農業法人の営業リストの作り方:
探し方と農業の現場への営業の考え方
農業資材や機械、ITの仕組み、販路づくり、人材、物流など、農業法人を相手に商品やサービスを案内したい会社は少なくありません。一方で「農業法人 一覧」と調べても、営業にそのまま使える名簿が1つにまとまっているわけではなく、農事組合法人と会社法人の違いや、個人で営む農家との線引き、作物によって違う忙しい時期など、ほかの業界のリスト作りとは勝手の違う点もあります。本記事では、農林水産省の農林業センサスで農業法人の数を確かめたうえで、法人の種類と個人の農家との違い、業界団体・自治体・法人番号公表サイト・企業データベースを使った探し方とそれぞれの利用条件、繁忙期と連絡の時期の考え方、リストに入れる列と連絡の前のチェックリストまでを、公的な資料をもとに整理します。
この記事の3つの要点
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農林水産省によると、農業法人は農業を営む法人の総称で、農業協同組合法に基づく農事組合法人と、会社法に基づく株式会社などに大きく分かれます。2025年農林業センサスでは、法人化している農業経営体は3万4千経営体で、5年前より10.1%増えました。
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農林業センサスは数を知るための統計で、法人の名前の一覧ではありません。業界団体の会員名簿、自治体や地方農政局の公開資料、法人のホームページ、法人番号公表サイト、企業データベースを組み合わせて候補を集め、それぞれの利用条件を守って使います。
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忙しい時期は作物や地域で違い、作業中は事務所を離れていることもあるため、連絡の時期と手段は相手に合わせて選びます。個人で営む農家の情報は個人情報にあたりうるので、法人とは分けて慎重に扱います。
この記事の目次
1. 農業法人に営業する会社の例と、現場の関心ごと 2. 農業法人はどれくらいあるか:農林業センサスで確かめる 3. 農業法人の種類と、個人で営む農家との違い 4. 農業法人の探し方5つと、使うときの決まり 5. 繁忙期と連絡の時期の考え方 6. 現場に出ている相手への連絡の配慮 7. 農業法人の営業リストに入れる列 8. 連絡の前に確かめるチェックリスト 9. リスジェネで農業法人の候補を探す手順 10. よくある質問1 農業法人に営業する会社の例と、現場の関心ごと
農業法人を営業先にしている会社は、肥料や農薬、種苗を扱う会社だけではありません。法人として農業を営む経営体は、作物を育てて売るだけでなく、人を雇い、機械や設備に投資し、出荷や販売の段取りを組み、会計や労務の管理もしています。そのため、ふつうの会社と同じように、さまざまな分野の会社が取引の相手になりえます。まずは、どんな会社が、農業法人のどんな関心ごとに応えようとしているのかを整理しておきましょう。
| 分野 | 売る会社の例 | 農業法人の側の関心ごとの例 |
|---|---|---|
| 資材 | 肥料・農薬・種苗・培土・包装資材・ハウスの資材の会社や販売店 | 資材の値上がりへの対応、品質や供給の安定 |
| 機械・設備 | 農業機械、ハウスの環境制御、乾燥・選別・保冷の設備の会社 | 作業の負担を減らす、古くなった設備の入れ替え |
| ITの仕組み | 生産の記録・勤怠・会計・受発注のソフト、センサーや見回りの機器 | 記録の手間を減らす、データを作業の判断に生かす |
| 販路 | 卸・小売・飲食店・食品メーカー、通販の運営を手伝う会社 | 新しい売り先、加工品や直売の伸ばし方 |
| 人材 | 求人広告・人材紹介・研修の会社、外国人材の受け入れを支える機関 | 人手の確保、雇った人の育成と定着 |
| 物流 | 運送・保冷配送・倉庫の会社 | 出荷の手間と運ぶ費用、鮮度を保つ運び方 |
| そのほか | 保険・金融、税理士や社会保険労務士などの専門家、建物や設備の工事 | 法人としての経営管理、災害や事故への備え |
農業法人自身が挙げる経営の課題
営業の切り口を考えるときは、農業法人の側が何に困っているのかを知っておくと話がかみ合いやすくなります。公益社団法人日本農業法人協会は、会員2,060先を対象に2025年10月から2026年2月にかけて「2025年度全国農業法人実態調査」を行い(有効回答1,271)、その結果を「2025年版農業法人白書」としてまとめています。協会が公表した白書のサマリーによると、経営課題は「資材コスト」との回答が5年続けて最も多く、次いで労働力不足、人材育成が続きました。経営のリスクとしては生産コストの上昇を挙げる回答が最も多く、次が天候不順による影響でした。物価の高騰によって半数を超える企業の設備投資に影響があり、約6割が事業計画を見直す方針だともまとめられています。
