学習塾の営業リストの作り方:
個人塾とチェーン塾への営業の考え方
学習塾は、教材や授業の仕組み、生徒と保護者の管理、生徒募集の広告、講師の採用、教室の内装や設備など、さまざまな商品やサービスの買い手です。一方で、同じ「塾」でも、塾長が自分で教えながら経営する個人塾と、本部が教材やシステムを決めるフランチャイズやチェーン塾とでは、誰に、何を、いつ伝えればよいかが大きく変わります。本記事では、学習塾に営業する会社に向けて、経済センサスと経済産業省の統計で塾の数と形をつかんだうえで、個人塾・フランチャイズ・チェーン塾の違いと決める人、塾の探し方と使うときの決まり、授業や講習で忙しい時期を避けた連絡の考え方、リストに入れる列とチェックリストまでを整理します。
この記事の3つの要点
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令和3年経済センサス‐活動調査によると、学習塾の事業所は全国に53,014あり、そのうち個人経営が28,505と半分強を占めます。個人経営を除いた集計では約8割が支所で、塾長が自分で決める個人塾と、本社や本部が決めるチェーン塾が並んでいる業界だと分かります。
- 2
個人塾は塾長、フランチャイズは本部と加盟教室の運営者、チェーン塾は本社の担当部門が決める人になりやすく、営業の入口が違います。リストには塾の形と運営会社の列を持たせ、同じ会社の教室に重ねて連絡しないように束ねておきます。
- 3
経済産業省の統計では、2024年の学習塾の売上高は8月・12月・1月に多く、5月に少ない動きでした。講習の時期や授業のある夕方以降を避けて連絡し、個人塾の塾長の氏名や携帯電話の番号は個人情報として扱います。
この記事の目次
1. 学習塾に営業する会社と、リストを作る前に決めること 2. 統計で見る学習塾の数と形 3. 個人塾・フランチャイズ・チェーン塾の違いと決める人 4. 学習塾の探し方と、使うときの決まり 5. 忙しい時期と連絡の時期・時間帯の考え方 6. 学習塾の営業リストに入れる列 7. 連絡するときの法律と相手への配慮 8. リスジェネで学習塾のリストを作る手順 9. 作る前と連絡する前のチェックリスト 10. よくある質問1 学習塾に営業する会社と、リストを作る前に決めること
「学習塾 営業」や「塾 営業リスト」と調べる人の多くは、学習塾をお客様にしたい会社の担当者でしょう。塾に向けて売られている商品やサービスは幅が広く、何を売るかによって、狙うべき塾の形も、話をする相手も変わります。最初に、自社の商材がどの種類にあたり、塾の側がどんな点を気にしそうかを確かめておきましょう。
| 商材の種類 | 例 | 塾が気にしやすいこと | 話を聞いてもらいやすい相手(目安) |
|---|---|---|---|
| 教材・テスト | 塾向けの問題集やテキスト、模擬試験、検定 | 学年や受験の目標に合うか、採用を決める時期、配送 | 個人塾は塾長、チェーン塾は本社の教務や教材の担当 |
| 授業の仕組み | 映像授業、タブレット教材、AIを使ったドリルなどのICT教材 | 講師の手間が減るか、生徒が使いこなせるか、月々の費用 | 塾長、本社や本部の教務・システムの担当 |
| 生徒と教室の管理 | 入退室の通知、成績や出欠の管理、月謝の請求、保護者への連絡の仕組み | 保護者への連絡が楽になるか、今の仕組みから移しやすいか、個人情報の守り | 塾長、本社の事務や情報システムの担当 |
| 生徒募集 | チラシ、看板、ポスティング、ホームページの制作、ネット広告、塾の紹介サイト | 募集の時期に間に合うか、地域に合うか | 塾長、加盟教室の運営者、本社の広報・マーケティングの担当 |
| 求人・人材 | 講師の求人広告、学生講師の採用の支援、講師の研修 | 授業の時間帯に入れる講師が集まるか | 塾長、教室長、本社の人事の担当 |
| 内装・設備 | 内装工事、机や椅子、空調、照明、防犯カメラ、自習室の家具 | 授業を止めずに工事できるか、開校や移転の時期 | 塾長、本社の総務や教室開発の担当 |
| 経営の支え | 会計や労務の支援、保険、決済、教室の物件 | 手間と費用、相談のしやすさ | 塾長、本社の管理部門 |
表の右の列はあくまで目安で、実際に誰が決めるかは塾の大きさと形によって変わります。たとえば同じ教材でも、塾長が一人で選ぶ個人塾と、本社が全教室の教材をまとめて決めるチェーン塾とでは、連絡すべき相手も、検討にかかる時間も違います。この違いは第3章で詳しく見ていきます。
リストを作り始める前に、次の3つを決めておくと、後の作業がぶれにくくなります。
