容の案内を広げたい様子が見える医院ならホームページの見直し、というように、売るものとの接点をメモしておくと、連絡するときの話が具体的になります。

あわせて、問い合わせのページに「営業目的のご連絡はご遠慮ください」といった表示がないかも確かめます。医院の問い合わせフォームやメールは、患者からの予約や相談の窓口として用意されていることが多いため、営業の連絡に使ってよいかどうかは慎重に見極めましょう。

企業データベースで絞り込む

まとまった件数を短い時間で作りたい場合や、地域や条件を変えて何度も作り直したい場合は、企業データベースが向いています。業種や地域で絞り込んだ一覧に電話番号などの連絡先がそろっていれば、1院ずつ調べる手間を大きく減らせます。ただし、データベースに載っていない医院は一覧に出てきませんし、どのような情報をもとに作られているかもサービスによって違います。購入する前に、狙う地域でどれくらいの件数が出てくるのか、どの列が入っているのかを確かめておきましょう。生成AIとデータベースを組み合わせた作り方はAIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで詳しく紹介しています。

地図で医院を探す画面、医院のホームページの画面、絞り込みのできる一覧表の画面が矢印でつながり、最後にチェックリストを確かめるビジネスパーソンが描かれたイラスト

4 歯科医院の営業リストに入れる列

歯科医院向けのリストは、会社向けのリストと比べて「いつ連絡してよいか」と「誰が決めるか」の列が大切になります。診療時間を知らずに電話をかければ診療の手を止めてしまいますし、開設者の区分が分からなければ、院長と理事長のどちらに話すべきかを迷います。最低限、次の列をそろえておくと、連絡の前の確かめがしやすくなります。

列中身の例なぜ必要か
医院名・所在地医院の正式な名称、市区町村まで含む住所地域で絞る、移転や同じ名前の医院との取り違えを防ぐ
開設者の区分個人・医療法人(法人名)誰が決めるのか、相談の中身がどう変わるのかを見分ける
院長名ホームページなどで公表されている氏名電話や郵送で名指しする。個人情報として扱う
診療科目歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科など売るものとの相性で優先順位を付ける
診療日・診療時間・休診日曜日ごとの診療時間、休診日診療中を避けて連絡する時間を決める
電話番号・ホームページ代表の電話番号、ホームページのURL連絡と下調べの入り口
提案のきっかけ求人を出している、移転した、新しく開設した など連絡するときの話の切り口にする
営業お断りの表示あり・なし、確かめたページ連絡しない医院をはっきりさせる
連絡の記録日時、手段、話した相手、結果、次の予定同じ医院に重ねて連絡しない、担当が替わっても引き継げる
確かめた日と出典確かめた日付、使った情報源情報が古くなっていないかを見直す、出所の明記に使う

電話で連絡するなら電話番号と診療時間、郵送で資料を送るなら住所と院長名、メールを使うならメールアドレスとそのアドレスを知った経緯、というように、使う手段によって欠かせない列は変わります。手段ごとの列の考え方はテレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点もあわせてご覧ください。同じ医院が別の名前や古い住所で重複して入っていると、知らないうちに同じ医院へ二度連絡してしまうので、リストを作ったら名寄せもしておきましょう。

5 医療広告ガイドラインなど、営業の前に知っておくこと

歯科医院への営業では、一般の会社への営業にはない決まりがいくつか関わります。とくにホームページや広告、医療機器を扱う会社は、提案の中身そのものに関わるので、厚生労働省などの資料の原文に目を通しておきましょう。ここでは主なものを紹介しますが、細かな当てはめは事案によって変わります。

医療広告のきまりは「何人も」が対象

医療法第6条の5第1項は、「何人も」、医業や歯科医業、病院や診療所に関して広告をする場合には虚偽の広告をしてはならないと定めています。厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)は、この規定を受けて、医師や歯科医師、医療機関だけでなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者や一般の人も含め、何人も広告規制の対象になると説明しています。さらに、依頼を受けて広告を企画・制作する広告代理店や、広告を掲載する媒体の業務に携わる人も、内容が法やガイドラインに違反していないか十分に留意する必要があり、違反等があった場合には広告依頼者とともに指導等の対象となり得るとしています。