この調査は協会の会員を対象にしたもので、農業法人全体の平均を表すものではありませんが、資材の費用、人手、設備投資の判断といった論点が、多くの法人にとって身近な話題であることがうかがえます。自社の商材がこのどれに関わるのかを先に言葉にしておくと、リストの絞り込みにも、最初の連絡の文面にも使えます。
農林業センサスに表れた現場の変化
農林水産省の「2025年農林業センサス」の調査結果の概要からも、営業の切り口になりそうな変化が読み取れます。気象や市況、作業の履歴、生育の状況といったデータを活用した農業を行っている農業経営体は33万4千経営体で、農業経営体全体の39.9%でした。法人などの団体経営体に限ると2万5千経営体で、団体経営体に占める割合は62.7%です。また、農業経営体が年間7か月以上の契約で雇う常雇いは24万2千人で、5年前より8万5千人(54.4%)増えています。データを使った作業の管理や、人を雇う経営に関わる商材にとっては、法人を中心に話を聞いてもらえる素地が広がっていると考えられます。
ものづくりの会社に近い動きをしている農業法人も増えています。農産物を加工したり、自分たちで売り先を開いたりする法人に営業する場合は、食品メーカーへの営業と共通する部分もあるため、製造業の営業リスト作成ガイド:OEM・金属加工・食品メーカーへの最適アプローチもあわせて参考にしてください。
2 農業法人はどれくらいあるか:農林業センサスで確かめる
営業先の数を見積もるときの土台になるのが、農林水産省の「農林業センサス」です。統計法に基づく基幹統計調査として、1950年(昭和25年)から5年ごとに行われており、直近の2025年農林業センサスは令和7年(2025年)2月1日現在で調べられました。農林水産省は令和8年(2026年)3月31日に、その結果の概要(確定値)を公表しています。
| 区分(全国) | 2015年 | 2020年 | 2025年 | 2025年の5年前との比較 |
|---|---|---|---|---|
| 農業経営体 | 137万7千 | 107万6千 | 83万6千 | 22.3%減 |
| うち個人経営体 | 134万 | 103万7千 | 79万6千 | 23.3%減 |
| うち団体経営体 | 3万7千 | 3万8千 | 4万 | 4.9%増 |
| 団体経営体のうち法人経営体 | 2万7千 | 3万1千 | 3万4千 | 10.1%増 |
出典:農林水産省「2025年農林業センサス」調査結果の概要(農林業経営体調査)の表2をもとに作成。単位は経営体。
農業経営体全体が5年で2割余り減った一方で、法人化している農業経営体(法人経営体)は3万4千経営体と、5年前より3千経営体(10.1%)増えました。団体経営体に占める法人経営体の割合は84.1%です。法人経営体の内訳では、会社法人が2万5千経営体で、5年前より5千経営体(23.0%)増えています。同じ資料の図では、農事組合法人はおよそ7千経営体、農事組合法人と会社法人以外の法人がおよそ2千経営体と示されています。
センサスの数を使うときの注意
センサスの数字は、営業先の数そのものではない点に気をつけてください。農林水産省の「用語の解説」によると、農業経営体として数えられるのは、経営耕地面積が30a以上の農業、露地野菜や施設野菜、果樹、家畜などの規模が一定の基準以上の農業、または農作業の受託の事業を行う者です。そのため、農業も手がけているが規模がこの基準に満たない法人は数に入りません。また「法人経営体」には、農事組合法人や会社のほか、農協などの各種団体や、公益法人・NPO法人などのその他の法人も含まれます。
もう1つ大切なのは、センサスは数を把握するための統計で、個々の法人の名前や連絡先を並べた一覧ではないことです。地域ごとの法人経営体の数を見て「この県なら何社くらいが対象になりそうか」を見積もる材料にし、実際の候補は次の章以降で紹介する方法で集めます。都道府県別の数は、各都道府県や地方農政局が公表している結果でも確かめられます。
営業の計画では、センサスの法人経営体の数を「上限の目安」として使い、そこから自社の商材に合う作物・規模・地域に絞り込んでいくと、現実的な件数を見積もりやすくなります。稲作中心の地域と施設園芸が多い地域では、同じ法人の数でも合う商材が変わる点にも気を配りましょう。
3 農業法人の種類と、個人で営む農家との違い
