営
営業屋Sales Innovation
Expert Insight PUBLISHED: 2026.10.30

営業の自動化は何から始める?
新規開拓で任せられる作業と残す作業

この記事の3つの要点

  • 1

    営業の自動化は「営業を丸ごと道具に任せること」ではなく、新規開拓の作業を、狙う会社を決める・リストを作る・連絡する・返事を追う・記録するの5つに分け、繰り返しが多くルールにしやすい作業から道具に任せていく考え方です。狙いの決定、文面の芯、返事への対応、断りの扱いといった判断と関係づくりは、人が残します。

  • 2

    始める順番は、作業ごとの時間を測る、判断の少ない作業を1つだけ選ぶ、狙いを1つに絞って小さな件数で試す、記録の型を決める、見直してから広げる、という流れが無理のない形です。費用は、月額・1件ごとの単価・初期費用・社内で使う時間を1か月の単位にそろえて、掛け算で比べます。

  • 3

    自動化は送る量を増やすので、営業お断りの表示と断りの連絡の尊重、送る量と間隔、メールに切り替えるときの特定電子メール法、集める先のサイトの利用規約と個人情報の扱いを、量を増やす前に決めておくことが大切です。道具を使っても、連絡を送る主体が自社であることは変わりません。

歯車で動く水色の作業台と、人の手が置かれた赤い作業台が線でつながり、新規開拓の作業を道具と人で分け合う様子を表したイメージ

「営業を自動化したい」と考えて調べ始めると、顧客管理の仕組み(SFA・CRM)、マーケティングの自動化(MA)、AIの営業担当、フォーム営業のツールと、似た言葉が次々に出てきて、結局どこから手を付ければよいのかが分かりにくくなります。そこで本記事では、営業の中でも、まだ取引のない会社に初めて連絡する「新規開拓」の作業に絞って考えます。新規開拓の作業を、狙う会社を決める、リストを作る、連絡する、返事を追う、記録するの5つに分け、道具に任せられる作業と人が残しておきたい作業を表で整理したうえで、小さく試して広げる始める順番、料金の掛け算で考える費用の比べ方、自動化で量を増やす前に決めておきたい注意点までを順に説明します。

営業の自動化とは|この記事は「新規開拓」の作業に絞る

営業の自動化という言葉が指す範囲はとても広く、見込み客を集めて育てる仕組み、商談の進み具合を管理する仕組み、受注したあとのお客様との関係を保つ仕組み、そして新しい会社に連絡する作業まで、営業のさまざまな場面に道具が入り込んでいます。どの場面の話なのかを決めないまま「営業を自動化しよう」と始めると、比べる道具の種類がばらばらになり、何を入れれば何が楽になるのかが見えにくくなってしまいます。

営業の場面主な道具の例営業屋のコラムでの扱い
見込み客を集めて育てるMA(マーケティングオートメーション)営業DXの記事で、SFA・CRMとあわせて解説
商談の進み具合を管理するSFA(営業支援システム)同上
受注後の関係を保つCRM(顧客関係管理)同上
まだ取引のない会社に連絡する企業データベース、フォーム営業のツール、メールの配信、生成AI本記事(新規開拓の作業ごとに整理)

SFA・CRM・MAの違いと、どれから入れるかについては「営業DX完全ガイド|SFA・CRM・MAは何から入れるべきか」に、予算や社内のIT担当が限られている会社が営業のデジタル化を進める手順は「中小企業の営業DXを低コストで始める|IT人材不在でも進めやすい手順とツール選定」にまとめています。本記事はその中から新規開拓の作業だけを取り出し、作業を細かく分けたうえで、どこを道具に任せ、どこを人が持つかを考えることに絞ります。

なぜ新規開拓の作業から考えるのか

中小企業庁の「2026年版 中小企業白書」(2026年4月公表)は、景況調査の従業員数過不足DIをもとに、中小企業・小規模事業者の人手不足は依然として深刻だとしています。同じ白書で紹介されているアンケート調査(帝国データバンクとデロイト トーマツが2025年11月から12月にかけて実施)では、最も重視する経営課題として、中規模企業では「人材確保」、小規模事業者では「受注・販売の拡大」と答えた割合が最も高くなっています。さらに、中小企業の雇用者数の将来推計では、中位の推計で、2040年に2018年と比べて約8%低下する可能性が示されています。

