美容室の営業リストの作り方:
個人サロンと多店舗経営への営業の考え方
美容室(美容院・ヘアサロン)は全国に数多くあり、薬剤やシャンプーなどの材料、椅子やシャンプー台といった設備、予約や会計の仕組み、求人、集客の支援まで、さまざまな会社の営業先になっています。ただ、同じ美容室でも、店主が一人で切り盛りする個人経営のサロンと、何店舗も運営する会社とでは、決める人も連絡の窓口もまったく違います。本記事では、美容室向けの新規開拓に使う営業リストの作り方を、厚生労働省の統計と美容業の振興指針、個人情報保護委員会の説明、各サービスの利用規約などをもとに整理し、探し方、営業中の電話を避ける考え方、リストに入れる列、送る前のチェックリストまでを順に解説します。
この記事の3つの要点
- 1
厚生労働省の「令和6(2024)年度衛生行政報告例」によると、令和6年度末の美容所は27万7,752施設です。これは店の数であり、会社の数ではありません。美容業の振興指針も、小規模な個人経営の店と法人経営の中・大規模店への二層分化を指摘しており、営業リストでは「店」と「運営する会社」を分けて考えることが出発点になります。
- 2
個人経営のサロンは店主個人が営む事業なので、店主の氏名や氏名と結びついた連絡先は個人情報にあたりうると考えて扱います。予約サイトや地図サービスの情報をまとめて写し取る使い方は利用規約で禁じられていることがあるため、店の公式ホームページや企業データベースなど、使い方の決まりがはっきりした情報源から作ります。
- 3
従業者数5人未満の事業者が86.7%を占める業種なので、営業の電話は施術の手を止めかねません。店が出している営業時間・定休日・予約の受付時間と、営業お断りの表示を先に確かめ、フォームや郵送も含めて相手の負担が少ない手段を選び、断られた店は記録して二度と連絡しないことが基本です。
この記事の目次
1. 美容室に営業する会社と商材の例 2. 統計で見る美容室の数と経営の姿 3. 個人経営のサロンと多店舗経営の会社の違い 4. 美容室の営業リストの探し方と、規約の確かめ方 5. 営業中に電話しないための連絡の考え方 6. 美容室の営業リストに入れる列 7. 美容室の営業リストを作る手順 8. 連絡する前のチェックリスト 9. リスジェネで美容室向けのリストを作るとき 10. よくある質問1 美容室に営業する会社と商材の例
「美容室 営業」や「サロン 営業 新規開拓」と調べる人の多くは、美容室を相手に商品やサービスを売る会社の営業担当者ではないでしょうか。美容室に売られている物は幅広く、材料や設備のように毎日の施術に直接かかわる物から、予約や会計の仕組み、求人、集客、内装まで、店の経営のあらゆる場面に営業の入り口があります。
どんな商材が求められやすいかを考える手がかりになるのが、厚生労働大臣が定める「美容業の振興指針」(令和7年3月決定、同年4月1日から適用)です。この指針は、美容業の営業者に期待される取り組みとして、インターネット等による予約の受付、ホームページの開設などによる情報発信、顧客情報のデータベース化、クレジットカード決済や電子決済の導入、スマートフォンアプリ等を介したサービス、定期的な内外装の改装、椅子などの調度品や洗髪設備、LED照明やエネルギー効率の高い空調設備、賠償責任保険への加入、人材の獲得と育成などを挙げています。指針が店に勧めている取り組みは、そのまま美容室向けの商材と重なっています。
| 分野 | 商材の例 | 振興指針に挙がっている関連の取り組み | リストで見ておきたい手がかり |
|---|---|---|---|
| 材料・消耗品 | カラー剤やパーマ液などの薬剤、シャンプー・トリートメント、店で販売するヘアケア商品、タオルやクロス | 新しいメニューへの対応、機材や薬剤の進歩への対応 | 力を入れているメニュー(カラー・縮毛矯正・ヘッドスパなど)、店頭販売の有無 |
| 機器・設備 | スタイリングチェア、シャンプー台、ドライヤーなどの機器、照明や空調 | 椅子等の調度品と洗髪設備、LED照明や省エネの空調設備 | 開業や改装の時期、ホームページに出ている席数 |
| 予約・会計・顧客管理 | ネット予約の仕組み、レジ・キャッシュレス決済、顧客管理、店のアプリ | インターネット等による予約の受付、顧客情報のデータベース化、クレジットカード決済・電子決済 | 予約の窓口(電話のみ・自社サイト・予約サイト)、支払い方法の案内 |
| 求人・人材・教育 | 求人広告、人材紹介、技術や接客の研修 | 優秀な人材の獲得及び育成、若者に魅力ある職場作り | 採用ページの有無、募集している職種 |