同じガイドラインによると、医療機関のウェブサイトは、平成29年に成立した医療法等の一部を改正する法律によって、ほかの広告の媒体と同じように規制の対象となりました。また、ガイドラインが挙げる広告の媒体の例には、チラシやダイレクトメール、ファクシミリのほか、看板、インターネット上の広告なども含まれています。ホームページ制作や看板、チラシの提案をする会社にとっては、医院の依頼で作るものであっても無関係ではありません。

禁止される広告と、歯科の事例

ガイドラインは、虚偽広告に加えて、他の医療機関と比べて優良であるとする比較優良広告、誇大広告、公序良俗に反する内容の広告、患者などの主観や伝聞に基づく治療等の内容や効果に関する体験談の広告、治療等の内容や効果について患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等の広告を禁止される広告として挙げています。「日本一」「№1」「最高」といった最上級の表現は、客観的な事実であっても禁止される表現にあたるとされています。

厚生労働省が令和8年3月に作成した「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」には、歯科医院を想定した事例も載っています。たとえば、即日のインプラント治療を案内しながら、治療後に定期的なメンテナンスが必要なのに「1日で全ての治療が終了します」と書く表現や、データの根拠を示さずにインプラント手術の成功率を示す表現、ホワイトニングの説明に加工・修正した術前術後の写真等を載せる例が、虚偽広告の事例として紹介されています。口コミサイトから体験談を転載する例も、禁止される体験談の事例として取り上げられています。

ウェブサイトなどで、広告できる事項以外のことを載せるには、ガイドラインが示す限定解除の要件を満たす必要があります。患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトであること、問い合わせ先を記載すること、自由診療について情報を提供する場合には、通常必要とされる治療等の内容や費用などと、主なリスクや副作用などの情報を提供すること、の4つです。ホームページの見直しを提案する会社は、提案する文面や写真、見本のページがこれらに触れないかを、事例解説書と照らし合わせて確かめておくと、医院からの信頼にもつながります。なお、ガイドラインは、職員の採用を目的とした求人広告は受診を誘引するものではないため、ガイドラインの対象となる広告ではないとしています。

医療機器を売るなら、許可や届出と景品類の制限を確かめる

医療機器を販売・貸与する場合は、機器の区分に応じた手続きが必要です。たとえば東京都西多摩保健所の案内では、高度管理医療機器や特定保守管理医療機器を販売・貸与する場合は事前に許可を、管理医療機器(特定保守管理医療機器を除く)を販売・貸与する場合は事前に届出をする必要があると説明されています。手続きの窓口や細かな要件は営業所の所在地によって違うので、自社の営業所を管轄する都道府県や保健所の案内で確かめましょう。

また、医療機器業公正取引協議会によると、景品表示法に基づく「医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業における景品類の提供に関する事項の制限」(医療機器業等告示)は、医療機器を取り扱っているすべての事業者に適用されます。業界の自主規制ルールとして平成10年11月に設定された「医療機器業公正競争規約」は、医療法に規定する病院や診療所、そこに所属する歯科医師などを「医療機関等」とし、医療機器の取引に附随して不当な景品類を提供することを制限しています。手土産や無償の提供、飲食の場を設けるといった場面では、規約と運用基準を確かめてから判断してください。

院長名などは個人情報として扱う

個人情報保護委員会の「よくある質問(個人向け)」は、個人情報とは生きている個人に関する情報で特定の個人であると分かるものなどをいい、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の役員等の氏名等の情報は個人情報に含まれると説明しています。氏名のみであっても、個人情報に含まれると考えられるとしています。個人で開設された医院では、院長の氏名は個人の情報そのものですし、医院の名前に院長の姓が入っていることもあります。院長名を含むリストを事業で使う場合は、個人情報保護法に沿って、利用目的をできる限り特定し(第17条)、取得したときはあらかじめ利用目的を公表している場合を除いて速やかに本人に通知するか公表する(第21条)といった扱いが求められます。リストを購入する場合の考え方は名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで詳しく取り上げています。

