保育園の営業リストの作り方|
運営法人の種類と営業の考え方
給食の食材や調理、遊具や備品、連絡帳や登園の記録を電子化する仕組み、保育士の求人、清掃など、保育園に向けた商材は幅広くあります。ただ、保育園は運営する法人の種類によって、買うものを決める人や契約の進め方が違います。公立の園なら自治体の契約のきまり、社会福祉法人なら法人の経理規程、株式会社なら本部の判断というように、同じ「保育園」でも話を持っていく先が変わるのです。本記事では、保育所等の数と運営する法人の内訳を公的な統計で確かめたうえで、法人の種類ごとの営業の考え方、自治体の一覧や公的な検索サイトを使った探し方、リストに持たせたい列、子どもの安全と個人情報への配慮までを、こども家庭庁と厚生労働省の公表資料をもとに整理します。
この記事の3つの要点
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こども家庭庁によると、令和8年4月1日時点の保育所等は40,046か所(暫定値)です。厚生労働省の令和6年社会福祉施設等調査では、保育所と保育所型認定こども園の23,511施設のうち、社会福祉法人が約52%、公営が約27%、営利法人(会社)が約15%を運営しています。
- 2
公立の園の契約は地方自治法の入札などのきまりに、社会福祉法人の契約は厚生労働省の通知を踏まえた法人の経理規程に沿って進みます。株式会社が運営する園では本部が決めることもあるので、運営法人の種類ごとに連絡先と進め方を変えるのが近道です。
- 3
施設は自治体の一覧やここdeサーチ(子ども・子育て支援情報公表システム)で集め、運営法人ごとにまとめ直します。子どもの安全と個人情報に配慮し、登園やお迎えの時間を避け、「営業お断り」は記録して守ることが、長く続けられる営業の土台になります。
この記事の目次
1. 保育園に売る会社と、扱う商材の例 2. 数字で見る保育園の今 3. 保育園を運営する法人の種類 4. 法人の種類で変わる、決める人と調達のきまり 5. 保育園の探し方:自治体の一覧・ここdeサーチ・企業データベース 6. 保育園の営業リストに持たせたい列 7. 子どもの安全・個人情報・連絡のマナー 8. 連絡の前に確かめるチェックリスト 9. リスジェネで保育に関わる法人を探す手順 10. よくある質問1 保育園に売る会社と、扱う商材の例
「保育園」は広く使われている呼び名で、法令や統計では「保育所」と書かれます。また、国の統計では、認可保育所に認定こども園や小規模保育などを加えた範囲を「保育所等」とまとめて数えることがあります。本記事でも、こうした施設をまとめて保育園と呼び、必要なところでは統計の言葉に合わせて書き分けます。
保育園に向けた商材は、子どもの毎日の生活を支えるものから、職員の仕事を軽くするもの、園の運営を支えるものまで幅があります。主な例と、それぞれの話の相手、知っておきたい制度を表にまとめました。
| 商材の例 | 話の相手になりやすい人 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 給食の食材・調理の委託 | 園長、栄養士・調理の担当、運営法人の本部 | 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」は、食事を施設の中で調理することを原則としつつ(第11条)、要件を満たす保育所は満3歳以上の幼児の食事を外で調理して運び込めると定めています(第32条の2)。自園で調理しているか、調理を委託しているかは園ごとに確かめます |
| 遊具・家具・備品・おもちゃ | 園長、主任の保育士、本部の購買の担当 | 安全面とお手入れのしやすさが問われます。公立の園の購入は自治体の契約になります |
| 連絡・記録・登園管理の仕組み(保育ICT) | 園長、本部のシステムの担当、自治体の保育の担当課 | こども家庭庁の「保育所等におけるICT化推進等事業」は、保育に関する計画・記録、保護者との連絡、こどもの登降園管理、実費徴収等のキャッシュレス決済に係る業務システムの導入費用の一部を補助する事業で、実施主体は都道府県と市区町村です |
| 午睡の見守り・安全の機器 | 園長、本部の運営の担当 | こども家庭庁の資料「保育DXの推進による業務改善」(令和8年3月版)は、午睡センサーやAI見守りカメラなど、こどもの安全対策に資する設備の導入を推進するとしています |
| 求人・人材紹介・研修 | 園長、法人の人事の担当 | こども家庭庁は、保育士を確保できなかったことによる利用定員の減少を、待機児童が増えた要因の一つに挙げています(第2章) |