- 狙う塾の形:個人塾か、フランチャイズの本部か加盟教室か、チェーン塾の本社か。
- 地域と件数:どの地域を、1か月に何件まで連絡できるか。訪問するなら移動できる範囲に絞ります。
- 連絡の手段:電話、問い合わせフォーム、メール、郵送のどれを使うか。手段によってリストに必要な列が変わります。
2 統計で見る学習塾の数と形
リストの件数や地域を考える前に、学習塾がどれくらいあり、どんな形で営まれているのかを公的な統計でつかんでおきましょう。その前提として、統計でいう「学習塾」の範囲を確かめておきます。
総務省と経済産業省の「令和3年経済センサス‐活動調査産業分類」では、学習塾(産業分類823)は「小学生,中学生,高校生などを対象として学校教育の補習教育又は学習指導を行う事業所」とされています。各種学校でない学習塾・進学塾・予備校のほか、英語教室や数学教室も含まれる一方、英会話教室や家庭教師、各種学校として認められている学習塾や予備校は別の分類に入ります。統計の数字を読むときも、自社のリストの範囲を決めるときも、この線引きを知っておくと話がかみ合いやすくなります。
全国に約5万3千の事業所があり、半分強が個人経営
令和3年経済センサス‐活動調査(2021年6月1日現在)の「産業(小分類)、経営組織(5区分)別全事業所数」によると、学習塾の事業所は全国に53,014あり、従業者は378,521人でした。経営組織で分けると、民営の53,009事業所のうち、個人が28,505事業所(約54%)、法人が24,465事業所(約46%)、法人でない団体が39事業所です。学習塾は、個人で営む塾と、会社などの法人が営む塾とが、ほぼ半分ずつ並んでいる業界だといえます。
| 経営組織 | 事業所数 | 従業者数 |
|---|---|---|
| 総数 | 53,014 | 378,521人 |
| うち個人 | 28,505 | 103,072人 |
| うち法人 | 24,465 | 275,205人 |
| (法人のうち会社) | 24,256 | 273,741人 |
| うち法人でない団体 | 39 | 225人 |
出典:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」事業所に関する集計 産業横断的集計 第9-2表(全国)。総数には国や地方公共団体の事業所を含むため、個人・法人・法人でない団体の合計(民営)とは一致しません。
個人経営の28,505事業所の従業者は合わせて103,072人で、1事業所あたりにならすと4人に満たない計算です。塾長と少数の講師で運営している教室が多いことがうかがえ、こうした塾では経営の判断と授業を同じ人が担っていると考えて営業の準備をしたほうが、実際の姿に近くなります。
個人経営を除くと、約8割が本社の下にある支所
同じ調査には、個人経営を除き、売上(収入)金額などの必要な数値が得られた民営の事業所を集計した「サービス関連産業に関する集計」もあり、学習塾は18,850事業所が対象になっています。その内訳を見ると、他の場所にある同じ経営の本社などの統括を受けている「支所・支社・支店」が14,777事業所(約78%)、他に事業所を持たない「単独事業所」が2,857事業所(約15%)、支所を統括する「本所・本社・本店」が1,216事業所(約6%)でした。会社などが営む学習塾の教室は、その多くが本社の下にある教室の一つとして運営されているということです。
従業者の人数で見ても、この18,850事業所のうち従業者29人以下の事業所が17,469と9割を超えます。教室の一つひとつは小さく、教材やシステムのように全教室に関わることは本社がまとめて決める、という形が数字からも読み取れます。
| 区分(個人経営を除く) | 事業所数 | 割合(計算値) |
|---|---|---|
| 支所・支社・支店 | 14,777 | 約78% |
| 単独事業所 | 2,857 | 約15% |
| 本所・本社・本店 | 1,216 | 約6% |
| 合計 | 18,850 | ― |
出典:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」事業所に関する集計 産業別集計 サービス関連産業に関する集計 第8-d-5表(学習塾・全国)。割合は事業所数から計算し、四捨五入しています。
地域では大都市圏に多い