| 集客・販促 | ホームページ制作、SNSの運用支援、チラシやダイレクトメール | ホームページの開設等の情報発信、誕生日などのダイレクトメールや広報チラシ | ホームページやSNSの有無と更新の様子 |
| 内装・店舗づくり | 内装工事、看板、バリアフリー化の工事 | 定期的な内外装の改装、高齢者や障害者等に配慮したバリアフリー対策 | 新店・移転・改装の知らせ |
| 経営の裏方 | 会計や税務の支援、保険、電気や通信の契約 | 賠償責任保険への加入、業務の合理化のための情報システムの導入 | 法人か個人経営か、店舗の数 |
表の右端の列は、そのまま営業リストに足す列の候補になります。たとえば予約の仕組みを売る会社なら「予約の窓口が電話だけかどうか」、求人サービスなら「採用ページがあるか」、内装会社なら「新店や改装の知らせが出ているか」が、連絡する理由を作る手がかりです。商材によって見るべき列が違うので、リストを作り始める前に、自社の商材にとって何が手がかりになるのかを決めておきましょう。飲食店なども含めた店舗ビジネス全体への営業の考え方は、営業屋のコラム飲食・店舗向けBtoB営業|多店舗・本部の攻略法でも取り上げています。
2 統計で見る美容室の数と経営の姿
美容室の数を確かめるときの基本の資料は、厚生労働省の「衛生行政報告例」です。都道府県・指定都市・中核市からの報告をもとに毎年まとめられている統計で、2026年10月に確認した時点で最新の「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(2025年10月21日公表)によると、令和6年度末(2025年3月末)現在の美容所は27万7,752施設で、前年度より3,682施設(1.3%)増えています。同じ資料で、理容所は10万7,995施設と、前年度より2,302施設(2.1%)減っています。
| 年度末 | 美容所の数 | 理容所の数 |
|---|---|---|
| 令和2年度(2020年度) | 257,890施設 | 115,456施設 |
| 令和3年度(2021年度) | 264,223施設 | 114,403施設 |
| 令和4年度(2022年度) | 269,889施設 | 112,468施設 |
| 令和5年度(2023年度) | 274,070施設 | 110,297施設 |
| 令和6年度(2024年度) | 277,752施設 | 107,995施設 |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」表4 生活衛生関係施設数の年次推移(各年度末現在)
同じ報告例の統計表4では、令和6年度末の従業美容師の数は58万8,291人です。都道府県別に見ると、美容所が多いのは東京都の2万8,589施設、大阪府の2万929施設、愛知県の1万4,325施設、神奈川県の1万3,095施設、埼玉県の1万1,894施設の順でした。営業の担当範囲を決めるときは、都道府県や市区町村ごとの施設数を見ると、どのくらいの母数があるのかの目安になります。
「施設の数」と「会社の数」は違う
営業リストを作るうえで気をつけたいのは、衛生行政報告例の数字が美容所という施設、つまり店の数だという点です。1つの会社が何店舗も運営していることもあれば、理容所と美容所の両方として開設されている施設(統計表では「理容所美容所重複開設」として再掲され、令和6年度末で381施設)もあります。法人と個人経営の内訳はこの統計からは分からないため、「全国に約28万軒あるから、28万の会社に営業できる」と考えると見込みを誤ります。リストでは店ごとの行と運営する会社の情報を分けて持ち、同じ会社の店に何度も別々に連絡しないようにしておきましょう。
小さな店が多く、経営者の高齢化も進んでいる
厚生労働省の「美容業の振興指針」は、(公財)全国生活衛生営業指導センターの令和5年度の調査をもとに、従業者数5人未満の事業者が86.7%(平成27年度は78.2%)を占め、経営者の年齢は60〜69歳が32.7%、70歳以上が23.4%で、経営者の高齢化が着実に進んでいると書いています。同じ指針は、日本政策金融公庫の調査(令和5年7〜9月期)で、美容業の経営上の問題点が多い順に「顧客数の減少」51.6%、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」32.4%、「客単価の低下」21.7%だったこと、別の調査(令和4年10〜12月期)で従業員が「不足」と答えた割合が26.2%だったことも紹介しています。