新しいお客様を増やしたいのに、営業に使える人の時間は増えにくい。そうした中で、限られた時間をどの作業に使うかを考え直すことが、新規開拓を自動化する出発点になります。新規開拓は、リストを作り、1社ずつ調べ、連絡し、記録するという繰り返しの作業が多く、作業の区切りもはっきりしているので、どこを道具に任せるかを決めやすい場面でもあります。

「任せる」には3つの深さがある

一口に道具に任せるといっても、その深さには段階があります。1つ目は、道具が下ごしらえをして人が仕上げる形で、リストの候補を道具が絞り込み、人が目で確かめてから使うような使い方です。2つ目は、人が決めたルールの範囲で道具が実行する形で、送り先と文面の方針、送る時間帯や1日の上限を人が決め、送る作業そのものを道具が行う使い方です。3つ目は判断まで道具に任せる形ですが、新規開拓では、誰に連絡するか、断られたらどうするかといった判断が相手との関係に直結するため、本記事ではこの段階まで任せることはおすすめしません。

任せる深さ道具がすること人がすること新規開拓での例
下ごしらえ候補を集める・絞る・下書きする確かめて仕上げるリストの候補、1社ごとの下調べ、文面の下書き
ルールの中で実行決められた条件で送る・記録する条件を決め、結果を見て直す時間帯と1日の上限を決めた送信、送った記録
判断まで任せる誰に何を送るかも決めるほとんど関わらない新規開拓ではおすすめしない

新規開拓の作業を5つに分ける|狙う会社を決める・リストを作る・連絡する・返事を追う・記録する

どこを任せるかを決める前に、新規開拓の作業そのものを分けておきます。作業をひとまとめにして「営業」と呼んでいるうちは、どの部分に時間がかかっているのかが見えないからです。ここでは、まだ取引のない会社に初めて連絡し、商談の約束につなげるまでの流れを、5つの作業に分けて整理します。

作業中身(細かい作業)時間がかかりやすいところ
1. 狙う会社を決める売りたいものに合う業種・地域・規模を決める、今のお客様の共通点を洗い出す、外す会社を決める社内で考えをそろえること
2. リストを作る会社を集める、公式サイトと連絡先を確かめる、重複と外す会社を照合する、列を整える1社ずつの確かめと、表記のそろえ
3. 連絡する1社ごとに下調べする、文面を作る、問い合わせフォーム・メール・電話で連絡する下調べと、フォームへの入力の繰り返し
4. 返事を追う返信を確かめて振り分ける、日程を調整する、資料を送る、断りに応じる返信を見落とさず、早く返すこと
5. 記録する送った日・結果・反応・断りを残す、数字をまとめる、次に変えることを決める記録の抜けと、書き方のばらつき

1. 狙う会社を決める

新規開拓の出発点は、どのような会社に連絡するかを決めることです。売りたい商品やサービスがどの業種のどんな困りごとに合うのか、どの地域なら訪問や対応ができるのか、どのくらいの規模の会社なら導入しやすいのかを決め、今のお客様に共通する特徴があれば、それも手がかりにします。あわせて、既存のお客様や取引先、競合する会社など、連絡しない会社もこの段階で決めておくと、あとのリスト作りで迷いません。

2. リストを作る

狙いが決まったら、その条件に合う会社を集めて一覧にします。会社名だけでなく、公式サイトのURL、使う連絡手段(問い合わせフォーム・メール・電話)、確かめた日などの列をそろえ、同じ会社が二重に入っていないか、外す会社が混ざっていないかを照合します。手作業で作ると、1社ずつ公式サイトを開いて確かめる作業が件数分だけ積み重なり、新規開拓の中でも時間がかかりやすい作業です。問い合わせフォームに送るためのリストの列と確かめ方は「フォーム営業リストの作り方|問い合わせフォームURL付き企業リストの手順」で詳しく説明しています。

3. 連絡する

リストの会社に連絡する作業です。相手のホームページを見て事業の内容や最近の取り組みをつかみ、自社の提案がどう役に立ちそうかを考えて文面を作り、問い合わせフォーム、メール、電話などで連絡します。同じ文面を全社に送れば作業は早く済みますが、相手からは使い回しの文面に見えやすくなります。1社ごとに書き分けようとすると、今度は下調べと文章を考える時間が件数分かかり、フォームへの入力の繰り返しも加わります。