農林水産省の「農業法人について」のページは、農業法人を、稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸や畜産など、農業を営む法人の総称だと説明しています。組織の形としては、会社法に基づく株式会社や合名会社などと、農業協同組合法に基づく農事組合法人に大きく分かれます。営業リストを作るときは、この違いが探し方にも話の進め方にも関わってきます。
| 種類 | 根拠となる法律 | 特徴 | リスト作りでの手がかり |
|---|---|---|---|
| 農事組合法人 | 農業協同組合法 | 組合員の農業生産についての協業を図り、共同の利益を増やすことを目的とする法人。組合員は原則として農業を営む人 | 名称に「農事組合法人」が入るため、名前で探しやすい |
| 会社法人 | 会社法 | 株式会社(特例有限会社を含む)、合同会社、合名会社、合資会社など | 名称だけでは農業を営むか分からないことが多く、事業内容で確かめる |
| 各種団体・その他の法人 | それぞれの法律 | センサスでは、農協などの各種団体や、公益法人・NPO法人なども法人経営体に含まれる | 営業先に含めるかは商材による。意思決定の流れが会社と違うことがある |
農事組合法人と会社法人
農林水産省の「農事組合法人とは」のページによると、農事組合法人は農業生産の協業を図る法人で、組合員は原則として農民の方とされています。行える事業は、農業用の共同利用施設の設置や農作業の共同化、農業の経営(関連する農畜産物の製造・加工や農作業の受託などを含む)と、それらに付帯する事業です。地域の農家が集まって作業を共同化している法人もあれば、規模の大きな経営を行う法人もあり、名称だけでは中身が分からない点は会社法人と同じです。
会社法人の農業法人は、「〇〇ファーム」「〇〇農園」のように農業らしい名前のこともあれば、一見すると農業とは分からない名前のこともあります。法人番号公表サイトのような名前と所在地の情報だけでは見分けにくいため、ホームページの事業内容や、業種が分かるデータベースで確かめる作業が欠かせません。なお、農林水産省は、農業法人が農地を所有するには農地法で定める一定の要件を満たす必要があり、その要件を満たした法人を「農地所有適格法人」と呼ぶと説明しています。営業の場面では、農地を所有しているかどうかよりも、何を作り、どれくらいの規模で、どこに売っているかのほうが、商材との相性を判断する材料になることが多いでしょう。
個人で営む農家の情報は個人情報にあたりうる
センサスの数字が示すとおり、農業経営体の大半は個人経営体です。農林水産省の用語の解説では、個人経営体を「個人(世帯)で事業を行う経営体」とし、法人化して事業を行う経営体は含まないとしています。「農家 営業 新規開拓」のように個人の農家まで営業先に入れたいと考えるときは、法人とは扱いを分けて考える必要があります。
個人情報保護委員会の「よくある質問(個人向け)」は、個人情報保護法上の個人情報を、生きている個人に関する情報で、特定の個人であると分かるもの(ほかの情報と紐づけることで容易に分かるものを含む)などと説明し、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の役員等の氏名等の情報は個人情報に含まれるとしています。また、同委員会のFAQは、住所や電話番号だけで個人情報にあたるかについて、個別の事例ごとに判断するとしたうえで、ほかの情報と容易に照合することで特定の個人を識別できる場合は、全体として個人情報に該当することがあると答えています。
これに照らすと、個人で営む農家の氏名や自宅を兼ねた住所、電話番号は、屋号で事業をしていても個人情報にあたりうると考えて扱うのが無難です。事業で個人情報を使う場合、個人情報保護法では、利用目的をできる限り特定すること(第17条)や、取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知するか公表すること(第21条)などが定められています。法人の営業リストに個人の農家を混ぜてしまうと、扱いの違いに気づきにくくなるため、列や表を分けておくとよいでしょう。名簿の取り扱いの考え方は名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで詳しく取り上げています。
本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
4 農業法人の探し方5つと、使うときの決まり
全国の農業法人の名前と連絡先が1か所にまとまっていれば話は早いのですが、実際には、いくつかの情報源を組み合わせて候補を集めることになります。ここでは代表的な5つの探し方を、分かることと注意点に分けて紹介します。