こうした数字は、営業の切り口を考える材料になります。客数の減少に悩む店には集客の支援が、人手が足りない店には求人や業務を減らす仕組みが話題になりやすいでしょう。一方で、小さな店が多いということは、店主がスタイリストとして一日中施術に立ち、営業の電話やメールに目を通す時間が限られている店が多いということでもあります。この点は第5章で詳しく取り上げます。
3 個人経営のサロンと多店舗経営の会社の違い
美容業の振興指針は、住宅地に立地し中高年の経営者による小規模な個人経営の店と、商業地や交通の便がよい場所に立地する比較的新しい店や法人経営の中規模・大規模店が見られるとして、二層分化の傾向を指摘しています。営業リストを作るときも、この2つは分けて考えたほうが進めやすくなります。決める人、連絡の窓口、合う商材、気をつけることがそれぞれ違うからです。
| 項目 | 個人経営のサロン | 多店舗経営の会社 |
|---|---|---|
| 決める人 | 店主(オーナー)本人であることが多い | 経営者や、本部の購買・店舗開発・人事・販促などの担当 |
| 主な連絡の窓口 | 店の電話、ホームページの問い合わせ窓口、郵送 | 会社の代表電話、会社の問い合わせフォーム、取引や採用の窓口 |
| 情報を確かめる場所 | 店の公式ホームページやSNSの公式アカウント | 会社の公式サイトの会社概要・店舗一覧・採用ページ、法人番号 |
| 合いやすい商材 | 1店で決められる材料・機器・集客の支援 | 全店で使う予約や会計の仕組み、採用、内装の標準化 |
| 気をつけること | 店主個人の情報の扱い、施術中の電話 | 店に直接売り込んで本部の方針とずれないようにする |
多店舗経営の会社は「店」と「本部」を分けて記録する
多店舗経営の会社では、店長が決められることと、本部が全店分をまとめて決めることが分かれている場合があります。全店で使う予約の仕組みや決済の端末を、1つの店の店長に案内しても、本部の方針で決められないことは珍しくないでしょう。リストには、会社の行と店の行を分けて持ち、店の行には「運営会社」の列で会社とつなげておきます。連絡はまず会社の公式サイトの問い合わせ窓口や取引の窓口から行い、店への連絡は本部の了解を得てから、という順番にしておくと、相手の社内で話が食い違うことを防げます。
個人経営の店の情報は個人情報にあたりうる
個人経営のサロンを営業リストに入れるときに知っておきたいのが、個人情報との関係です。個人情報保護委員会の「よくある質問(個人向け)」Q1-1は、個人情報とは生きている個人に関する情報で、特定の個人であると分かるもの(他の情報と紐づけることで容易に分かるものを含む)などをいうとしたうえで、法人の情報は個人情報に含まれないが、法人の情報であっても法人の役員等の氏名等の情報は個人情報に含まれる、と説明しています。
同委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、「個人に関する情報」を、氏名や住所などに限らず、ある個人の財産や職種、肩書などの属性に関して事実・判断・評価を表すすべての情報としています。個人情報に該当する事例として、本人の氏名と連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)を組み合わせた情報や、ホームページやSNSなどで公にされている特定の個人を識別できる情報も挙げられています。
個人経営の店は、法人ではなく店主という一人の個人が営む事業です。この説明に照らすと、店主の氏名はもちろん、店主の氏名と結びついた店の住所や電話番号、店主個人の携帯電話の番号やメールアドレスなどは、個人情報にあたる可能性があります。店名と所在地だけなら当たらない場合もあるでしょうが、あたるかどうかは情報の中身や手元の他の情報との組み合わせで変わるため、営業リストでは「個人経営の店の行は個人情報を含みうる」として扱っておくのが無難です。
個人情報を事業で使う場合、個人情報保護法では、利用目的をできる限り特定すること(第17条)や、取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除いて、速やかに本人に通知するか公表すること(第21条)などが定められています。店のスタイリストの氏名やSNSのアカウントも個人の情報なので、営業に必要でなければリストに入れないようにしましょう。法人の代表者の氏名についても、同委員会のFAQは個人情報に当たると説明しています。名簿の購入や個人情報の線引きは、名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引きで詳しく扱っています。
本記事は公開されている資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。個人情報や営業の方法について判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