4. 返事を追う

返信が届いたら、内容を読んで、話を聞きたいという返事、資料がほしいという返事、今は不要という返事、今後の連絡を断る返事などに振り分け、それぞれに応じます。商談の約束につながるかどうかは、この作業の早さと丁寧さに大きく左右されます。返信が複数の窓口(フォームへの返信のメール、電話、自社の問い合わせフォーム)に分かれて届くと、見落としが起きやすくなる点にも注意が必要です。

5. 記録する

いつ、どの会社に、どの文面で連絡し、どのような結果だったかを残す作業です。記録があれば、同じ会社に重ねて送ることや、断られた会社に再び連絡してしまうことを防げますし、どの業種や文面で反応があったかを見比べて、次の狙いや文面を直すこともできます。記録が担当者の頭の中や個人のファイルにとどまっていると、担当が替わったときに引き継げなくなるので、誰が見ても分かる形で一か所に残すことが大切です。仕事のやり方が特定の人に偏ることの影響と、その解消の手順は「営業の属人化とは|原因・リスクと解消の5ステップ(中小企業向け)」で整理しています。

1週間だけ、作業ごとの時間を書き出してみる

作業を分けたら、1週間ほど、5つの作業のそれぞれに何時間使ったかを書き出してみることをおすすめします。細かく測る必要はなく、1日の終わりに「リスト作り 1時間、フォームへの入力 2時間、返信への対応 30分」のように大まかに残すだけでも十分です。書き出してみると、思っていたより時間を取られている作業や、反対にほとんど手が回っていない作業が見えてきます。この記録が、次の章で道具に任せる作業を選ぶときの根拠になり、あとで費用を比べるときの物差しにもなります。

道具に任せられる作業と人が残す作業|作業ごとの早見表

5つの作業のそれぞれについて、営業自動化ツールなどの道具に任せられることと、人が残しておきたいことを並べると、次のようになります。どの作業も「全部任せる」か「全部人がやる」かの二択ではなく、1つの作業の中で、道具が受け持つ部分と人が受け持つ部分に分かれるのが実際の姿です。

作業道具に任せられること人が残すこと
狙う会社を決める業種・地域・規模などの条件での候補の絞り込み、今のお客様に似た会社の検索、狙う会社の像を言葉にする下書きどの市場を狙い、何を売るかの決定、外す会社の方針
リストを作る条件に合う会社の抽出、連絡先や問い合わせフォームの有無での絞り込み、重複の照合、外す会社の一覧との照合抜き取りでの中身の確かめ、判断に迷う会社の扱い
連絡する相手のホームページを読んだ下調べ、1社ごとの文面の書き分け、決めた時間帯と上限での送信文面の芯(何を伝えるか・差出人・連絡先)、送ってよいかの線引き、大事な相手への個別の連絡
返事を追う送れた・クリックされたなどの知らせ、返信が届いたことの知らせ返信の中身を読んでの対応、日程の調整、断りへの応対
記録する送った日・結果・送れなかった理由の自動の記録、数字の集計数字の読み取りと、次に何を変えるかの判断、断りの記録を社内で共有すること

任せやすい作業の4つの共通点

表を見ると、道具に任せやすい作業には共通点があります。何度も繰り返す作業であること、手順やルールを言葉にできること、結果が記録に残ってあとから確かめられること、そして間違いがあっても次の回で直せることの4つです。条件でのリストの絞り込み、決めた条件での送信、送った記録の集計は、いずれもこの4つに当てはまります。反対に、1回きりの作業や、その場の状況を見て決める作業は、道具に任せても手間があまり減りません。

人が残す作業の共通点

人が残しておきたいのは、会社としての判断と責任が伴う作業、相手との関係に直結する作業、そして例外が多くてルールにしにくい作業です。誰を狙い、何を伝えるかは会社の方針そのものですし、返信をくれた相手への応じ方や、断りの連絡を受けたときの対応は、その後の関係を大きく左右します。「営業お断り」の表示がある会社や、送ってよいか判断に迷う会社をどう扱うかも、最後は人が線を引いておくべきところです。道具は、こうした判断に使う時間をつくるためのものと考えると、任せる範囲を決めやすくなります。