メールで案内するなら特定電子メール法に沿う

特定電子メール法第3条は、広告や宣伝のメールは、原則として、あらかじめ送信に同意した相手などにだけ送れると定めています。例外の一つとして、インターネットで自分のメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人への送信が挙げられていますが、同法の施行規則第3条は、アドレスと一緒に広告宣伝のメールを送らないよう求める文言を公表している場合は、この例外にあたらないとしています。また、同法第4条は、送信者の氏名や名称、受信を拒否する連絡先などを表示することを求めています。医院のホームページに載っているアドレスに案内を送るときも、これらのきまりを確かめておきましょう。

本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。個別の事案で判断に迷うときは、弁護士などの専門家や、所管の自治体の窓口にご相談ください。

6 開業医への連絡のマナー

歯科医院への営業で最も気をつけたいのは、相手が患者の診療をしている最中だということです。電話に出るのは、患者の受付や会計、予約の電話に対応している受付のスタッフであることが多いでしょう。会社への営業と同じ感覚で連絡すると、それだけで印象を悪くしかねません。

診療中の電話を避け、時間を選ぶ

連絡の前に、医院のホームページや医療情報ネットで診療日・診療時間・休診日を確かめ、リストの列に書き込んでおきます。診療中や、受付が混み合いやすい時間に電話をかけるのは避けましょう。どの時間が良いかは医院によって違うので、一律の正解はありません。電話がつながったら、まず相手が今話せる状況かを尋ね、用件は短く伝えます。その場で院長への取り次ぎを求めるより、「院長先生に資料をお送りしてもよろしいでしょうか」と尋ねるほうが、受付の負担を減らせます。

決めるのは院長であることが多い

統計で見たとおり、歯科医院は個人で開設されたものが多く、医療法では開設した歯科医師が自ら管理するのが原則です。受付のスタッフに導入を決める権限があることは少ないと考え、受付で無理に話を進めようとせず、院長に判断材料を届けることを目標にしましょう。医療法人の場合は、理事長や事務長が窓口になることもあるので、誰が判断するのかを丁寧に確かめます。

予約のない訪問は控え、読める形で届ける

待合室に患者がいる医院へ予約なしで訪ねると、診療の流れを止めてしまいます。初めての連絡では、院長が診療の合間や診療後に目を通せるよう、要点をまとめた資料を郵送するなど、相手の都合の良いときに読める形で届けるのも一つの方法です。資料には、何を、なぜこの医院に案内するのかを短く書き、問い合わせ先を分かりやすく載せます。郵送と電話を組み合わせる進め方は医療・福祉業界の営業リスト作成ガイドでも紹介しています。

言葉選びと、断られたときの扱い

医院がホームページや看板で使えない「日本一」「最高」のような表現や、他の医院を下げて自社の提案を持ち上げる言い方は、営業の場面でも避けたほうが信頼を得やすくなります。また、「営業はお断りしています」と言われた医院や、ホームページで営業お断りを表示している医院は、リストに記録して社内で共有し、電話・郵送・メールのどの手段でも重ねて連絡しないようにします。担当者が替わっても同じ医院に連絡が重ならないよう、連絡の記録は欠かさず残しましょう。

7 歯科医院の営業リストを作る手順

ここまでの内容を、実際にリストを作る順番にまとめます。最初から件数を追うより、狙う医院の条件をはっきりさせてから作るほうが、連絡した後の会話がかみ合いやすくなります。

  • 1
    売るものと、合う医院の条件を決める
    診療科目、開設者の区分(個人・医療法人)、地域、提案のきっかけ(新規開設・移転・求人など)のうち、どれを条件にするかを決めます。
  • 2
    統計で地域ごとの数を見て、範囲を決める
    医療施設動態調査の都道府県別の数を目安に、1か月に連絡できる件数と照らし合わせて、都道府県や市区町村の範囲を決めます。
  • 3
    一覧の土台を作る
    企業データベースで条件に合う医院を絞り込むか、医療情報ネットで1院ずつ確かめて、医院名・所在地・電話番号の土台を作ります。
  • 4
    医院のホームページで中身と連絡先を確かめる
    診療内容、院長名、診療時間、求人の有無、営業お断りの表示を確かめ、提案のきっかけをメモします。
  • 5
    連絡する時間帯と手段を決める
    診療日・診療時間・休診日を列に書き込み、電話・郵送・メールのどれで連絡するかを医院ごとに決めます。
  • 6
    個人情報と提案の中身を確かめる
    院長名などの扱いが個人情報保護法に沿っているか、ホームページや広告の提案なら見本や文面が医療広告のきまりに触れないかを確かめます。
  • 7
    連絡の記録を残し、断られた医院を共有する
    日時・相手・結果を記録し、営業お断りの医院はリストから外した理由とともに残します。確かめた日も書いておき、定期的に見直します。