| 探し方 | 分かること | 分からないこと・注意 | 手間 |
|---|---|---|---|
| ① 業界団体の会員名簿 | 団体に加わっている農業法人の名前と地域 | 会員以外は載らない。転載や複製の扱いはサイトの案内に従う | 中 |
| ② 自治体・地方農政局の公開資料 | 新しく設立された法人の概要、六次産業化の認定を受けた事業者など | 目的は営業向けではない。地域や年度で載っている範囲が違う | 中 |
| ③ 法人のホームページ | 作物、規模、販売先、直売所、問い合わせ窓口、採用の動き | ホームページを持たない法人もある。1社ずつ見る時間がかかる | 大 |
| ④ 法人番号公表サイト | 法人の名称・所在地・法人番号(名称の一部と所在地で検索できる) | 電話番号や業種は載っていない。会社法人の農業法人は名前だけでは見分けにくい | 中 |
| ⑤ 企業データベース | 業種・地域などでの絞り込み、連絡先の有無 | データベースに載っていない法人は出てこない。使う前の確かめは必要 | 小 |
① 業界団体の会員名簿
公益社団法人日本農業法人協会は、ホームページで正会員名簿を公開しており、2026年10月に確認した時点では「令和8年9月11日現在」として、北海道から九州までの地域と都道府県ごとに会員の一覧を見られるようになっていました。地域で絞って、どんな農業法人があるのかを知る手がかりになります。
ただし、同協会のホームページの「ご利用に際して」には、掲載内容を無断で転載・複製・引用しないよう求め、転載や引用を希望する場合は事前に協会へ連絡するよう案内が書かれています。名簿をまとめて写し取って社内のリストにするのではなく、気になる法人を見つける入り口として使い、詳しい事業内容や連絡先は各法人のホームページで確かめる、という使い方にとどめるのが無難です。
② 自治体や地方農政局の公開資料
都道府県や地方農政局のホームページには、農業法人に関する資料が公開されていることがあります。たとえば鳥取県は「農業経営発展事例集」のページで、今後の農業法人の設立時の参考になるよう、令和5年度・6年度に県内で新しく設立された農業法人の概要をまとめた資料を公開しています。東北農政局は、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定事業者の一覧や、認定事業計画の概要をPDFで公開しており、同局管内の累計認定件数は令和8年3月31日時点で386件と示しています。加工や直売、観光農園などに取り組む事業者を知る手がかりになるため、包装資材や販路、通販に関わる商材と相性のよい情報源です。
また、一般社団法人全国農業会議所が運営する「農業をはじめる.JP」には、農業法人などの求人情報が掲載されています。人を募集している法人を知る手がかりにはなりますが、本来は農業で働きたい人のためのサイトです。こうした資料はどれも営業のために作られたものではないので、使い方は各サイトの利用条件を確かめ、掲載内容をそのまま名簿として流用しないよう気をつけましょう。
③ 法人のホームページ
候補が見つかったら、最後に頼りになるのは法人自身のホームページです。何を作っているか、どれくらいの面積や頭数で経営しているか、どこに出荷・販売しているか、直売所や通販、加工品、体験の受け入れを行っているか、人を募集しているかといった情報は、商材との相性を判断する材料になります。問い合わせ窓口の種類(電話・メール・問い合わせフォーム)や、受付の曜日や時間帯、「営業のご連絡はご遠慮ください」といった表示もここで確かめます。
④ 国税庁「法人番号公表サイト」
国税庁の法人番号公表サイトでは、法人の名称・所在地・法人番号を調べられます。利用方法の説明によると、検索方式は初期設定で部分一致検索になっており、入力した文字を含む名称で探せるほか、都道府県と市区町村で絞り込むこともできます。名称に「農事組合法人」を含む法人を地域ごとに探すといった使い方ができ、法人種別の選択肢には、会社法上の会社以外で設立登記されている法人(例として医療法人、学校法人、協同組合など)を対象にした「その他の設立登記法人」もあります。
一方で、公表される情報に電話番号や業種は含まれていないため、会社法人の農業法人を名前だけで見つけるのは難しく、連絡先も別に調べる必要があります。同サイトの利用規約では、コンテンツは公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用でき、利用する際は出典を記載すること、編集・加工して利用する場合はそのことも記載することが求められています。社外に渡す資料に使う場合などは、この点も守っておきましょう。