AIに任せる作業は「下書き」と考える

生成AIは、狙う会社の像を言葉にする、1社ごとの下調べをまとめる、文面を書き分けるといった作業を手早く進めてくれます。一方で、生成AIの答えには誤りが混ざることがあり、実在しない会社名や古い情報が出てくることもあります。社名や連絡先は公式サイトや法人番号などの元の情報で確かめ、文面は送る前に自社の方針どおりかを確かめる、という前提で「下書き」を任せるのが安全です。AIを使ったリスト作りの注意点は「AIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分け」で、生成AIが営業のどの場面で使われ始めているかは「AI営業の最新トレンド2026|生成AIが変える新規開拓」で詳しく説明しています。

上の段で水色の箱が歯車の模様とともに流れ、下の段で赤い箱の横に人が立ち、道具に任せる作業と人が残す作業が線でつながっている様子を表した図
繰り返しの作業は道具に、判断と関係づくりは人に分けて受け持つ

営業の自動化は何から始めるか|小さく試す・記録する・広げるの順番

任せられる作業が分かっても、一度に全部を道具に移すと、何が効いて何が問題だったのかが分からなくなります。ここでは、新規開拓の自動化を、小さく試して記録し、確かめてから広げていくための5つの手順をまとめます。

STEP 01

作業を書き出して時間を測る

前の章で紹介したように、1週間ほど、狙う会社を決める・リストを作る・連絡する・返事を追う・記録するの5つの作業に、それぞれ何時間使ったかを書き出します。誰がどの作業をしているかもあわせて書いておくと、手が回っていない作業や、特定の人に偏っている作業が見えてきます。

STEP 02

任せる作業を1つだけ選ぶ

時間がかかっていて、判断の少ない作業を1つ選びます。多くの会社では、条件に合う会社を集めるリスト作りか、問い合わせフォームへの入力と送信が最初の候補になります。複数の作業を同時に任せると、結果が変わったときに何が効いたのかが分からなくなるので、最初は1つに絞ります。

STEP 03

狙いを1つに絞り、小さな件数で試す

業種と地域を1つずつに絞り、無料の範囲やお試しで収まる件数から始めます。文面も1つか2つの版に絞っておくと、結果を見比べやすくなります。最初の数十社は、道具が出した結果を人が1件ずつ確かめ、任せてよい部分と人が見るべき部分の線を引き直します。

STEP 04

記録の型を決める

送った日、使った文面、結果、送れなかった理由、反応、断られた記録といった列を先に決めておきます。道具が自動で残す記録と、人が書き足す記録を分けておくと、記録の抜けを防げます。断られた会社は、その日のうちに外す会社の一覧(NGリスト)へ移す決まりにしておきます。

STEP 05

見直してから広げる

社内で決めた期間がたったら、作業の時間がどれだけ減ったか、断りや苦情が届いていないか、記録が抜けなく残っているかを確かめます。問題がなければ、業種や地域を1つずつ足し、そのあとで次に任せる作業を選びます。問題があれば、量を増やす前に送り方や記録の仕方を直します。

会社の体制ごとの始め方の例(想定ケース)

最初に任せる作業は、会社の体制によっても変わります。次の表は、よくある3つの体制で考えられる順番の例です。実際の順番は、STEP 01で測った時間をもとに決めてください。

体制(想定)最初に任せる作業次に任せる作業人が残す作業
社長が営業も兼ねているリストを作る(条件での絞り込み)連絡する(下調べ・文面の書き分け・送信)狙う会社の決定、返信への対応、商談
営業担当が1〜2人連絡する(下調べ・文面の書き分け・送信)記録する(送った記録の集計)文面の芯、返信の振り分けと日程の調整
営業チームがある記録する(送った記録を一か所にまとめる)リストを作る・連絡する担当ごとの狙いの調整、断りの記録を共有する決まり

社長が営業を兼ねている会社では、本業の合間に会社を探して一覧にする作業が負担になりやすいので、まずリスト作りを任せ、空いた時間を返信への対応や商談に回す形が考えられます。営業担当がいる会社では、下調べとフォームへの入力の繰り返しに時間を取られていることが多く、連絡の作業から任せると変化を確かめやすくなります。チームで動いている会社では、担当ごとに別々のリストと記録を持っていると、同じ会社に重ねて連絡してしまうおそれがあるため、記録を一か所にまとめることが先になる場合があります。