同じ18,850事業所を都道府県別に見ると、東京都2,399、神奈川県1,887、大阪府1,429、愛知県1,273、埼玉県1,264、千葉県1,086、兵庫県969の順に多く、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県だけで6,636事業所と、全国の約35%を占めていました(第6表)。子どもの多い大都市圏ほど法人の塾の教室が集まっているので、訪問を考える場合は、地域を絞ったうえで同じ会社の教室をまとめて回れるかどうかも検討しましょう。
53,014は個人経営を含むすべての事業所の数、18,850は個人経営を除き売上などの数値が得られた民営の事業所の数で、集計の対象が違います。また、経済センサス‐活動調査の結果は2021年6月時点のもので、その後の開業や閉校、教室の移転は反映されていません。数字は業界の形をつかむ目安として使い、リストに載せる一社一社は、その時点の情報で確かめてください。
3 個人塾・フランチャイズ・チェーン塾の違いと決める人
学習塾は、集団指導か個別指導か、小中学生向けか高校生向けか、受験対策か学校の補習か、といった分け方もできますが、営業の準備で最も大事なのは「誰が、どこで決めるのか」です。この点で分けると、学習塾は大きく、個人塾、フランチャイズ(本部と加盟教室)、チェーン塾(同じ会社が直営で多くの教室を持つ塾)の3つに整理できます。
| 項目 | 個人塾 | フランチャイズ | チェーン塾(直営) |
|---|---|---|---|
| 見分ける手がかり | 教室が1つか少数で、ホームページに塾長の名前やあいさつがある | 本部のホームページに加盟の募集の案内があり、加盟教室は本部の看板で運営している | 会社のホームページに多くの教室の一覧と、会社概要や採用情報がある |
| 決める人 | 塾長(経営者)。講師を兼ねていることもある | 教材やシステムなど全体に関わることは本部、契約で任された範囲は加盟教室の運営者 | 本社の担当部門。教室長が決められる範囲は会社によって違う |
| 営業の入口 | 塾の代表電話、問い合わせ窓口、塾長あての郵送 | 本部の法人向けの窓口。加盟教室は運営者ごとの窓口 | 本社の代表窓口や問い合わせフォーム |
| 気をつけること | 授業中は電話に出られない。氏名や携帯電話の番号は個人情報にあたりうる | 本部の決まりで加盟教室が導入できない商材がある。本部と加盟教室に同じ話を重ねない | 教室ごとに連絡すると同じ会社に何十件も届いてしまう。窓口を本社に絞る |
個人塾は塾長の時間に合わせる
個人塾では、経営と授業、保護者への対応、生徒の募集を、塾長が一人か少ない人数でこなしていることが少なくありません。決める人に直接届きやすい反面、話を聞いてもらえる時間は限られます。電話で長く説明するよりも、読んで判断できる手紙や問い合わせフォーム、メールのほうが受け取りやすい場合もあるので、最初の連絡では要点を短く伝え、資料を送るか、日を改めて連絡するかを相手に選んでもらう形にすると負担をかけにくくなります。
また、地域の中での評判を大切にしている塾にとって、押しの強い営業は負担になりがちです。商材の説明を一方的に続けるよりも、その塾の規模や指導の方針に合うかどうかを相手の言葉で確かめながら話を進めるほうが、無理のない取引につながりやすいでしょう。
フランチャイズは本部と加盟教室を分けて考える
フランチャイズでは、本部が看板や指導の方法、教材、システムなどを用意し、加盟した教室がそれに沿って運営するのが一般的です。教材や学習システムのように教室全体のやり方に関わる商材は本部に、地域のチラシや教室の備品、講師の求人のように加盟教室が自分で選べそうな商材は加盟教室の運営者に、と分けて考えます。
どこまでを本部が決め、どこからを加盟教室が選べるかは、契約によって違います。加盟教室に連絡するときは、本部の決まりで導入できない場合があることを前提に、無理に勧めないことが大切です。加盟教室は本部とは別の会社や個人が営んでいるので、リストには「どのブランドの加盟教室か」と「運営している会社や個人は誰か」を分けて記録しておくと、同じ運営者が複数の教室を持つ場合にも連絡をまとめられます。
チェーン塾は本社の担当部門を探す
直営で多くの教室を持つ会社では、前の章で見たとおり、教室は本社の下にある支所として運営されています。教室に電話をかけても、教室長には購入を決める権限がなく、本社に話を通すよう案内されることがあります。会社のホームページの会社概要や採用情報、お知らせのページから、教務、システム、広報、人事、総務といった部門があるかを確かめ、本社の代表窓口や法人向けの問い合わせフォームから担当の部門につないでもらうのが近道です。上場している会社なら、有価証券報告書などの公開資料で、事業の方針や教室の数の移り変わりを確かめることもできます。