⑤ 企業データベース
業種や地域、規模などで絞り込める企業データベースを使えば、候補を集める時間を短くできます。経済産業省が運営するgBizINFO(Gビズインフォ)のように、法人の基本情報に加えて、補助金や届出・認定・表彰といった政府が持つ情報を調べられるサービスもあり、利用規約に沿えばデータをダウンロードして使うこともできます。民間の企業データベースは、連絡先の有無で絞り込めるものが多い一方で、載っている会社の範囲や情報の更新のしかたはサービスによって違います。ホームページを持たない小さな法人は載っていないこともあるため、①〜④と組み合わせて取りこぼしを補うとよいでしょう。費用をかけずに集める方法は営業屋のコラム営業リストを無料で作る方法|企業リストの集め方7選と注意点でも紹介しています。
情報源を使うときに守りたいこと
- 公的なデータは、利用規約にある出典の記載や、加工したことの記載を守る
- 団体や自治体のページは、転載・複製の扱いや、その資料が作られた目的を確かめる
- 地図サービスや他社のサイトから自動でまとめて集める場合は、各サービスの利用規約で認められているかを先に確かめる
- 個人で営む農家の氏名や連絡先は、法人の情報とは分けて個人情報として扱う
- 生成AIに農業法人の名前を挙げさせた場合は、実在するかを公的な情報や公式のホームページで確かめる
生成AIの答えに実在しない会社や古い情報が混ざる理由と確かめ方は、AIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで詳しく解説しています。
5 繁忙期と連絡の時期の考え方
農業法人への営業で、ほかの業界との違いがいちばん出やすいのが連絡の時期です。会社の決算期や予算の時期に加えて、作物の植え付けや収穫、出荷といった作業の山があり、その時期は作物や地域、品種、経営のしかたによって違います。2025年農林業センサスによると、農産物の販売金額が1位の部門で見た農業経営体の割合は稲作が54.4%と半数を超えていますが、果樹や施設野菜、畜産などを主にする経営体も多く、同じ県の中でも忙しい時期は法人ごとに異なります。
経営の型ごとに忙しくなりやすい作業の例
次の表は、作業の山の考え方を示した一般的な例です。具体的な時期は地域や品種、栽培のしかたで大きく変わるため、目安として使い、実際の時期は相手のホームページや地域の情報で確かめてください。
| 経営の型 | 忙しくなりやすい作業の例 | 連絡のときに気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 稲作 | 田植え、稲刈りとその後の乾燥・調製 | 地域の作業時期を先に調べ、作業の山の前後に連絡する |
| 露地野菜 | 種まき・植え付け、収穫と出荷が続く時期 | 品目ごとに収穫の時期が違う。出荷時期の案内を手がかりにする |
| 施設園芸(ハウス) | 植え付け、収穫・出荷、温度や水の管理 | 年間を通して作業があるため、曜日や時間帯への配慮が大切 |
| 果樹 | 収穫と出荷、せん定や実の間引きなどの手入れ | 収穫期は出荷の対応で手がふさがりやすい |
| 畜産・酪農 | 毎日の餌やりや搾乳などの決まった作業 | 日々の作業の時間帯を避け、相手の都合を尋ねる |
時期を知る手がかり
相手の忙しい時期を知るいちばん確かな方法は、相手が発信している情報を見ることです。ホームページの商品紹介や通販のページに収穫・出荷の時期が書かれていることは多く、直売所や観光農園を営んでいれば営業期間も案内されています。都道府県や市町村のホームページで地域の主な作物を確かめておくと、その地域全体の作業の山の見当もつけやすくなります。
それでも分からないときは、最初の連絡で率直に尋ねるのがよいでしょう。「お忙しい時期を避けてご案内したいのですが、比較的落ち着いている時期はいつ頃でしょうか」と聞けば、相手の負担を減らせるうえ、次の連絡の時期をリストに記録しておけます。設備や機械のように検討に時間がかかる商材なら、作業の山が過ぎて次の作付けの計画を立てる時期に情報を届けるほうが、落ち着いて読んでもらいやすくなります。
天候や災害のあとは連絡を控える
日本農業法人協会の白書のサマリーでも、天候不順による影響が経営のリスクの上位に挙げられていました。台風や大雨、大雪、猛暑などの後は、作物や施設の対応に追われていることがあります。ニュースで地域の被害を知ったときは、営業の連絡をいったん止め、落ち着いた頃に改めるといった配慮をリストの運用に組み込んでおくと、相手との関係を損ねずに済みます。