「全部まとめて入れる」を避ける

顧客管理の仕組みから送信の道具まで一度に入れようとすると、覚えることが増え、入力の手間だけが残って使われなくなることがあります。中小企業の営業のデジタル化でよくあるつまずきと、小さく始めて広げる考え方は、先に紹介した営業DXの記事と中小企業向けの記事でも取り上げています。新規開拓の自動化でも、1つの作業を任せて記録を見ながら広げていくほうが、結果として社内に定着しやすくなります。

夕方のオフィスで日本のビジネスパーソン2人が、ガラスの壁に映る点と線のつながりを見ながら、新規開拓の作業をどこから道具に任せるかを話し合っている様子
任せる作業は1つずつ選び、記録を見ながら広げていく

営業自動化ツールの費用の比べ方|1か月の単位にそろえて掛け算で比べる

営業の自動化ツールは料金の形がさまざまで、月額の固定料金だけのもの、1件ごとに料金がかかるもの、月額と1件ごとの料金を組み合わせたもの、成果に応じて料金を払う代行などがあります。形が違うものをそのまま並べても比べられないので、まず「1か月にいくらかかるか」に単位をそろえます。

料金の形料金の決まり方確かめたいこと
月額の固定使っても使わなくても毎月同じ最低の利用期間、使わない月の扱い、件数の上限
1件ごと使った件数 × 単価何を1件と数えるか(送った件数か、成功した件数か)、最低の購入件数
月額+1件ごと基本料+件数 × 単価失敗した分にも料金がかかるか、基本料に含まれる範囲
成果に応じた代行商談の約束など、成果ごとの料金成果の数え方、最低の料金、初期費用
社内の作業人の時間1か月に何時間使っているか(STEP 01の記録)

比べるときの式

1か月の費用 = 月額の固定料金 +(1件の単価 × 件数)+ 初期費用を使う月数で割った額 + 社内で使う時間 × 1時間あたりの人件費

最後の社内で使う時間は見落とされがちですが、道具を入れても、条件の設定、結果の確かめ、返信への対応には人の時間がかかります。STEP 01で測った今の作業時間と比べて、道具を入れたあとにどれだけ減りそうかを見積もると、料金だけで比べるよりも実際に近い比べ方になります。1時間あたりの人件費は会社によって違うので、自社の数字を当てはめてください。

想定ケース|毎月200社に新しく連絡する場合の料金の掛け算

当社のリスジェネとアポジェネPROを例に、料金表をもとにした掛け算だけを示します。返信や商談の数といった成果の見込みではありません。アポジェネPROの紹介ページでは、PROの利用者はリスト作成の機能で企業データの検索・絞り込み・閲覧ができ(基本料に含まれます)、作ったリストをそのまま送信に使える一方、リストのCSVでのダウンロードには対応していないとしています。そこで、PROの中でリストを作ってそのまま送る場合と、リスジェネでCSVを買って手元でも管理する場合に分けて計算します。

項目(想定ケース)計算金額(税込)
アポジェネPROの基本料月額3,000円
フォーム送信に成功した分3円 × 成功した件数(0〜200件)0〜600円
送信に失敗した分・メールでの補完料金なし0円
A. PROの中でリストを作ってそのまま送る3,000円 + 3円 × 成功した件数3,000〜3,600円
リスジェネで200社分のCSVをダウンロード3円 × 200件600円
B. リスジェネのCSVも手元で管理する600円 + Aの金額3,600〜4,200円

200社に送ったうち、フォームでの送信に成功した件数によって、アポジェネPROの料金は3,000円から3,600円の間で変わります。何件が成功するかはリストの中身やフォームの作りによって変わるため、ここでは幅で示しました。なお、フォーム送信成功50件までは無料で試せるので、お試しの範囲で STEP 03 を行えば、ツールの料金はかかりません。こうして出したツールの料金に、社内で使う時間(条件の設定、文面の芯づくり、返信への対応)を足したものが、1か月の費用として比べる対象になります。

見落としやすい費用と条件

月額や単価だけを見て選ぶと、あとから思わぬ費用や制約に気づくことがあります。初期費用の有無、最低の利用期間と解約の条件、使わない月にかかる料金、失敗した分に料金がかかるかどうか、何を1件と数えるか、集めたデータを手元に持ち出せるかどうか、そして表示されている料金が税込か税抜かは、申し込む前に料金のページで確かめておきましょう。送る作業まで外に頼む場合の料金の仕組みは「フォーム営業の成果報酬型とは|代行料金の仕組みと選び方」で、フォーム営業ツールの料金の比べ方は「フォーム営業ツール実勢価格比較2026|最安表記と総額の差を検証」で整理しています。