| 清掃・衛生用品・設備の点検 | 園長、事務の担当 | 子どもがいる時間に作業できるか、使う薬剤や道具の安全性を説明できるかが問われます |
この表から分かるのは、商材によって話を持っていく相手が「園」なのか、「運営法人の本部」なのか、「自治体」なのかが変わるということです。給食の委託や保育ICTの導入のように、園を運営する法人や自治体が決める商材では、園の電話番号だけが並んだリストでは決める人にたどり着けません。保育園の営業リストは、施設の一覧と、施設を運営する法人の一覧の2つを持たせて作るのが基本になります。病院や介護施設も含めた医療・福祉の分野全体の考え方は、医療・福祉業界の営業リスト作成ガイド:病院・介護施設・調剤薬局を効率的に開拓で扱っています。
2 数字で見る保育園の今
こども家庭庁が公表した「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」によると、令和8年4月1日時点の保育所等の数は40,046か所で、前年より71か所増えました。主な数字は次のとおりです。なお、令和8年熊本地震の影響で熊本県内の各自治体のデータが未確定のため、この取りまとめの数字は暫定値とされています。
| 項目 | 令和8年4月1日時点 | 前年との比べ |
|---|---|---|
| 保育所等の数 | 40,046か所 | 71か所の増加 |
| 保育所等の利用定員 | 3,016,417人 | 12,865人の減少 |
| 保育所等を利用する児童の数 | 2,646,756人 | 31,661人の減少 |
| 定員充足率 | 87.7% | 前年比0.7%の減少 |
| 待機児童数 | 2,435人 | 181人の増加 |
出典:こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」。ここでいう保育所等は、認可保育所、保育所型認定こども園、幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、地方裁量型認定こども園、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業です。企業主導型保育事業は「特例保育等」として別に扱われ、この数には含まれません。
営業リストを作る人が読み取っておきたいこと
施設の数はほぼ横ばいですが、利用定員と利用する児童の数は減り、定員充足率も下がっています。同じ取りまとめは、過疎地域など待機児童の少ない地域では定員充足率の低下が課題になっているとして、地域分析や支援の強化により、地域における統廃合や規模の縮小、多機能化などの計画的な取組を促すとしています。地域によっては園の統合や閉園、運営法人の変更が起こりうるということなので、営業リストには情報を確かめた日を持たせ、使う前に見直す仕組みにしておくと安心です。
一方で、待機児童が増えた要因として、申込者数の想定以上の増加による利用定員の不足や、保育士を確保できなかったことによる利用定員の減少が挙げられ、東京都などで大きく増えた自治体もあったと説明されています。人材の確保に悩む地域と、園の運営を続ける工夫が求められる地域とでは、園が抱える困りごとが違います。地域ごとに話の切り口を変えられるよう、リストに所在地の市区町村を持たせておくことが役に立ちます。
3 保育園を運営する法人の種類
運営する法人の内訳は、厚生労働省の「社会福祉施設等調査」で確かめられます。令和7年12月17日に公表された令和6年の調査(令和6年10月1日現在)の統計表「保育所等数・地域型保育事業所数,都道府県、経営主体別」によると、全国の内訳は次のとおりです。
| 運営する主体(経営主体) | 保育所等 | 割合 | 地域型保育事業所 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 総数 | 23,511 | ― | 7,448 | ― |
| 公営(市区町村など) | 6,417 | 27.3% | 107 | 1.4% |
| 社会福祉法人 | 12,303 | 52.3% | 1,293 | 17.4% |
| 営利法人(会社) | 3,563 | 15.2% | 3,508 | 47.1% |
| その他の法人 | 1,055 | 4.5% | 1,407 | 18.9% |
| 医療法人・公益法人・日赤 | 81 | 0.3% | 188 | 2.5% |