4 学習塾の探し方と、使うときの決まり
学習塾の情報を集める方法は、大きく5つあります。どれか1つで必要な情報がすべてそろうことは少ないので、目的に合わせて組み合わせて使います。
| 探し方 | 分かること | 向いている使い方 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| ① 塾のホームページ | 教室の一覧、運営会社、塾長の名前、受付時間、問い合わせ窓口、加盟の募集の有無 | 1社ずつの下調べ、塾の形と決める人の見分け | 問い合わせ窓口は入塾の相談のためのことがある。営業お断りの表示を確かめる |
| ② 業界団体の会員の公開名簿 | 会員の塾名・所在地・電話番号など | 地域ごとの塾の候補を知る手がかり | 載っているのは会員だけ。利用条件を先に確かめる |
| ③ 国税庁の法人番号公表サイト | 法人の名称・所在地・法人番号 | 会社が実在するか、正式な名称は何かの確かめ | 業種や電話番号は載っていない。個人で営む塾は載らない |
| ④ 地図サービス | 教室の場所、営業時間 | 訪問の下見、1件ずつの確かめ | 利用規約でコンテンツのコピーや大量のダウンロードが禁じられている |
| ⑤ 企業データベース | 業種・地域・規模で絞った一覧と連絡先 | 条件を変えながら件数を集める | 載っていない塾もある。分類が狙いと合うか一覧で確かめる |
塾のホームページで形と窓口を見分ける
1社ずつ下調べをするときに最も頼りになるのは、塾自身のホームページです。「会社概要」「運営会社」「教室一覧」「塾長あいさつ」「フランチャイズ加盟募集」「採用情報」といったページを見れば、その塾が個人塾か、加盟教室か、チェーン塾かの見当がつきます。加盟教室のページには、本部とは別の運営会社の名前が書かれていることもあります。
問い合わせのページは、保護者や生徒からの入塾や体験授業の相談を受け付けるために置かれていることがあります。営業の連絡に使う前に、「営業目的のご連絡はご遠慮ください」といった表示がないか、法人向けの窓口が別にないかを確かめましょう。
業界団体の会員名簿は利用条件を確かめる
公益社団法人全国学習塾協会は、公式サイトに都道府県別の正会員の一覧を載せています。2026年10月に確認したところ、一覧には会員番号・会社名・住所・電話番号が並んでおり、別に賛助会員(企業団体)の一覧もありました。地域にどんな塾があるかを知る手がかりにはなりますが、載っているのは協会の会員だけで、地域の塾のすべてではありません。
同じ時点で確認した範囲では、営業での利用について個別に定めた案内は見当たらず、ページの下に著作権の表示(All Rights Reserved)がありました。一覧をまとめて写し取って名簿を作ったり、そのまま一斉に連絡したりするのは避け、1社ずつ確かめるときの参考にとどめましょう。使い方に迷う場合は、協会に問い合わせて確かめるのが確実です。ほかの業界団体の名簿を使う場合も、公式ページの利用条件を先に読むことが基本になります。
公的データと地図サービスは確かめに使う
国税庁の法人番号公表サイトでは、法人の名称・所在地・法人番号を調べられます。業種や電話番号は載っていないため学習塾だけを取り出すことはできず、個人で営む塾は法人ではないので載りませんが、リストにある会社が実在するか、正式な名称と本店の所在地は何かを確かめるのに役立ちます。
地図サービスは教室の場所や営業時間を見るのに便利ですが、たとえばGoogleの「Google マップ / Google Earth 追加利用規約」(最終更新日 2025年6月4日)は、許可されている場合を除いてコンテンツをコピーすることや、コンテンツを大量にダウンロードしたり一括フィードを作成したりすることを、禁止行為に挙げています。1件ずつの確かめに使い、画面の情報をまとめて写し取って名簿にするような使い方は避けましょう。無料で使える集め方の全体像は、営業屋のコラム営業リストを無料で作る方法|企業リストの集め方7選と注意点でも整理しています。
企業データベースで件数をそろえる
条件を変えながら何度もリストを作りたい場合や、広い地域で件数を集めたい場合は、業種・地域・規模で絞り込める企業データベースが向いています。ただし、どのデータベースにも載っていない塾はありますし、業種の分け方もサービスごとに違います。教育の業種には、学習塾のほかに英会話教室やスポーツ・音楽の教室、通信教育などが含まれることもあるので、絞り込んだ後に一覧を見て、狙いと違う会社を外す作業を残しておきましょう。AIを使ったリスト作りの注意点はAIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで詳しく取り上げています。