やりすぎの注意|自動化で量を増やす前に決めておくこと

自動化の道具は、同じ時間で送れる量を増やします。それは裏を返せば、送り方に問題があったときに、その問題も同じだけ増やしてしまうということです。営業屋が公開している「フォーム営業マナー基準v1を公開|迷惑にしない10のチェックリスト」は、自動化が送る量を増やすからこそ、自動化の道具を提供する当社が先に基準を作り、自らを縛るべきだという考えから、送る側が守りたいマナーを10項目にまとめたものです。ここでは、量を増やす前に決めておきたいことを整理します。

営業お断りの表示と、断りの連絡を尊重する

問い合わせフォームの近くやサイトポリシーに「営業目的のご連絡はご遠慮ください」といった表示がある会社には送らないこと、そして一度断られた会社には再び送らないことは、自動化するかどうかにかかわらず守りたい基本です。マナー基準v1では、10項目のうち、営業お断りの表示を尊重することと、過去にお断りの意思を示した企業へ初回から送らない仕組みを持つことを、最初の2項目に挙げています。採用・IR・お客様相談室など、営業の連絡を受けるための場所ではない窓口に送らないことも、同じ基準の項目の一つです。道具に任せる場合も、断りの記録(NGリスト)を道具に読み込ませ、送る前に照合される状態にしておきましょう。

送る量と間隔を先に決める

短い時間に多くの送信を集中させると、相手のサイトに負担をかけたり、迷惑だと受け取られたりするおそれがあります。1日に送る上限、送る時間帯、同じ会社に再び連絡するまでの間隔を、道具を動かす前に社内で決めておきます。上限は、返信に応じられる人の時間から逆算して決めると、送ったのに返信に手が回らないという事態を避けられます。曜日や時間帯、送る間隔の考え方は「営業自動化のスケジュール戦略|送信する曜日・時間帯と間隔の考え方」にまとめています。

メールに切り替えるときは特定電子メール法に沿う

問い合わせフォームへの送信そのものは、電子メールの送信を対象とする特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の直接の対象ではないと一般に解説されていますが、解説によって整理が分かれる面もあるため、本記事では断定しません。はっきりしているのは、フォームが見つからない会社にメールで営業の連絡を送る場合や、返信をくれた相手に続けて広告や宣伝のメールを送る場合には、同法の決まりが関わるということです。

同法では、広告や宣伝のためのメール(特定電子メール)は、原則として、あらかじめ送ることに同意した相手などにしか送れません(第3条第1項)。例外の一つに、自分のメールアドレスをインターネットで公表している団体や、営業を営む個人への送信がありますが(同項第4号)、アドレスとあわせて特定電子メールを送らないよう求める文言が公表されている場合は、この例外にあたりません(同法施行規則第3条)。また、送るときは送信者の氏名または名称や、受信を拒否する連絡を受けるためのメールアドレスなどを表示する必要があり(第4条)、拒否の連絡を受けた相手には、その意思に反して送ってはいけないとされています(第3条第3項)。自動でメールに切り替わる道具を使う場合も、これらの扱いを先に確かめておきましょう。

集める先の規約と個人情報に気を配る

リスト作りを自動にする場合、集める先のサイトの利用規約で自動での収集が禁じられていないか、短い時間に大量のアクセスを送って相手のサイトに負担をかけていないかに気を配る必要があります。また、会社の情報だけでなく担当者の氏名や役職などをリストに入れると、それは個人情報として扱う必要が出てきます。担当者名の列が本当に必要かどうかから考えると、リストの扱いを軽くできます。フォーム営業に関わる法律や規約の論点は「フォーム営業は違法?利用規約・特商法・個人情報保護法の正しい理解」で詳しく整理しています。