| その他 | 92 | 0.4% | 945 | 12.7% |
出典:厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査」(政府統計の総合窓口 e-Stat 掲載の統計表)。この表の保育所等は保育所型認定こども園と保育所、地域型保育事業所は小規模保育事業所(A型・B型・C型)、家庭的保育事業所、居宅訪問型保育事業所、事業所内保育事業所です。割合は表の数字から本記事で計算し、小数第2位を四捨五入しました。
保育所と保育所型認定こども園では、社会福祉法人がおよそ半分を運営し、公営が4分の1を超えています。営利法人(会社)は15%ほどです。これに対して、小規模保育などの地域型保育事業所では、営利法人(会社)がおよそ半分を占め、公営はわずかです。同じ「保育園」の営業でも、認可保育所を狙うのか、小規模保育を狙うのかで、話の相手となる法人の顔ぶれが変わることが分かります。
公立が減り、会社の運営が増えてきた
こども家庭庁成育局が令和6年4月26日に規制改革推進会議の会合へ出した資料「保育分野における事業者の経営力強化等」は、社会福祉施設等調査をもとに、幼保連携型認定こども園も含めた保育所等の設置主体別の施設数の推移を示しています。それによると、公立の割合は平成30年度の32%から令和4年度の27%へ下がり、営利法人(会社)の割合は7%から11%へ上がりました。社会福祉法人は51〜52%で、ほぼ半分を保っています。同じ資料の注記では、「その他の法人」に一般社団法人、協同組合、特定非営利活動法人、学校法人、宗教法人などが含まれるとされています。
同じ資料は、公私連携型保育所という仕組みも紹介しています。保育と子育て支援を続けて運営できる法人が、市町村から設備の譲渡や貸付けなどを受ける協定を結び、市町村の指定を受ける制度で、公立保育所の民営化を進める場合の選択肢の一つと説明されています。公立だった園の運営が法人に移ると、話の相手も自治体から法人に変わります。リストの「運営の主体」の列は、一度作って終わりにせず、ときどき確かめ直すようにしましょう。
こども家庭庁の取りまとめ(40,046か所・4月1日時点)と、厚生労働省の社会福祉施設等調査(23,511施設・10月1日時点)とでは、数える施設の範囲も時点も違います。前者は認定こども園や小規模保育などを広く含み、後者の「保育所等」は保育所と保育所型認定こども園だけです。数字を引用するときは、どの資料のどの範囲の数かを書き添えると誤解を生みません。
4 法人の種類で変わる、決める人と調達のきまり
運営する法人の種類が分かると、誰が決めて、どんな手順で契約するのかの見当がつきます。ここでは、公立、社会福祉法人、株式会社などの営利法人の3つに分けて整理します。実際の決め方は法人ごとに違うので、表は最初の見当として使い、細かな点は相手に確かめてください。
| 運営の主体 | 決める人・窓口の見当 | 契約のよりどころ | 営業で気をつけること |
|---|---|---|---|
| 公立(市区町村など) | 自治体の保育の担当課や契約の担当課。園長は現場の要望をまとめる立場になりやすい | 地方自治法・地方自治法施行令と、各自治体の規則 | 入札に参加する資格の登録、予算が組まれる時期 |
| 社会福祉法人 | 理事長、施設長(園長)、法人の本部。重要な契約は理事会 | 厚生労働省の通知を踏まえた各法人の経理規程 | ほかの会社の見積もりと比べられる前提で、条件と内訳を分かりやすく示す |
| 株式会社などの営利法人 | 本部の運営や購買の部門、地域の責任者、園長。法人によって違う | 各社の社内の規程 | 複数の園をまとめて運営している場合は、本部の窓口から話を始める |
公立の保育園は自治体の契約のきまりに沿う
公立の保育園で使う物品やサービスの契約は、自治体の契約として結ばれます。地方自治法第234条は、売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとし、指名競争入札、随意契約又はせり売りは政令で定める場合に該当するときに限り行えると定めています。随意契約ができる場合として、地方自治法施行令第167条の2は、予定価格が政令の別表の範囲内で自治体の規則が定める額を超えない契約などを挙げています。金額の基準は自治体の規則で決まるので、相手の自治体の規則や契約のページで確かめましょう。