6 現場に出ている相手への連絡の配慮
農業法人では、経営者や担当者が自ら畑やハウス、畜舎で作業していることも珍しくありません。事務所に人が常にいるとは限らず、電話がつながりにくかったり、折り返しまで時間がかかったりすることがあります。こうした事情を前提に、連絡の手段と進め方を組み立てましょう。
- 1電話は「今お話ししてよいか」から始める
作業の手を止めて電話に出ている可能性があります。最初に用件を一言で伝え、都合が悪そうなら、かけ直してよい時期や時間帯を伺って切り上げます。 - 2何度も続けてかけない
つながらないからといって同じ日に何度も電話すると、作業の邪魔になります。かけた日時と結果を記録し、間を空けてから改めます。 - 3あとで読める手段も用意する
メールや問い合わせフォームなど、相手が作業の合間に読める手段で、要点を短くまとめた資料を届けておくと、都合のよいときに検討してもらえます。 - 4専門の言葉をかみくだく
自社の業界の言葉は相手にとってなじみがないこともあります。作業がどう楽になるのか、費用はどう変わるのかを、相手の仕事の言葉で説明します。 - 5断られたら記録して守る
「必要ない」「連絡しないでほしい」と言われた法人はリストに記録し、電話・メール・フォームのどれでも重ねて連絡しないようにします。
メールとフォームで連絡するときの決まり
総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」によると、広告や宣伝のためのメールは、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送ることができます(特定電子メール法第3条)。例外として、名刺などの書面でメールアドレスを知らせてきた相手、取引関係にある相手、インターネットでメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人への送信が挙げられていますが、アドレスと一緒に広告宣伝のメールを送らないよう求める文言を公表している場合は、この例外にあたりません。送信者の氏名・名称などの表示(第4条)や、受信を拒否された相手に送らないことも定められています。個人で営む農家がホームページにアドレスを載せている場合も含め、この決まりに沿って送るようにしましょう。
問い合わせフォームを使う場合も、「営業目的のご連絡はご遠慮ください」と書かれたフォームには送らない、送り主を明らかにするといった配慮は、電話やメールと変わりません。文面の組み立て方はフォーム営業の文面テンプレート3パターン:構成・ABテスト・注意点で解説しています。なお、営業屋のアポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のツールで、フォームで届かない場合はメール窓口へ自動で切り替えます。料金は月額3,000円(税込)とフォーム送信成功1件3円で、送信の失敗とメールでの補完は0円です。フォーム送信成功50件までは無料で試せます(お試しにカード登録は不要です)。
7 農業法人の営業リストに入れる列
農業法人のリストでは、会社名と電話番号だけでは足りません。商材との相性を判断し、連絡の時期を決め、断られた記録を守るために、次のような列を用意しておくと使いやすくなります。
| 列 | 中身の例 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 法人名・法人番号 | 法人番号公表サイトで確かめた名称と番号 | 実在の確認、重複の整理 |
| 組織の形 | 農事組合法人・株式会社・合同会社など | 決める人や話の進め方の見当をつける |
| 所在地 | 都道府県・市区町村 | 地域の作業時期の見当、訪問の計画 |
| 主な作物・畜種 | 稲作・露地野菜・施設野菜・果樹・畜産など | 商材との相性、忙しい時期の見当 |
| 加工・直売などの取り組み | 加工品、直売所、通販、観光農園、六次産業化の認定の有無 | 包装・販路・通販などの提案の切り口 |
| 採用の動き | 求人を出しているか、どんな仕事か | 人材や労務に関わる商材の優先順位 |
| 連絡先 | 代表電話・問い合わせフォームのURL・メールアドレス(公式ホームページで確かめたもの) | 連絡の手段を選ぶ |
| 避けたい時期・連絡しやすい時間 | 収穫期、相手から聞いた都合のよい時期 | 次の連絡の予定を立てる |
| 情報の出どころと確かめた日 | どの名簿・サイトで見つけ、いつ確かめたか | 利用条件の確認、情報の更新 |
| 連絡の記録・営業お断り | 連絡した日・手段・結果、断られた理由 | 重ねて連絡しない、社内で共有する |