5 忙しい時期と連絡の時期・時間帯の考え方
学習塾への営業でとくに気をつけたいのが、相手の忙しい時期と時間帯です。授業や講習で手が離せないときの連絡は、話を聞いてもらえないだけでなく、相手の都合を考えない会社だという印象を残しかねません。
統計で見る学習塾の1年の波
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」は、学習塾を含むサービス業の売上高などを毎月調べていた統計です(2024年12月分で終わり、2025年1月分からは総務省の「サービス産業動態統計調査」に統合されています)。調査の対象になった企業の学習塾の事業(2024年12月時点で11,001事業所)について、2024年の売上高を月ごとに見ると次のとおりでした。業界全体の金額ではありませんが、1年の中でどの時期に塾の仕事が集中するかをつかむ目安になります。
| 2024年 | 売上高(合計) | うち教材料の売上高 |
|---|---|---|
| 1月 | 約551億円 | 約33億円 |
| 2月 | 約422億円 | 約30億円 |
| 3月 | 約435億円 | 約39億円 |
| 4月 | 約525億円 | 約49億円 |
| 5月 | 約345億円 | 約18億円 |
| 6月 | 約422億円 | 約19億円 |
| 7月 | 約519億円 | 約24億円 |
| 8月 | 約654億円 | 約36億円 |
| 9月 | 約473億円 | 約54億円 |
| 10月 | 約485億円 | 約26億円 |
| 11月 | 約486億円 | 約22億円 |
| 12月 | 約616億円 | 約31億円 |
出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」長期データ(学習塾、2024年は年間補正後の値)。百万円単位の値を億円に直し、四捨五入しています。
最も多かったのは8月(約654億円)で、12月(約616億円)と1月(約551億円)が続き、最も少なかったのは5月(約345億円)でした。夏休みや冬休みの講習、受験の直前の講座が行われる時期と重なっていると考えられます。教材料の売上高は、4月(約49億円)と9月(約54億円)が多い月でした。教材を扱う会社であれば、こうした月の前後に塾の側で教材の準備や切り替えが進んでいる可能性を頭に置いておくとよいでしょう。
連絡の時期を決めるときの考え方
- 講習の最中と直前は避ける:夏休み・冬休み・春休みの講習の期間と、その申し込みや準備が重なる時期は、新しい提案を考える余裕が少なくなりがちです。
- 受験の直前は特に配慮する:高校や大学の受験を控えた時期は、生徒への対応が何よりも優先されます。急ぎでない提案は時期をずらしましょう。
- 検討の時期は相手によって違う:新年度に向けて教材やシステムを見直す塾もあれば、講習が終わった後に見直す塾もあります。最初の連絡で、いつごろ検討することが多いかを聞いて記録し、次に連絡する時期をその記録で決めるのが確実です。
- 生徒募集に使う商材は早めに:チラシや広告、ホームページのように生徒募集の時期に使う商材は、募集を始める前に準備が終わるよう、余裕を持って情報を届ける必要があります。
時間帯の考え方
学習塾は小学生から高校生を相手にしているので、子どもたちが学校を終えた後の夕方から夜に授業をしている塾が多くあります。この時間帯の電話は、塾長や講師が授業中で出られなかったり、生徒や保護者への対応の妨げになったりします。授業の前の時間も、教材の準備や面談、保護者からの電話で慌ただしいことがあります。
ホームページに書かれた受付時間や開校時間を確かめ、そのうえで授業が始まる前の落ち着いていそうな時間を選ぶか、時間を選ばずに読んでもらえる手紙・問い合わせフォーム・メールを使うのが無難です。チェーン塾の本社の窓口あてであれば、一般の会社と同じように日中に受け付けていることが多いので、本社の営業時間を確かめて連絡します。電話での営業のリストの作り方は、テレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点で解説しています。
6 学習塾の営業リストに入れる列
学習塾のリストは、一般的な会社のリストの列に加えて、塾ならではの列を持たせておくと、誰に、いつ、何を伝えるかを決めやすくなります。次の表は、そろえておきたい列の例です。全部を最初から埋める必要はなく、連絡の手段と商材に合わせて選んでください。