主な営業リスト作成ツールの機能や料金の違いを比べたい場合は営業リスト作成ツール10選を比較【2026年版】料金・機能・選び方でまとめています。

8 リスジェネで歯科医院を探すときの使い方

営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金、初期費用と月額費用はかかりません。歯科医院を探すときは、次のような使い方ができます。

  • 1
    AI検索に普段の言葉で条件を入れる
    業種・地域・特徴を、たとえば「横浜市の歯科医院」(想定の例)のように普段の言葉で入力します。AI検索は1日50回まで無料です。取引のある医院のホームページのURLや名前を入れて、似た会社を探すこともできます。
  • 2
    フリーワード検索で「歯科」などの言葉を探す
    フリーワード検索は、企業名・事業概要・採用情報などの項目を横断して探します。「歯科」「矯正歯科」のように、狙う診療内容に合わせて言葉を変えてみてください。
  • 3
    地域と業種の条件で絞り込む
    都道府県に加えて、市区町村は住所の文字の部分一致で絞り込めます。大分類・詳細業種の条件もあるので、検索結果の業種の表示を見ながら条件を調整します。
  • 4
    採用の状況で、提案のきっかけを探す
    採用状況を「採用中」にしたり、採用職種で検索の欄に職種名を入れたりすると、採用情報の概要から絞り込めます。採用の支援や受付の負担を減らす仕組みを案内したいときの手がかりになります。
  • 5
    使う手段に合わせて、持っている項目で絞る
    「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、電話番号・FAX番号・メールアドレス・問い合わせフォームなどを持つ医院だけに絞り込めます。問い合わせフォーム・電話・メール・FAXの保有状況からAIが判定した「推奨アプローチチャネル」で絞ることもできます。
  • 6
    一覧を無料で確かめてから、必要な分だけダウンロードする
    狙う地域の医院がどれくらい載っているか、業種や所在地が狙いどおりかを一覧で確かめてから選びます。ダウンロードは決済の最低額の関係で17件からです。トップページのサンプルCSVで、列の中身を先に確かめることもできます。

リスジェネのデータについて

リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための削除依頼の窓口も設けています。個人で開設された歯科医院がどこまで載っているかは地域によって違いうるので、ダウンロードの前に無料の一覧で件数と中身を確かめてください。連絡の前には医院のホームページで診療時間と営業お断りの表示を確かめ、代表者名の列を使う場合は、第5章で触れた個人情報保護法の考え方に沿って扱ってください。

9 連絡する前のチェックリスト

リストができたら、最初の1件に連絡する前に、次の項目を確かめておきましょう。どれも一度決めておけば、担当者が増えても同じ品質で連絡を続けられます。

  • 売るものと、合う医院の条件(診療科目・開設者の区分・地域・提案のきっかけ)を言葉にしたか
  • 医院名・所在地を医療情報ネットや医院のホームページで確かめ、移転や重複を整理したか
  • 診療日・診療時間・休診日を列に入れ、診療中を避けて連絡する時間を決めたか
  • 個人開設か医療法人かを確かめ、誰が判断するのかを見当づけたか
  • 営業お断りの表示がある医院を外し、その理由を記録したか
  • 院長名などの個人情報について、利用目的の特定や公表・通知の扱いを確かめたか
  • ホームページや広告を提案するなら、見本や文面が医療広告等ガイドラインに触れないか確かめたか
  • 医療機器を扱うなら、販売の許可や届出と、景品類の提供の制限を確かめたか
  • メールを使うなら、特定電子メール法の送信先の条件と表示のきまりを確かめたか
  • 連絡の記録(日時・手段・相手・結果)と、確かめた日・出典を残す列を用意したか

10 よくある質問

Q.歯科医院は全国にいくつありますか?