4 美容室の営業リストの探し方と、規約の確かめ方
美容室の情報が載っている場所はたくさんありますが、どこから集めてもよいわけではありません。情報の正確さに加えて、その情報をどう使ってよいかという決まりを確かめてから使うことが大切です。主な探し方を、分かることと気をつけることに分けて比べると次のとおりです。
| 探し方 | 分かること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 店・会社の公式ホームページ | 店名、運営会社、所在地、電話、営業時間、定休日、予約の方法、メニュー、採用情報、営業お断りの表示 | 1軒ずつ見る手間がかかる。ホームページを持たない店もある |
| 予約サイト・地図サービス | エリアごとの店の顔ぶれ、営業時間 | 掲載情報の利用や大量の取得は利用規約で禁じられていることがある |
| 企業データベース | 業種・地域・規模などで絞り込んだ会社の一覧と連絡先 | 載っていない店もある。情報は使う前に公式の情報で確かめる |
| 国税庁の法人番号公表サイト | 法人の商号・所在地・法人番号 | 電話番号や業種は含まれない。個人経営の店は載らない |
店の公式ホームページで確かめる
いちばん確かな情報源は、店や運営会社が自ら出している公式ホームページです。店名と所在地、電話番号のほか、営業時間や定休日、予約の受け付け方、得意なメニュー、スタッフの募集の有無など、営業の判断に使える情報がそろっています。とくに見落とさないようにしたいのが、問い合わせの欄に「営業・勧誘のご連絡はご遠慮ください」といった表示があるかどうかです。この表示がある店は、リストに残す場合でも「連絡しない」と記録しておきます。
予約サイトや地図サービスは、規約を先に読む
美容室の予約サイトや地図サービスには多くの店が載っていますが、そこに載っている情報をどう使ってよいかは、サービスごとの利用規約で決まっています。たとえば株式会社リクルートの「HOT PEPPER Beauty ヘア/ HOT PEPPER Beauty キレイ利用規約」(2026年10月に確認、附則の最後の改訂・適用は2023年11月23日)は、利用者の禁止事項(第5条)として、掲載美容院・掲載サロンの掲載情報等を著作権法で認められる引用の範囲を超えて同社の事前の承諾なく使用することを禁じ、同社の承認した以外の方法でサービスを利用する行為や、サービスを商用目的で利用する行為も挙げています。
地図サービスも同じです。Googleの「Google マップ / Google Earth 追加利用規約」(最終更新日 2025年6月4日)は、禁止行為として、許可されている場合を除くコンテンツのコピー、コンテンツの大量ダウンロード、コンテンツの一括フィードの作成を挙げています。予約サイトや地図は、1軒ずつ店の場所や営業時間を確かめる参考にとどめ、画面の情報をまとめて写し取ったり、プログラムで自動的に集めたりして名簿にする使い方は避けるのが無難です。ほかのサービスを使う場合も、それぞれの規約を読んでから判断してください。
企業データベースで会社を絞り込む
多店舗経営の会社や、法人として運営されているサロンを探すなら、企業データベースが向いています。業種や地域、規模で絞り込んだ一覧を作れるので、1軒ずつホームページを探して回る時間を減らせます。ただし、どのデータベースにもすべての店が載っているわけではなく、AIが付けた分類や推測が外れていることもあります。使う前に公式ホームページで事業内容と連絡先を確かめる手順は、データベースを使う場合も省けません。企業データベースとAIの使い分けは、AIで営業リストを作る方法|ChatGPTの注意点と企業データベースの使い分けで詳しく比べています。
法人番号公表サイトで会社の実在を確かめる
国税庁の法人番号公表サイトでは、法人の商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号の「基本3情報」が公表されています。運営会社の正式な社名と所在地を確かめるのに使えますが、電話番号や業種は含まれておらず、法人ではない個人経営の店は載りません。多店舗経営の会社の行を作るときに、法人番号を一緒に記録しておくと、社名の表記ゆれや重複を整理しやすくなります。
5 営業中に電話しないための連絡の考え方
美容室への営業でいちばん気をつけたいのが、連絡のタイミングと手段です。第2章で見たとおり、美容業は従業者数5人未満の事業者が86.7%を占めています。小さな店では、店の電話に出るのは施術中のスタイリスト本人ということも少なくないと考えられます。カットやカラーの途中で手を止めて営業の電話に出てもらうことは、お客様を待たせることにもつながり、店にとっては大きな負担です。