道具を使っても、送るのは自社

自動化の道具を使っても、連絡を送る主体は使う会社自身です。当社のアポジェネPROの紹介ページでも、本サービスは利用者の責任において使う自動送信の道具であり、特定電子メール法・個人情報保護法・送信先のサイトの利用規約は利用者の側で確かめたうえで使うよう案内しています。どの道具を選ぶ場合も、道具がどこまで自動で守ってくれるのか(営業お断りの表示の扱い、NGリストでの除外、送る量の上限など)と、どこからが自社で決めることなのかを、使い始める前に確かめておきましょう。

ご注意:本記事は、条文や官公庁の資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。法令の解釈や個別のケースの判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。

新規開拓の自動化を始める前のチェックリスト

ここまでの内容を、道具を動かし始める前に確かめたい12の項目にまとめます。すべてに「はい」と答えられるようになってから、送る量を増やすのがおすすめです。

始める前の確かめ(12項目)

  1. 01新規開拓の作業を5つに分け、作業ごとの時間を測った
  2. 02最初に道具に任せる作業を1つに絞った
  3. 03狙う業種・地域・規模を1つずつに決めた
  4. 04外す会社(既存のお客様・取引先・商談中の会社・競合・断られた会社)の一覧を用意した
  5. 05営業お断りの表示がある会社と、営業の窓口ではない窓口には送らない決まりにした
  6. 061日に送る上限、送る時間帯、同じ会社に再び連絡するまでの間隔を決めた
  7. 07文面の芯(何を伝えるか、差出人、連絡先、今後の連絡を断る方法)を人が決めた
  8. 08AIが作った下調べや文面を、送る前に確かめる手順を決めた
  9. 09返信を誰が、いつまでに確かめて返すかを決めた
  10. 10送った日・結果・反応・断りの記録の列と、記録を置く場所を決めた
  11. 11メールに切り替える場合の特定電子メール法の扱いを確かめた
  12. 12費用を1か月の単位にそろえ、社内で使う時間も含めて比べた
小さな台から大きな台へと階段のように光の網が広がり、その縁に沿って赤い線が引かれ、小さく試してから決まりを守って広げていく様子を表したイメージ
決まりを先に引いてから、小さく試して少しずつ広げる

リスジェネとアポジェネPROで任せられる作業|リスト作りと連絡

最後に、当社のツールで、本記事の5つの作業のうちどこを任せられるかを整理します。どちらも、本記事でいう「下ごしらえ」と「ルールの中での実行」を受け持つ道具で、狙う会社の決定、文面の芯、返信への対応は人が残すことを前提にしています。

作業使う道具道具がすること人が残すこと
狙う会社を決める
リストを作る
リスジェネ自然な日本語でのAI検索、似た会社の検索、業種・地域・規模などでの絞り込み、推奨アプローチチャネルや問合せフォームの有無での絞り込み狙いの決定、抜き取りでの確かめ、外す会社の照合
連絡するアポジェネPRO相手のホームページを読んだ文面の書き分け、問い合わせフォームへの送信、届かない場合のメール窓口への切り替え、NGリストでの除外、決めた曜日・時間帯・1日の上限での送信文面の芯(サービスの概要・署名)、送ってよいかの線引き
返事を追う
記録する
アポジェネPRO送信のようすのスクリーンショット、本文のURLのクリックの計測、届いたことや反響のメールでの知らせ返信への対応、商談、数字の読み取りと次の改善

リスト作りを任せる|リスジェネ

リスジェネ(ListGene)は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作れるツールです。「東京のIT企業でBtoB向けにサービスを提供している会社」のような自然な日本語で条件を入れるAI検索(1日50回まで無料)や、企業名やURLを入れて似た会社を探す検索があり、問合せフォーム・電話・メール・FAXの保有状況からAIが判定した「推奨アプローチチャネル」や、問合せフォームを持っている会社かどうかでも絞り込めます。企業情報の検索と閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円がかかり、17件から購入できます。初期費用と月額は0円で、データの形はサンプルCSVで前もって確かめられます。

連絡と記録を任せる|アポジェネPRO

アポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のツールで、フォームで届かなければメール窓口へ自動で切り替えます。開始日・曜日・時間帯・1日の上限件数を決めて送る設定や、取引先・既存のお客様・競合などを社名やドメインで外すNGリストがあり、紹介ページでは、「営業お断り」と書かれたフォームには送らず、一度断られた相手はNGリストで自動的に外すとしています。料金は月額3,000円(税込)とフォーム送信成功1件につき3円(税込)で、送信に失敗した分とメールでの補完は0円です。フォーム送信成功50件までは無料で試せ、お試しにクレジットカードの登録は不要です。