A.厚生労働省の「医療施設(動態)調査」によると、令和7年(2025年)10月1日現在の歯科診療所は65,624施設で、前年より754施設減っています。月ごとの概数では、令和8年(2026年)7月末に64,975施設です。開設者は「個人」が47,539施設(令和7年10月1日現在、歯科診療所全体の72.4%)と最も多くなっています。

Q.歯科医院の営業リストは無料で作れますか?

A.作れます。厚生労働省と各都道府県が運営する医療情報ネット(ナビイ)では診療科目や所在地から歯科診療所を探せ、医院のホームページでも診療時間や問い合わせ窓口を確かめられます。ただし1院ずつ調べる時間がかかり、医療情報ネットの情報を転載するときは出所の明記が求められます。リスジェネなら検索と一覧の閲覧が無料で、必要な分だけ1件3円からダウンロードできます。

Q.歯科医院に電話するのに向いている時間はありますか?

A.すべての医院に当てはまる時間はありません。医院のホームページや医療情報ネットで診療日・診療時間・休診日を確かめ、診療中や受付が混み合う時間を避けるのが基本です。電話では用件を短く伝え、院長に資料を送ってよいかを尋ねる形にすると、診療の手を止めずに済みます。

Q.医療広告ガイドラインは、医院に営業する会社にも関係しますか?

A.関係することがあります。厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、医療法第6条の5の「何人も」という規定のとおり、医療機関だけでなく広告代理店やアフィリエイターなども広告規制の対象になるとし、依頼を受けて広告を企画・制作する会社も、違反があれば広告依頼者とともに指導等の対象となり得ると説明しています。ホームページ制作や広告の提案では、提案する文面や写真が禁止される広告にあたらないかを確かめてください。なお、この回答は法律相談ではありません。

Q.院長の名前を営業リストに入れてもよいですか?

A.入れる場合は個人情報として扱うのが基本です。個人情報保護委員会のよくある質問は、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の役員等の氏名などは個人情報に含まれ、氏名のみでも個人情報に含まれると考えられると説明しています。利用目的をできる限り特定し、取得したときは利用目的を公表または本人に通知するなど、個人情報保護法に沿って扱ってください。なお、この回答は法律相談ではありません。

Q.リスジェネで歯科医院を探せますか?

A.リスジェネは、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。AI検索に業種や地域を普段の言葉で入れたり、フリーワード検索で「歯科」などの言葉を企業名や事業概要から探したりできます。収録しているのは各企業が自社のWebサイトで公開している情報をもとにした法人情報なので、狙う地域の医院がどれだけ載っているかを無料の一覧で確かめてから、必要な分だけダウンロードしてください。

この記事のポイント

  • 歯科診療所は令和7年10月1日現在65,624施設、令和8年7月末の概数で64,975施設。数を示すときは、年報か概数かと時点を添える
  • 開設者の7割余りは個人で、開設した歯科医師が自ら管理するのが原則。判断するのは院長本人であることが多いと考えて準備する
  • 探し方は医療情報ネット・医院のホームページ・企業データベースの3つ。利用条件を守り、最後は医院のホームページで確かめる
  • リストには診療時間・休診日、開設者の区分、営業お断り、連絡の記録の列を入れる
  • 医療広告のきまり、医療機器の許可や届出と景品類の制限、個人情報保護法、特定電子メール法を確かめ、診療中の連絡と重ねての連絡を避ける

狙う地域の歯科医院が載っているか、無料の一覧で確かめてみる

AI検索やフリーワード検索で探し、都道府県・市区町村や保有している連絡先の項目で絞り込めます。一覧を確かめてから、必要な分だけダウンロードできます。

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検索・閲覧は無料・AI検索は1日50回まで無料・初期費用0円・月額0円・ダウンロードは1件3円から

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ListGene編集部

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