また、地方自治法施行令第167条の5は、自治体の長が、必要があるときは一般競争入札に参加する者に必要な資格を定めることができ、定めたときは公示しなければならないとしています。自治体によっては、物品や役務の入札に参加する事業者に、あらかじめ資格の登録を求めています。公立の園に向けた営業では、園に商品を紹介するだけでなく、その自治体の入札・契約のページで、資格の登録の受付時期や、少額の契約の見積もり合わせへの参加方法を確かめておくことが欠かせません。
予算の時期にも気を配りましょう。地方自治法第211条は、自治体の長は毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。新しい仕組みや設備のように、まとまった費用がかかるものは、翌年度の予算に入るかどうかで導入の時期が決まります。年度の途中で園が「良い」と言ってくれても、すぐに買えるとは限らないことを知っておくと、無理な追いかけをせずに済みます。
社会福祉法人の保育園は経理規程と見積もりの比較に沿う
社会福祉法人の契約については、厚生労働省の関係課長の連名通知「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(平成29年3月29日、最終改正令和8年3月17日)があります。この通知は、各法人が作る経理規程に、随意契約と競争契約の基準を明確に定めるよう求めています。随意契約ができる一般的な基準として、予定価格が通知の別表の額(会計監査を受けない法人では1,000万円)を超えない場合や、日常的に消費する食料品や生活必需品の購入で社会通念上妥当と認められる場合などを挙げています。
さらに、価格による随意契約では、3社以上の業者から見積もりを取って比べるなど、適正な価格を客観的に判断するよう求めています。ただし、工事又は製造の請負は400万円、食料品・物品等の買入れは300万円、それ以外は200万円を超えない場合には、2社以上の見積もりで差し支えないとしています。重要な契約は理事会で決め、契約の結果などを理事会に報告することも示されています。
営業する側から見ると、社会福祉法人の園では、提案がほかの会社の見積もりと並べて比べられることを前提に準備するのが現実的です。価格の内訳、納める時期、保守や交換の条件を分かりやすく示し、比べやすい形で出しておくと、検討の場に乗りやすくなります。理事会にかける案件なら、理事会の開かれる時期も聞いておきましょう。
株式会社などが運営する保育園は本部と園の役割を確かめる
株式会社などが運営する保育園では、複数の園をまとめて運営している法人もあり、備品の購入やシステムの導入を本部でまとめて決める場合があります。園に直接電話をかける前に、運営会社のホームページで運営している園の一覧と、本社の問い合わせ窓口を確かめましょう。本部が決める商材なら本部の窓口から、園ごとに決めてよい消耗品なら園長に、というように、相手の決め方に合わせて連絡先を選ぶと、何度も同じ説明をせずに済みます。
5 保育園の探し方:自治体の一覧・ここdeサーチ・企業データベース
保育園の営業リストは、施設を集める作業と、運営法人をまとめる作業の2段階で作ると整理しやすくなります。施設を集めるときに使える主な情報源は次の4つです。
| 情報源 | 分かること | 弱いところ | 使うときのきまり |
|---|---|---|---|
| ① 自治体が公開している保育施設の一覧 | その市区町村の認可保育所などの名前・所在地・定員など | 自治体ごとに形式が違い、全国をまとめるのは手間 | 各自治体のページの利用条件に従う |
| ② ここdeサーチ(子ども・子育て支援情報公表システム) | 全国の保育所・認定こども園・地域型保育などの施設情報。CSVで取り出せる | 市町村等が情報を登録した施設が対象で、運営法人の本部の連絡先はまとまっていない | 公共データ利用規約(第1.0版)に準拠。出典の記載が必要 |
| ③ 運営法人のホームページ | 運営している園の一覧、本部の所在地と問い合わせ窓口、営業お断りの表示 | 法人ごとに1つずつ見る手間がかかる | 営業お断りの表示を守る |
| ④ 企業データベース | 法人の単位で、業種・地域・規模などを条件に絞り込める | 自治体が直接運営する公立の園は探しにくい。分類は確かめが要る | 各サービスの利用規約に従う |
① 自治体が公開している保育施設の一覧
市区町村のホームページでは、入園の案内とあわせて、認可保育所などの一覧を公開していることがあります。デジタル庁が示している「自治体標準オープンデータセット」にも「子育て施設一覧」が含まれており、この様式に沿ってCSVで公開している自治体もあります。営業したい地域が数市区町村に限られるなら、まず自治体の一覧から始めるのが手早い方法です。利用の条件や出典の書き方は自治体ごとに定められているので、公開しているページで確かめてから使いましょう。