個人で営む農家も対象にする場合は、法人とは別の表にし、利用目的や取得の経緯を記録できる列を足しておくと、前の章で触れた個人情報の扱いを確かめやすくなります。電話で営業する場合の列の考え方はテレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点、複数の情報源から集めたリストの重複の整理は名寄せ・データクレンジングのやり方|営業リストの重複をなくす手順で解説しています。
8 連絡の前に確かめるチェックリスト
リストができたら、連絡を始める前に次の項目を確かめておきましょう。とくに農業法人の場合は、時期と相手の事情への配慮が、ほかの業界より結果を左右しやすい部分です。
- 実在するか
法人番号公表サイトで、法人名・所在地・法人番号が一致するかを確かめた - 今も農業を営んでいるか
ホームページやデータベースの事業内容で、作物や経営の中身を確かめた - 商材と相性があるか
作物・規模・販売のしかたが、自社の商材が役立つ条件に合っている - 連絡先は公式のものか
電話番号・フォーム・メールアドレスを、公式ホームページの表示と見比べた - 営業お断りの表示がないか
ホームページや問い合わせフォームに、営業の連絡を断る表示がないことを確かめた - 忙しい時期を避けているか
収穫や出荷の時期、地域の作業の山を調べ、連絡の予定を立てた - 天候や災害の影響がないか
その地域で直近に台風や大雨などの被害が出ていないかを確かめた - 個人の情報を分けて扱っているか
個人で営む農家や役員の氏名などを、利用目的に沿って扱えるようにした - 情報源の利用条件を守っているか
出典の記載や、転載・複製の扱いなど、各サイトの決まりを確かめた - 過去の記録を見たか
社内で以前に連絡していないか、断られていないかを確かめた
営業リスト全体の作り方や、ほかの業界にも共通する確認の項目は、【2026年最新】営業リストの作り方完全ガイド|成果を出す15のチェックリストでも整理しています。
9 リスジェネで農業法人の候補を探す手順
営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。第4章の探し方でいえば⑤にあたり、検索と一覧の閲覧は無料、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金で、初期費用と月額費用はかかりません。農業法人の候補を探すときは、次の流れで使えます。
- 1AI検索に普段の言葉で条件を入れる
業種・地域・特徴を、たとえば「〇〇県で野菜を生産している農業法人」(想定の例)のように普段の言葉で入力します。AI検索は1日50回まで無料で使えます。 - 2フリーワード検索で言葉を変えて探す
フリーワード検索は、企業名・事業概要・採用情報などの項目を横断して探す機能です。「農事組合法人」のような名称の一部や、作物の名前、「直売」「加工」などの言葉を入れて試せます。 - 3業種と地域で絞り込む
業種は大分類・詳細業種から、地域は都道府県と市区町村(住所の文字の部分一致)から選べます。農業にあたる分類があるか、どの分類に含まれるかは、検索画面の選択肢で確かめてください。 - 4取引先に似た法人を探す
AI検索に企業のURLや企業名を入れると、似た会社も探せます。すでに取引のある農業法人と似た法人を探したいときに使えます。 - 5連絡の手段や採用の状況で絞る
「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、電話番号・問い合わせフォーム・メールアドレスなどを持つ会社に絞り込めます。人材に関わる商材なら、採用状況で「採用中」に絞ることもできます。 - 6一覧を無料で確かめてから、必要な分だけダウンロードする
検索結果は無料で閲覧できるので、業種や所在地が狙いどおりかを確かめてから選びます。決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。第7章の表にある作物や時期、連絡の記録の列を足して使い始めます。
リスジェネのデータについて
リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための削除依頼の窓口も設けています。ホームページを持たない法人は見つからないことがあるため、農業法人の場合は、第4章の団体の名簿や公的な情報と組み合わせて取りこぼしを補ってください。何社が見つかるかは、実際に検索して一覧で確かめられます。連絡の前には、ホームページで事業内容と連絡先、営業お断りの表示を確かめることをおすすめします。
10 よくある質問
Q.農業法人の一覧はどこで手に入りますか?