| 列 | 中身の例 | 使い道 |
|---|---|---|
| 塾名・教室名 | ホームページに出ている名前 | 呼びかけと重複の確かめ |
| 運営会社名 | 法人の名前、または個人の屋号 | 加盟教室か直営かの見分け、本社の窓口の判断 |
| 法人番号 | 法人の場合のみ | 同じ会社の教室をまとめる |
| 塾の形 | 個人塾/フランチャイズ本部/加盟教室/チェーン本社/チェーンの教室 | 連絡する相手と内容の振り分け |
| 本部・本社とのつながり | 加盟しているブランド、本社の名前 | 同じ会社に重ねて連絡しないための束ね |
| 所在地 | 都道府県・市区町村・住所 | 地域の絞り込み、訪問の計画 |
| 指導の形と対象 | 集団・個別・映像、小中学生・高校生、受験・補習 | 商材が合うかの判断 |
| 教室の数 | ホームページの教室一覧で数えた数 | 規模の目安、本社向けか教室向けかの判断 |
| 電話番号と受付時間 | 代表電話、受付時間、休校日 | 授業の時間帯を避けた連絡 |
| 問い合わせ窓口 | フォームのURL、メールアドレス、営業お断りの表示の有無 | 連絡の手段の決定 |
| 決める人の部署・役職 | 塾長、本社の教務・システム・人事など | 話をする相手の目安 |
| 忙しい時期と検討の時期 | 講習の期間、相手から聞いた検討の時期 | 次に連絡する時期の判断 |
| 連絡の記録 | 連絡した日・手段・結果・次の予定 | 重複の防止と担当の引き継ぎ |
| 営業お断りの記録 | 断られた日、お断りの表示を見つけた日 | 二度と連絡しないための印 |
| 確かめた日 | 情報を最後に確かめた日 | 古くなった情報の見直し |
この中で特に大切なのは「塾の形」「本部・本社とのつながり」「営業お断りの記録」の3つです。チェーン塾の教室を一つずつ別の行に入れたままにすると、同じ会社に電話やフォームで何度も連絡してしまうおそれがあります。運営会社名や法人番号で行を束ね、連絡は本社の窓口に一本化しておきましょう。重複をまとめる手順は名寄せ・データクレンジングのやり方|営業リストの重複をなくす手順で解説しています。
なお、個人塾の塾長の氏名や携帯電話の番号の列は、本当に必要なときだけ持ち、何に使うのかをはっきりさせておきます。理由は次の章で説明します。
7 連絡するときの法律と相手への配慮
学習塾のリストは、法人の情報と個人の情報が混ざりやすいリストです。また、塾の窓口は保護者や生徒のためにあることも多いので、法律の決まりと相手への配慮の両方を確かめてから使いましょう。
個人塾の情報は個人情報にあたりうる
個人情報保護委員会の「よくある質問(個人向け)」Q1-1は、個人情報を、生きている個人に関する情報で特定の個人であると分かるものなどと説明したうえで、法人の情報は個人情報に含まれない一方、法人の役員等の氏名等の情報は個人情報に含まれるとしています。個人で営む塾の場合、塾の名前と一緒に載っている塾長の氏名や、自宅を兼ねた教室の住所、携帯電話の番号は、特定の個人に関する情報として個人情報にあたる可能性があります。
こうした情報を含むリストを事業で使うなら、個人情報保護法で定められている、利用目的をできる限り特定すること(第17条)や、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知するか公表すること(第21条)などを確かめておきましょう。リストの購入や名簿の扱いについては名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで取り上げています。
メールで営業するときは特定電子メール法に沿う
総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」によると、広告や宣伝のためのメールは、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送ることができます(特定電子メール法第3条)。例外として、名刺などの書面でメールアドレスを知らせてきた相手、取引関係にある相手、インターネットでメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人への送信が挙げられていますが、アドレスと一緒に広告宣伝のメールを送らないよう求める文言を公表している場合は、この例外にあたりません。送信者の氏名・名称などを表示すること(第4条)や、受信を拒否された相手に送らないことも定められています。