曜日や時間帯は決め打ちせず、店が出している情報に従う
「美容室には何曜日の何時に電話すればよい」と一律に決められる根拠のある資料は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。美容業の振興指針も、営業者に対して立地条件と経営方針に照らした営業日と営業時間の見直しを促しており、営業日や営業時間は店ごとに違うものと考えたほうが確かです。電話をかけるなら、まず店のホームページで営業時間・定休日・予約の受付時間を確かめ、店が示している連絡のルールに合わせます。店の電話は、お客様からの予約や問い合わせを受ける大切な窓口でもあるので、長い説明は電話で済ませず、資料を送る許可をもらう程度にとどめるのが相手への配慮です。
電話以外の手段も比べて選ぶ
| 手段 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 短い確認や、資料を送ってよいかの問い合わせ | 施術中の可能性。名乗りと目的を先に伝え、断られたら再び連絡しない |
| 問い合わせフォーム | 店や会社が問い合わせの窓口としてフォームを設けている場合 | 営業お断りの表示がないか。予約専用の入力欄に営業の文面を送らない |
| メール | 多店舗経営の会社の取引窓口など、メールアドレスが公表されている場合 | 特定電子メール法の同意や表示のきまりに沿う |
| 郵送(ダイレクトメール) | 手の空いたときに読んでもらいたい案内 | 宛名は店名と役職にとどめ、送付を断られたら止める |
店の公式アカウントがあるSNSのメッセージで営業したくなる場面もあるかもしれませんが、SNSのサービスにもそれぞれ利用規約があります。予約や来店の相談のための窓口を営業に使うことになるので、送る前に規約と店の案内をよく確かめてください。フォームを使う場合の文面の組み立て方は、フォーム営業の文面テンプレート3パターン:構成・ABテスト・注意点で解説しています。
電話で営業するときの特定商取引法の考え方
特定商取引法は、電話勧誘販売について、勧誘に先立って事業者の氏名(名称)などを告げること(第16条)や、契約を締結しない意思を表示した人への勧誘の継続や再勧誘を禁止すること(第17条)などを定めています。ただし、契約が「営業のために若しくは営業として」締結されるものは適用除外とされています(第26条第1項第1号)。
この点について、消費者庁と経済産業省の通達「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和6年11月19日)は、適用除外は契約の目的・内容が営業のためのものである場合という趣旨で、契約の相手方が事業者や法人であれば一律に除外されるわけではないと説明しています。一見事業者名で契約していても、購入する商品や役務が事業用というより主として個人用・家庭用に使うためのものであった場合は原則として適用され、実質的に廃業していたり事業の実態がほとんどない零細事業者の場合は適用される可能性が高い、とも書かれています。個人経営のサロンへの営業では、売る物が店の営業のための物かどうかで扱いが変わりうるということです。どちらの場合でも、最初に会社名と自分の名前、用件を伝えること、断られた店には二度とかけないことを、社内のきまりにしておきましょう。
メールで営業するときの特定電子メール法
総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」によると、広告や宣伝のためのメールは、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送ることができます(特定電子メール法第3条)。例外として、インターネットでメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人への送信などが挙げられていますが、アドレスと一緒に広告宣伝のメールを送らないよう求める文言を公表している場合は、この例外にあたりません。送信者の氏名・名称などの表示(第4条)や、受信を拒否した相手に送らないことも定められています。メールでの営業の進め方はメールDM営業の成功法則:開封率・返信率を最大化するリスト選定と配信テクニックもあわせてご覧ください。