② ここdeサーチ(子ども・子育て支援情報公表システム)
独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する「子ども・子育て支援情報公表システム」、通称ここdeサーチは、利用者が教育・保育施設を選べるよう、ひとつのウェブサイトで全国の施設の情報にアクセスできることを目的に作られたものです。公表の対象は、認可保育所、認定こども園、子ども・子育て支援新制度の対象となる幼稚園と一部の私学助成園、地域型保育事業、認可外保育施設(ベビーシッターを含む)のうち、市町村等で情報の登録が行われた施設です。住所や施設の種別で検索でき、検索結果の画面から施設情報のCSVファイルをダウンロードできます。
同サイトの利用規約によると、掲載している情報は、権利表記の記載がない限り公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用できます。利用するときは出典を記載し、編集・加工して利用する場合は、そのことも別に記載するよう求められています。また、編集・加工した情報を、国や同機構が作ったかのような形で公表・利用してはいけないとされています。営業リストを社内で使う場合も、出典と加工の内容を列やメモに残しておくと、このきまりを守りやすくなります。そもそもこの情報は保護者の施設選びのために公表されているものなので、営業に使うときは、園の手を止めない連絡の仕方を心がけたいところです。
③ 運営法人のホームページで本部と窓口を確かめる
施設の一覧が集まったら、運営法人の名前でまとめ直します。同じ法人が複数の園を運営している場合もあるので、法人ごとに1行にまとめると、本部に一度で話を持っていけるかどうかが見えてきます。法人の名前と所在地は、国税庁の法人番号公表サイトで法人番号とあわせて確かめておくと、似た名前の別の法人と取り違えにくくなります。そのうえで法人のホームページを開き、運営している園の一覧、本部の所在地、問い合わせ窓口、「営業のご連絡はご遠慮ください」といった表示がないかを確かめます。表記ゆれや重複の整理の仕方は名寄せ・データクレンジングのやり方|営業リストの重複をなくす手順で解説しています。
④ 企業データベースで法人から探す
企業データベースは、法人の単位で業種・地域・規模などを条件に絞り込めるのが強みです。保育の事業を営む法人を広い地域で探したいときや、保育の事業と一緒に介護などほかの福祉の事業も営む法人を探したいときに向いています。ただし、自治体が直接運営する公立の園は、会社のデータベースではなく自治体の一覧で確かめるほうが確実です。データベースの業種の分類やAIが付けた項目は推測を含むことがあるので、使う前に法人のホームページで事業の中身を確かめましょう。生成AIやデータベースを組み合わせたリストの作り方は、AIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで比べています。
施設の一覧から営業リストにする手順
- 1地域と施設の種類を決める
認可保育所、認定こども園、小規模保育など、商材に合う施設の種類と、営業する市区町村を先に決めます。第3章のとおり、種類によって運営法人の顔ぶれが変わります。 - 2自治体の一覧やここdeサーチで施設を集める
施設名・所在地・施設の種類・定員・運営法人名を取り出し、どこから取ったかと取った日を列に残します。 - 3運営法人の名前でまとめる
法人名の表記をそろえ、同じ法人の園を1つにまとめた「法人の一覧」を別に作ります。 - 4法人番号と法人のホームページで確かめる
法人番号公表サイトで名前と所在地を確かめ、法人のホームページで本部の窓口と営業お断りの表示の有無を確かめます。 - 5運営の主体と決める人の見当を付ける
公立・社会福祉法人・会社・その他の法人のどれかを記入し、第4章の表を参考に、連絡先を園にするか本部にするか自治体にするかを決めます。 - 6出典と確かめた日を記録する
公表情報を加工したことと出典を残し、園の統合や運営法人の変更に気づけるよう、見直す時期を決めておきます。
6 保育園の営業リストに持たせたい列
保育園の営業リストは、「施設の一覧」と「法人の一覧」の2枚に分けると扱いやすくなります。施設の一覧は園ごとの事情を見るため、法人の一覧は誰に連絡するかを決めるために使います。2枚は運営法人名や法人番号でつなぎます。