A.農林水産省の農林業センサスは法人の数などを知るための統計で、個々の法人の名前を並べた一覧ではありません。名前から候補を集めるには、日本農業法人協会が公開している会員名簿、自治体や地方農政局が公開している資料、法人のホームページ、国税庁の法人番号公表サイト、企業データベースを組み合わせます。それぞれ載っている範囲や利用の条件が違うため、使う前に各サイトの利用規約や案内を確かめてください。
Q.農業法人は全国にいくつありますか?
A.農林水産省の2025年農林業センサス(令和7年2月1日現在)では、法人化している農業経営体(法人経営体)は3万4千経営体で、5年前より10.1%増えました。このうち会社法人は2万5千経営体です。ただし、この数には農協などの各種団体も含まれ、経営耕地の面積や飼っている家畜の数などが一定の規模に満たない法人は数えられていません。
Q.個人の農家を営業リストに入れても問題ありませんか?
A.個人で営む農家の氏名や住所、電話番号は、特定の個人を識別できる場合は個人情報にあたりえます。個人情報保護委員会は、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の役員等の氏名などは個人情報に含まれると説明しています。個人の情報を扱う場合は、利用目的の特定や、取得したときの通知・公表など個人情報保護法に沿った扱いが求められます。なお、この回答は法律相談ではありません。判断に迷うときは専門家にご相談ください。
Q.農業法人に連絡するのに向いている時期はありますか?
A.作物や地域、経営のしかたによって忙しい時期が違うため、一律に決めることはできません。法人のホームページにある収穫や出荷の時期の案内、地域で多い作物を手がかりに、植え付けや収穫が重なる時期を避けて連絡するのが無難です。電話がつながったときも、まず今話してよいかを尋ね、忙しい様子なら都合のよい時期を伺って改めるようにします。
Q.リスジェネで農業法人を探せますか?
A.リスジェネでは、業種の大分類・詳細業種、都道府県・市区町村、企業名や事業概要などを横断するフリーワード検索、普段の言葉で条件を入れるAI検索で企業を探せます。農業にあたる分類があるか、何社が見つかるかは、検索画面の選択肢と検索結果で確かめてください。検索と一覧の閲覧は無料で、CSVのダウンロードは1件3円から、17件から購入できます。
この記事のポイント
- 農業法人は農業を営む法人の総称で、農事組合法人と会社法人に大きく分かれる。2025年農林業センサスの法人経営体は3万4千経営体
- センサスは数を知るための統計。候補は団体の名簿、自治体や地方農政局の資料、ホームページ、法人番号公表サイト、企業データベースを組み合わせて集める
- 公的なデータの出典の記載、団体のサイトの転載・複製の扱いなど、情報源ごとの決まりを守る
- 忙しい時期は作物や地域で違うので、相手の発信や地域の情報で確かめ、作業の山や災害の後を避けて連絡する
- 個人で営む農家の情報は個人情報にあたりうるため、法人とは分けて扱い、「営業お断り」は記録して守る
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