なお、営業屋のアポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のツールで、フォームで届かない場合はメール窓口へ自動で切り替えます。紹介ページでは、「営業お断り」と書かれたフォームには送らず、一度断られた相手はNGリストで自動的に外すと説明しています。料金は月額3,000円(税込)とフォーム送信成功1件3円で、送信の失敗とメールでの補完は0円です。フォーム送信成功50件までは、クレジットカードを登録せずに無料で試せます。
6 美容室の営業リストに入れる列
美容室の営業リストは、会社向けの一般的なリストに、店ならではの列を足すと使いやすくなります。次の表は、列の例とその使い道、確かめる場所をまとめたものです。すべてを埋める必要はないので、自社の商材と連絡の手段に合わせて選んでください。
| 列 | 何に使うか | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 店名 | 連絡の宛先、重複の確認 | 店の公式ホームページ |
| 運営会社名・法人番号 | 同じ会社の店をまとめる、本部の窓口につなぐ | 会社概要のページ、法人番号公表サイト |
| 経営の形 | 「個人経営」「法人・1店舗」「多店舗の本部」「多店舗の店」で連絡の仕方を分ける | 会社概要、店舗一覧 |
| 店舗数 | 全店向けの商材の対象を選ぶ | 会社の店舗一覧 |
| 所在地(都道府県・市区町村) | 担当地域の割り振り、訪問の計画 | 店の公式ホームページ |
| 電話番号 | 電話での連絡(店の番号か会社の番号かを区別) | 店・会社の公式ホームページ |
| 問い合わせフォームのURL | フォームでの連絡(予約用の画面とは分ける) | 公式ホームページの問い合わせのページ |
| メールアドレスと知った経緯 | メールでの連絡と特定電子メール法の確認 | 公式ホームページ |
| 営業時間・定休日・予約の受付時間 | 連絡のタイミングを決める | 店の公式ホームページ |
| 予約の窓口 | 予約や会計の仕組みを売る会社の手がかり | 公式ホームページの予約の案内 |
| 力を入れているメニュー | 材料や機器の提案の切り口 | メニューのページ |
| 採用の状況 | 求人・人材サービスの手がかり | 採用ページ |
| 新店・改装の知らせ | 内装や機器の提案の時期 | お知らせのページ |
| 営業お断りの表示 | 連絡しない店を確実に外す | 問い合わせのページ、会社概要 |
| 個人情報を含むかの印 | 個人経営の店の行や氏名の列を、決めた目的の範囲で扱う | 自社で判断して記録 |
| 情報の出どころ・確かめた日 | 情報の古さの見直し、出典の記録 | 自社で記録 |
| 連絡の記録・断られた記録 | 同じ店への重ねての連絡を防ぐ | 自社で記録 |
この中でとくに大切なのは、下の3つの記録の列です。美容室は店の数が多いぶん、同じ会社の別の店や、別の担当者が以前に断られた店へ気づかずに連絡してしまうことが起こりがちです。断られた記録は担当者ごとに持たず、社内の1つのリストにまとめて共有しましょう。重複をなくす作業のやり方は、名寄せ・データクレンジングのやり方|営業リストの重複をなくす手順で紹介しています。
7 美容室の営業リストを作る手順
ここまでの内容を、実際にリストを作る順番に並べ直すと次のようになります。最初から件数を追うより、少ない件数で一度回してみて、列や連絡の手段を直してから広げるほうが、手戻りを減らせます。
- 1商材に合う相手を決める
個人経営のサロン向けか、多店舗経営の会社向けか、その両方かを決めます。第1章の表の「手がかり」から、自社の商材にとって連絡する理由になる列を選びます。 - 2地域と件数の目安を決める
衛生行政報告例の都道府県別の施設数などを参考に、担当する地域と、1か月に連絡できる件数から逆算した目標の件数を決めます。 - 3使ってよい情報源から候補を集める
店や会社の公式ホームページ、企業データベースなど、使い方の決まりを確かめた情報源から候補を集めます。予約サイトや地図サービスは規約を読み、1軒ずつ確かめる参考にとどめます。 - 4店と会社を分けて整理する
運営会社名と法人番号を手がかりに、同じ会社の店をまとめます。多店舗経営の会社は、本部の窓口の行を別に作ります。 - 5公式ホームページで中身を確かめる
営業時間・定休日・予約の受付時間、連絡先、営業お断りの表示を確かめ、確かめた日を記録します。お断りの表示がある店は「連絡しない」とします。 - 6個人情報の扱いを決める
個人経営の店の行や、代表者・店主の氏名の列は、利用目的を決めて、その範囲で使います。営業に要らないスタッフの氏名やSNSのアカウントは入れません。 - 7少ない件数で連絡し、結果をリストに戻す
手段とタイミングを決めて少ない件数から連絡し、返事の有無や断られた記録をリストに書き戻します。結果を見て列や文面を直してから件数を増やします。