| シート | 列 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 施設の一覧 | 施設名・施設の種類(認可保育所、認定こども園、小規模保育など) | 商材が合う施設かを判断する |
| 施設の一覧 | 所在地の市区町村・定員・開所時間 | 地域ごとの切り口や、訪問・電話の時間の目安を考える |
| 施設の一覧 | 運営法人名・法人番号 | 法人の一覧とつなぐ |
| 施設の一覧 | 出典・取った日・加工したこと | 公表情報の利用条件を守り、古い情報に気づく |
| 法人の一覧 | 運営法人名・法人番号・運営の主体(公営、社会福祉法人、会社、その他) | 決める人と契約のきまりの見当を付ける |
| 法人の一覧 | 本部の所在地・代表電話・問い合わせフォームのURL | 本部に話を持っていく |
| 法人の一覧 | リストの中で運営している園の数 | まとめて提案できるかを考える |
| 法人の一覧 | 契約のきまりのメモ(入札参加資格の要否、見積もりの比べ方、理事会の時期など) | 提案の準備と時期を決める |
| 共通 | 営業お断りの記録・連絡した日・結果・次の連絡の予定 | 重ねて連絡しない、断られた相手に連絡しない |
反対に、営業リストに入れないほうがよい情報もあります。園児や保護者に関する情報は、営業の目的で集めたり記録したりするものではありません。園の職員の個人の名前も、次の章で触れるとおり個人情報にあたるので、必要がない限り持たないほうが無難です。電話で営業する場合の列の作り方は、テレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点もあわせてご覧ください。
7 子どもの安全・個人情報・連絡のマナー
保育園は、小さな子どもを預かる場所です。営業の連絡が、子どもの安全や保育の時間を損なうことがあってはなりません。ほかの業種の会社と同じ感覚で連絡すると、思わぬ迷惑をかけることがあるので、次の点を押さえておきましょう。
子どもの安全を何より優先する
保育園の出入口は、子どもの安全のために人の出入りを管理しています。予約のない飛び込みの訪問は避け、訪ねるときは、園ではなく本部で会えないかも含めて、事前に日時を相談しましょう。訪問したときは受付の案内に従い、園の建物や子どもの写真は撮らず、子どもに声をかけることも控えます。展示会や資料の郵送など、園の中に入らずに済む方法で情報を届けられないかを考えるのも一つの配慮です。
忙しい時間帯を避ける
園の一日の流れは園によって違いますが、朝の登園、昼の食事と午睡(お昼寝)、夕方のお迎えの時間帯は、子どもや保護者への対応で手が離せないことが多いと考えられます。入園や進級が重なる年度の変わり目や、行事の前後も慌ただしくなりがちです。最初の電話では用件を短く伝え、都合のよい時間帯や、メールや資料の郵送など希望する連絡の方法を尋ねると、相手の負担を減らせます。
個人情報として扱うものを分けておく
個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、法人そのものに関する情報は個人情報に当たらない一方で、役員や従業員などに関する情報は個人情報に当たるとしています。理事長や園長、職員の名前をリストに入れる場合は、個人情報保護法に沿って、利用目的をできる限り特定すること(第17条)や、取得したときに利用目的を本人に通知するか公表すること(第21条)などを守る必要があります。園児や保護者の情報は、営業リストに入れるものではありません。リストを買う場合や、名前を含むリストを扱う場合の考え方は、名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで詳しく取り上げています。
メールやフォームで連絡するとき
総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」によると、広告や宣伝のためのメールは、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送ることができます。ホームページなどでメールアドレスを公表している団体への送信は例外とされていますが、アドレスと一緒に広告宣伝のメールを送らないよう求める表示がある場合は、この例外にあたりません。送信者の氏名・名称などの表示や、受信を拒否された相手に送らないことも定められています。問い合わせフォームに「営業目的のご連絡はご遠慮ください」とある場合は送らない、という配慮も同じように大切です。メールでの営業の進め方はメールDM営業の成功法則:開封率・返信率を最大化するリスト選定と配信テクニック、フォームの文面の組み立て方はフォーム営業の文面テンプレート3パターン:構成・ABテスト・注意点で解説しています。