問い合わせフォームを使う場合
塾の問い合わせフォームは、保護者や生徒が入塾や体験授業を申し込むための窓口であることが多く、営業の連絡が混ざると、本来の相談への返事が遅れる原因にもなりかねません。「営業目的のご連絡はご遠慮ください」と書かれたフォームには送らない、送り主と用件を最初の一文で明らかにする、文面は短くまとめる、といった配慮を守りましょう。文面の組み立て方はフォーム営業の文面テンプレート3パターン:構成・ABテスト・注意点で解説しています。
なお、営業屋のアポジェネPROは、AIが1社ずつ相手のホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のツールで、フォームで届かない場合はサイトに載っているメールアドレスへ自動で切り替えます。紹介ページでは、「営業お断り」と書かれたフォームには送らないことや、一度断られた相手はNGリストで外すことが説明されています。料金は月額3,000円(税込)とフォーム送信成功1件3円(税込)で、送信の失敗とメールでの補完は0円です。フォーム送信成功50件までは無料で試せ、お試しにクレジットカードの登録は要りません。
電話・訪問・郵送での配慮
- 授業のある時間帯の電話は避け、つながらなかったときに何度もかけ直さない。
- 断られたら日付とともに記録し、同じ会社のほかの教室や、別の手段で重ねて連絡しない。
- 訪問は約束を取ってから行い、授業の時間に教室を訪ねない。生徒や保護者がいる場所で営業の話をしない。
- 郵送は塾長や担当部門あてに、要点をまとめた短い案内にする。
本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
8 リスジェネで学習塾のリストを作る手順
営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金になり、初期費用と月額費用はかかりません。ここでは、2026年10月にリスジェネのトップページで確かめた画面の項目をもとに、学習塾のリストを作る流れを紹介します。
- 1業種で教育・学習塾に絞る
「詳細条件で絞り込む」の「大分類」には、「教育・学習支援業」「教育・学習支援」「教育」のように教育に関わる分類がいくつか並んでおり、「詳細業種」には「学習塾」や「教育サービス」があります。取りこぼしを減らしたいときは関係する分類をまとめて選び、学習塾だけにしたいときは詳細業種の「学習塾」を使います。フリーワード検索の人気キーワードにも「教育」があります。 - 2AI検索で条件を言葉にする
「神奈川県で個別指導をしている学習塾」(想定の例)のように、普段の言葉で入力して探せます。AI検索は1日50回まで無料です。すでに取引のある塾のホームページのURLや名前を入れると、似た会社も探せます。 - 3地域を絞る
都道府県を選び、さらに市区町村の文字で絞り込めます。訪問する場合は、移動できる範囲に絞っておきます。 - 4規模で個人塾と大きな会社を分ける
企業規模ランクは、従業員数・資本金・売上高・上場状況からAIが総合判定したS(大企業・上場)からD(零細・個人)までの5段階です。本社向けの商材なら上のランク、個人塾向けの商材ならC(小規模)やD(零細・個人)を中心に、というように使い分けられます。上場区分でも絞り込めます。 - 5連絡の手段に合う項目で絞る
「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、電話番号・問合せフォーム・メールアドレスなどを持つ会社だけに絞れます。問い合わせフォーム・電話・メール・FAXの保有状況からAIが判定した「推奨アプローチチャネル」も使えます。 - 6求人の商材なら採用状況を使う
採用状況の「採用中」や「採用職種で検索」で、採用情報の概要に講師などの職種が出てくる会社を探せます。 - 7一覧を無料で確かめ、必要な分だけダウンロードする
検索結果は無料で閲覧できるので、英会話教室や通信教育など狙いと違う会社が混ざっていないかを確かめてから選びます。トップページのサンプルCSVで列の中身を先に見ることもできます。ダウンロードは決済の最低額の関係で17件からです。
費用の計算は単純で、想定ケースとして神奈川県の個人塾向けに200件をダウンロードする場合は、3円×200件で600円になり、ほかに初期費用や月額費用はかかりません。ダウンロードしたら、第6章の表の「塾の形」「本部・本社とのつながり」「営業お断りの記録」などの列を足して使い始めます。
リスジェネのデータについて
リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための削除依頼の窓口も設けています。企業規模ランクや推奨アプローチチャネルのようにAIが判定した項目は推測を含むため、連絡の前にはホームページなどで塾の形と連絡先を確かめ、「営業お断り」の表示がある塾は対象から外すことをおすすめします。個人で営む塾の代表者名のような個人の氏名を含む場合は、第7章で触れた個人情報保護法の考え方に沿って扱ってください。
9 作る前と連絡する前のチェックリスト
最後に、学習塾のリストを作る前と、実際に連絡する前に確かめておきたいことをまとめます。印刷したり、社内の手順書に写したりして使ってください。
リストを作る前
- 自社の商材が、個人塾・フランチャイズの本部・加盟教室・チェーン塾の本社のどこに向くかを決めた
- 英会話教室や家庭教師、各種学校の予備校をリストに含めるかどうか、学習塾の範囲を決めた
- 狙う地域と、1か月に連絡できる件数を決めた
- 電話・フォーム・メール・郵送のどれを使うかを決め、必要な列をそろえた
- 業界団体の名簿や地図サービスなど、使う情報源の利用条件を読んだ
連絡する前
- 塾の形と運営会社を確かめ、同じ会社の教室を束ねて、窓口を一本にした
- 「営業お断り」の表示と、自社で過去に断られた記録がないかを確かめた
- 講習や受験の直前の時期、授業のある時間帯を避けた
- 塾長の氏名や携帯電話の番号を使う場合は、利用目的を決め、個人情報保護法に沿った扱いを確かめた
- メールで送る場合は、特定電子メール法の同意と表示の決まりを確かめた
- 確かめた日と連絡の記録を、リストに残せるようにした
10 よくある質問
Q.学習塾の営業リストは無料で作れますか?
A.作れます。塾のホームページや業界団体が公開している会員の一覧、国税庁の法人番号公表サイトを使えば費用はかかりません。ただし、1件ずつ塾の形や窓口を確かめる時間がかかり、業界団体の一覧は使う前に利用条件を確かめる必要があります。リスジェネなら検索と一覧の閲覧、AI検索(1日50回まで)が無料で、必要な分だけ1件3円からダウンロードできます。
Q.個人塾とチェーン塾では、どちらに営業すればよいですか?
A.売る物によって変わります。塾長がその場で決められる商材や、教室の備品・地域の生徒募集のように教室ごとに選べる商材なら個人塾やフランチャイズの加盟教室、教材や学習システムのように全教室のやり方に関わる商材ならチェーン塾やフランチャイズの本部が相手になります。令和3年経済センサス‐活動調査では、学習塾の事業所の半分強が個人経営で、個人経営を除いた集計では約8割が支所でした。
Q.学習塾に電話をかけるのに良い時間帯はありますか?
A.決まった正解はありませんが、子どもたちの授業がある夕方から夜は避け、ホームページに書かれた受付時間の中で、授業が始まる前の時間を選ぶのが無難です。夏休みや冬休みの講習、受験の直前は特に忙しくなるため、急ぎでない提案は手紙やメールで届け、相手から検討の時期を聞いて記録しておきます。
Q.個人塾の塾長の名前や携帯電話の番号をリストに入れてもよいですか?
A.個人で営む塾の塾長の氏名や携帯電話の番号は、特定の個人に関する情報として個人情報にあたる可能性があります。事業で使う場合は、利用目的をできる限り特定し、取得したときに利用目的を通知または公表するなど、個人情報保護法に沿って扱ってください。なお、この回答は法律相談ではありません。
Q.リスジェネで学習塾だけに絞り込めますか?
A.リスジェネの詳細条件には、大分類に「教育・学習支援業」などの教育の分類が、詳細業種に「学習塾」があり、地域や企業規模ランクと組み合わせて絞り込めます。分類が狙いと合っているかは、一覧を無料で確かめてから、必要な分だけダウンロードしてください。
この記事のポイント
- 学習塾は全国に53,014事業所(2021年6月)あり、半分強が個人経営、個人経営を除くと約8割が本社の下にある支所という形の業界
- 個人塾は塾長、フランチャイズは本部と加盟教室の運営者、チェーン塾は本社の担当部門と、決める人と営業の入口が違う
- 塾のホームページ、業界団体の名簿、公的データ、地図サービス、企業データベースを組み合わせ、それぞれの利用条件を守って使う
- 講習や受験の直前の時期と、授業のある夕方以降を避け、相手の受付時間と検討の時期に合わせて連絡する
- リストには塾の形と運営会社の列を持たせて同じ会社への重複を防ぎ、個人塾の氏名や携帯電話の番号は個人情報として扱う
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