営業リスト全体の作り方や、作ったリストを見直す観点は、【2026年最新】営業リストの作り方完全ガイド|成果を出す15のチェックリストでも解説しています。電話を中心に進める場合は、テレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点も参考になります。
8 連絡する前のチェックリスト
リストができたら、連絡を始める前に次の項目を確かめておきましょう。1つでも当てはまらない店は、いったん連絡を保留にして、足りない情報を確かめてから進めます。
- 店名・所在地・連絡先を、店や会社の公式ホームページで確かめたか
- 予約サイトや地図サービスの情報を、規約で禁じられた方法で写し取っていないか
- 個人経営か、法人の1店舗か、多店舗経営の会社の店かを区別したか
- 多店舗経営の会社では、本部の窓口と店の行を分け、同じ会社に重ねて連絡しないようにしたか
- 店主や代表者の氏名などの個人情報を、決めた利用目的の範囲で扱う準備ができているか
- 「営業・勧誘のご連絡はご遠慮ください」といった表示がないかを確かめたか
- 営業時間・定休日・予約の受付時間を確かめ、施術中に長い電話をしない段取りにしたか
- 電話では最初に会社名・名前・用件を伝え、断られたら再び連絡しないきまりを決めたか
- メールを送る場合、特定電子メール法の同意や例外、送信者の表示、受信拒否の扱いを確かめたか
- 情報の出どころと確かめた日、連絡の記録と断られた記録の列があり、社内で共有されているか
9 リスジェネで美容室向けのリストを作るとき
営業屋のAI営業リスト作成ツール「リスジェネ(ListGene)」は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作るツールです。企業の検索と一覧の閲覧は無料で、CSVでダウンロードするときだけ1件3円からの従量課金、初期費用と月額費用はかかりません。美容室向けのリストに使うときは、次のような流れになります。
- 1言葉で探す
企業名・事業概要・採用情報などを横断して探すフリーワード検索や、業種・地域・特徴を普段の言葉で入力できるAI検索に、「美容室」「ヘアサロン」などの言葉を入れて探します。AI検索は1日50回まで無料です。取引先の企業のURLや企業名を入れると、似た会社も探せます。 - 2業種と地域で絞り込む
詳細条件の「大分類」「詳細業種」と、都道府県・市区町村で絞り込みます。美容に関する会社がどの分類に入っているかは、検索画面の選択肢と検索結果で確かめてください。取引形態(B2B・B2C)でも絞り込めます。 - 3規模や採用の状況で絞る
従業員数・資本金・売上高などからAIが5段階で判定した企業規模ランクや、採用状況(採用中)、採用職種での検索、設立年や設立5年以内の新設法人の条件を、商材に合わせて組み合わせます。 - 4連絡の手段に合う項目で絞る
「ダウンロードデータに含まれる項目で絞り込む」で、電話番号・問い合わせフォーム・メールアドレスなどを持つ企業に絞り込めます。問い合わせフォーム・電話・メール・FAXの保有状況からAIが判定した推奨アプローチチャネルも使えます。 - 5無料で中身を確かめてから選ぶ
見つかる件数や顔ぶれは条件によって変わります。検索結果の閲覧は無料なので、狙いどおりの会社が出ているかを確かめてから、必要な会社だけを選びます。トップページのサンプルCSVで、列の中身を先に見ておくこともできます。 - 6必要な分だけダウンロードし、記録の列を足す
決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。表計算ソフトなどに取り込み、第6章の表にある営業時間・営業お断りの表示・連絡の記録などの列を足してから使い始めます。
リスジェネのデータについて
リスジェネの企業情報は、各企業が自社のWebサイトで公開している法人情報をもとに整理したもので、掲載情報の削除を希望する企業のための掲載情報の削除依頼の窓口も設けています。美容室のように店の数が多い業種では、データベースに載っていない店もあるため、個人経営の小さな店まで広く当たりたい場合は、店の公式ホームページで確かめる作業と組み合わせてください。企業規模ランクや推奨アプローチチャネルのようにAIが判定した項目は推測を含むので、連絡の前には事業内容と連絡先を確かめ、営業お断りの表示がある会社は対象から外すことをおすすめします。代表者名のような個人の氏名を含む場合は、第3章で触れた個人情報保護法の考え方に沿って扱ってください。
10 よくある質問
Q.美容室の営業リストは無料で作れますか?