本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。地方自治法や社会福祉法人の契約の扱い、個人情報保護法、特定電子メール法の個別の事案について判断に迷うときは、弁護士などの専門家や、相手の自治体の担当窓口にご相談ください。
8 連絡の前に確かめるチェックリスト
リストができたら、連絡を始める前に次の項目を確かめておきましょう。1つでも当てはまらない園や法人は、いったん保留にして確かめ直すと、相手に迷惑をかける連絡を減らせます。
- 商材が、その施設の種類(認可保育所・認定こども園・小規模保育など)に合っているか
- 運営の主体(公立・社会福祉法人・会社・その他)を記入し、連絡先を園・本部・自治体のどれにするか決めたか
- 運営法人の名前と所在地を、法人番号公表サイトや法人のホームページで確かめたか
- 公立の園なら、自治体の入札・契約のページで資格の登録や見積もり合わせの参加方法を確かめたか
- 社会福祉法人なら、見積もりが比べられる前提で、価格の内訳や条件を分かりやすく示せるか
- ホームページや問い合わせフォームに「営業お断り」の表示がないか、自社の過去の記録で断られていないか
- 電話や訪問の予定が、登園・食事・午睡・お迎えの時間帯に重なっていないか
- 園児や保護者の情報、必要のない職員の個人名をリストに入れていないか
- 公表情報を使った場合、出典と加工したことを記録したか
- 情報を確かめた日を記録し、統合や運営法人の変更に気づけるよう見直す時期を決めたか
9 リスジェネで保育に関わる法人を探す手順
営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。第5章の④にあたり、保育の事業を営む法人を、法人の単位で探すときに使えます。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金、初期費用と月額費用はかかりません。保育に関わる法人を探す流れは、たとえば次のようになります。
- 1AI検索に普段の言葉で条件を入れる
業種・地域・特徴を、たとえば「〇〇県で保育園を運営している法人」(想定の例)のように入力します。AI検索は1日50回まで無料で使えます。今の取引先の企業名やURLを入れると、似た会社も探せます。 - 2フリーワードと業種・地域で絞り込む
フリーワード検索は、企業名・事業概要・採用情報などを横断して探します。「保育」などの言葉に、大分類・詳細業種、都道府県・市区町村の条件を組み合わせて絞り込みます。 - 3求人の商材なら採用の状況で絞る
「採用中」の条件や、採用情報の概要から職種名・募集要件で絞り込む「採用職種で検索」を使えます。保育士などの職種名を入れたときにどれだけ見つかるかは、検索結果で確かめてください。 - 4持っている項目で絞る
「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、電話番号・問い合わせフォーム・メールアドレス・法人番号などを持つ法人に絞れます。法人番号があれば、第6章の施設の一覧とつなぎやすくなります。 - 5一覧を無料で確かめてから、必要な分だけダウンロードする
事業の中身が狙いどおりかを一覧で確かめ、必要な法人だけを選びます。決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。トップページからサンプルCSVをダウンロードして、列の中身を先に確かめることもできます。
リスジェネのデータについて
リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための削除依頼の窓口も設けています。保育に関わる法人がどの業種に分類され、どれだけ載っているかは、無料の検索結果で確かめてからお使いください。自治体が直接運営する公立の園は、第5章のとおり自治体の一覧で確かめるのが確実です。AIが判定した項目は推測を含むため、連絡の前には法人のホームページで事業の中身と連絡先を確かめ、「営業お断り」の表示がある法人は対象から外してください。
10 よくある質問
Q.保育園の営業リストは無料で作れますか?