メールへの切り替えを使う場合は、前の章で説明した特定電子メール法の考え方と、アドレスの近くの拒否の表示に気を配ってください。フォーム営業を自動にする仕組みや、手作業との違いは「フォーム営業の自動化とは?手作業の限界とAIで1社ずつ文面を作る送信【2026年版】」で詳しく説明しています。

まとめ:営業の自動化は、新規開拓の作業を、狙う会社を決める・リストを作る・連絡する・返事を追う・記録するの5つに分け、繰り返しが多くルールにしやすい作業から道具に任せていくと始めやすくなります。作業ごとの時間を測り、判断の少ない作業を1つだけ選んで小さな件数で試し、記録の型を決めてから広げましょう。費用は月額・単価と件数・初期費用・社内の時間を1か月の単位にそろえて掛け算で比べ、量を増やす前に、営業お断りの尊重、送る量と間隔、メールに切り替えるときの特定電子メール法の扱いを決めておくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q.営業の自動化は、何から始めればよいですか?

A.新規開拓の作業を、狙う会社を決める・リストを作る・連絡する・返事を追う・記録するの5つに分け、1週間ほど作業ごとの時間を測るところから始めるのがおすすめです。そのうえで、時間がかかっていて判断の少ない作業を1つだけ選び、狙う業種と地域を絞って小さな件数で試します。多くの会社では、リスト作りか、問い合わせフォームへの入力と送信が最初の候補になります。

Q.営業の自動化ツールを入れれば、営業担当は要らなくなりますか?

A.新規開拓で道具に任せやすいのは、リストの絞り込み、1社ごとの下調べと文面の下書き、決めた条件での送信、送った記録といった繰り返しの作業です。どの会社を狙い、何を伝えるか、返信をくれた相手にどう応じるか、断りをどう扱うかといった判断と関係づくりは人が残す作業で、道具はそのための時間をつくるものと考えるのが現実的です。

Q.小さな会社が営業の自動化を始めると、費用はどのくらいかかりますか?

A.決まった相場で示すことは難しく、月額の固定、1件ごと、月額と1件ごとの組み合わせ、成果に応じた代行といった料金の形によって変わります。比べるときは、月額、1件の単価と件数の掛け算、初期費用の月割り、社内で使う時間を1か月の単位にそろえて計算します。たとえば当社のアポジェネPROは月額3,000円(税込)とフォーム送信成功1件3円(税込)で、毎月200社に送る場合のツールの料金は3,000円から3,600円の間になります。これは成果の見込みではなく、料金の掛け算です。

Q.自動で送ると、迷惑や違法になりませんか?

A.問い合わせフォームへの送信そのものは、特定電子メール法の直接の対象ではないと一般に解説されていますが、営業お断りの表示がある会社への送信や、短い時間に集中した送信は、迷惑と受け取られるおそれがあります。メールに切り替えて送る場合は、原則として同意が必要なこと、公表されたアドレスへの例外と拒否の文言がある場合の扱い、送信者の表示の義務、拒否した相手には送らないことといった同法の決まりに沿う必要があります。本記事は法律相談ではないため、判断に迷うときは専門家にご相談ください。

Q.SFAやCRMを先に入れたほうがよいですか?

A.困っていることによって変わります。商談の進み具合や既存のお客様の管理に困っているならSFAやCRMが先になりますが、新しいお客様への連絡を増やしたいことが課題なら、新規開拓の作業から手を付けたほうが、変化を確かめやすい場合があります。どちらの場合も、一度に多くの仕組みを入れず、1つの作業から試して広げるのが無理のない進め方です。

新規開拓の自動化

連絡の作業を、まず50件だけ道具に任せてみる

アポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のフォーム営業ツールです。フォームで届かなければメール窓口へ自動で切り替えます。
料金は月額¥3,000+フォーム送信成功1件¥3(いずれも税込)。送信に失敗した分とメールでの補完は¥0で、フォーム送信成功50件まで無料で試せます。契約期間の縛りはありません。

ApoGenePROを50件無料で試す

※ お試しにクレジットカードの登録は不要です。送信成功50件で自動的に止まり、勝手に課金されることはありません。送信先リストはListGene(100万社超の企業データベース)から作れます。

営業の常識を、
変える。