A.作れます。店の公式ホームページを1軒ずつ見て、店名・所在地・電話番号・問い合わせの窓口・定休日などを書き写していけば費用はかかりません。法人として運営されている店であれば、国税庁の法人番号公表サイトで会社名と所在地も確かめられます。ただし、予約サイトや地図サービスの情報をまとめて写し取る使い方は、それぞれの利用規約で禁じられていることがあるので、先に規約を読んでください。リスジェネなら企業の検索と一覧の閲覧は無料で、必要な分だけ1件3円からダウンロードできます。
Q.全国に美容室はいくつありますか?
A.厚生労働省の「令和6(2024)年度衛生行政報告例」によると、令和6年度末(2025年3月末)現在の美容所は27万7,752施設で、前年度より3,682施設(1.3%)増えています。この数は施設、つまり店の数であって、会社の数ではありません。1つの会社が複数の店を運営していることもあるため、営業リストでは店と運営する会社を分けて記録すると整理しやすくなります。
Q.個人経営の美容室の情報は個人情報になりますか?
A.なりうる、と考えて扱うのが無難です。個人情報保護委員会は、法人の情報は個人情報に含まれない一方で、法人の役員等の氏名などの情報は個人情報に含まれると説明しています。個人経営の店は法人ではなく店主という個人が営む事業なので、店主の氏名や、氏名と結びついた連絡先は個人情報にあたる可能性があります。あたるかどうかは情報の中身や扱い方によって変わるため、利用目的を決めて公表するなど、個人情報保護法に沿って扱っておくと安心です。なお、この回答は法律相談ではありません。
Q.美容室に営業の電話をかけるのは何時ごろがよいですか?
A.どの店にも当てはまる正解はありません。厚生労働省の「美容業の振興指針」によると、従業者数5人未満の事業者が86.7%(令和5年度の調査)を占めており、電話に出るのが施術中のスタッフ本人ということも少なくないと考えられます。まず店のホームページで営業時間・定休日・予約の受付時間と、営業の電話を断る表示がないかを確かめ、電話よりも手の空いたときに読める問い合わせフォームや郵送を選ぶことも検討してください。
Q.リスジェネで美容室の営業リストは作れますか?
A.リスジェネでは、業種(大分類・詳細業種)、都道府県・市区町村、取引形態などで絞り込めるほか、フリーワード検索やAI検索に「美容室」のような言葉を入れて探すこともできます。見つかる件数や顔ぶれは条件によって変わるので、無料の検索と一覧の閲覧で中身を確かめてから、必要な分だけ1件3円でダウンロードしてください。決済の最低額の関係で、ダウンロードは17件からです。
この記事のポイント
- 美容室に売られる商材は、材料・設備・予約や会計の仕組み・求人・集客・内装など幅広く、商材ごとにリストで見る手がかりが違う
- 令和6年度末の美容所は27万7,752施設(厚生労働省「衛生行政報告例」)。店の数であって会社の数ではないので、店と運営会社を分けて記録する
- 個人経営のサロンと多店舗経営の会社では、決める人も窓口も違う。個人経営の店の情報は個人情報にあたりうるとして扱う
- 予約サイトや地図サービスは規約を読み、まとめて写し取らない。公式ホームページや企業データベースから作り、公式の情報で確かめる
- 小さな店が多いので、営業中の長い電話を避け、店の示すルールと営業お断りの表示に従い、断られた記録を社内で共有する
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