A.作れます。独立行政法人福祉医療機構が運営する子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)では、検索結果の施設情報をCSVファイルでダウンロードでき、市区町村のホームページで保育施設の一覧を公開している自治体もあります。ここdeサーチの情報は公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用でき、出典の記載と、編集・加工した場合はその旨の記載が求められます。施設の一覧を運営法人ごとにまとめ直し、連絡先を確かめる時間はかかるので、作る件数と時間を先に見積もっておきましょう。
Q.公立の保育園に営業するにはどうすればよいですか?
A.公立の保育園の物品やサービスの契約は、自治体の契約として地方自治法のきまりに沿って結ばれます。地方自治法第234条は、契約を一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法で結ぶと定めており、入札に参加するには自治体が定める資格の登録が必要になる場合があります。園に直接売り込むよりも、自治体のホームページの入札・契約のページと、保育の担当課の窓口を先に確かめるのが近道です。
Q.社会福祉法人が運営する保育園に営業するときの注意点は何ですか?
A.社会福祉法人の契約は、厚生労働省の通知「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」を踏まえた各法人の経理規程に沿って進みます。通知は、価格による随意契約では3社以上の見積もりを比べるなどして適正な価格を判断するよう求めており、金額によっては2社以上でもよいとしています。見積もりが比べられる前提で、条件や内訳を分かりやすく示しておくと検討してもらいやすくなります。
Q.保育園に電話をかけるのに向いている時間帯はありますか?
A.園によって一日の流れが違うため、決まった正解はありません。朝の登園、昼の食事と午睡(お昼寝)、夕方のお迎えの時間帯は、子どもや保護者への対応で手が離せないことが多いと考えられるので避け、最初の電話では用件を短く伝えて、都合のよい時間や連絡の方法を尋ねるのが丁寧です。
Q.全国に保育園はどのくらいありますか?
A.こども家庭庁の「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」によると、令和8年4月1日時点の保育所等の数は40,046か所です。ここでいう保育所等には、認可保育所のほか、認定こども園や小規模保育事業などが含まれます。令和8年熊本地震の影響で熊本県内のデータが未確定のため、暫定値とされています。
この記事のポイント
- 保育園の商材は、園・運営法人の本部・自治体のどこが決めるかで話の相手が変わるので、施設の一覧と法人の一覧の2枚でリストを作る
- 保育所と保育所型認定こども園は社会福祉法人が約半分、公営が4分の1余り、会社が約15%を運営し、小規模保育などでは会社が約半分を占める(令和6年社会福祉施設等調査)
- 公立は地方自治法の入札などのきまりと予算の時期、社会福祉法人は経理規程と見積もりの比較、会社は本部の窓口を意識して進める
- 施設は自治体の一覧やここdeサーチで集め、出典と加工したこと、確かめた日を記録する
- 子どもの安全を優先し、忙しい時間帯を避け、個人情報と「営業お断り」の扱いを守る
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