テレアポは違法?電話営業の法律
特定商取引法・個人情報保護法の考え方
この記事の3つの要点
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消費者に電話して契約を勧めると、特定商取引法の「電話勧誘販売」にあたり、名乗りと目的の明示、断った人への再勧誘の禁止、書面の交付、クーリング・オフなどのきまりがかかります。営業のために結ぶ契約には同法が適用されませんが、相手が事業者なら一律に外れるわけではなく、個人事業主や小さな会社では消費者と同じ扱いになる場合があります。
- 2
会社名・所在地・代表番号のような法人の情報は個人情報にあたりませんが、代表者や担当者の氏名などは個人情報にあたります。名簿業者から個人の情報を含む名簿を買うこと自体は禁止されていないものの、取得の経緯の確認と記録が必要で、名簿業者がオプトアウトの届出をしているかを個人情報保護委員会のサイトで確かめる必要があるとされています。
- 3
「結構です」「今後の電話は不要です」と言われたら、その日のうちに断りの内容を記録して社内で共有し、かけ直さないのが基本です。相手の営業時間内にかけ、名乗りと用件を最初に伝えるという配慮を、法人あての電話でも同じ考え方で続けることが、長く続けられるテレアポの土台になります。
新しい取引先を開拓しようと電話営業を始めるとき、「知らない会社にいきなり電話するのは違法ではないのか」「買ったリストや名簿に載っている番号にかけてよいのか」と不安になる方は少なくありません。先に結論を言うと、会社あてに電話で営業すること自体を一般に禁じる法律は見当たらず、直ちに違法とは言い切れません。ただし、誰にかけるのか、どんなリストを使うのか、断られたあとにどうするのかによって、特定商取引法や個人情報保護法のきまりがかかる場面があります。この記事では、消費者庁の「特定商取引法ガイド」と「特定商取引に関する法律の解説」、個人情報保護委員会のガイドラインやQ&Aといった公的な資料の原文をもとに、電話勧誘販売のきまり、法人あての取引の扱い、個人事業主に電話するときの注意、テレアポリストと名簿業者の考え方、断られたあとの記録の付け方までを順に整理します。
テレアポは違法か|かかるきまりは「誰に・何を使って・どうかけるか」で変わる
「テレアポ 違法」と調べると、「違法ではない」という説明と「違法になる」という説明の両方が見つかり、かえって迷ってしまうことがあります。これは、電話営業に関わる法律が一つではなく、電話をかける相手、使うリストの中身、かけ方によって、関係するきまりが変わるためです。会社あてに電話で営業すること自体を一般に禁じる法律は見当たらないものの、場面によっては守らなければならないきまりがあり、守らなければ行政処分などの対象になることもあります。
場面ごとに関係する主なきまりを先に並べておきます。表の右の列は、電話をかける前に社内で確かめておきたいことです。それぞれの中身は、この後の章で順に説明します。
| 場面 | 関係する主なきまり | 確かめること |
|---|---|---|
| 消費者(個人)に電話して、商品やサービスの契約を勧める | 特定商取引法(電話勧誘販売) | 名乗りと目的の明示、断った人に勧誘を続けない、契約したら書面を渡す |
| 会社に、業務で使う商品やサービスを勧める | 特定商取引法の適用除外(営業のための取引) | 契約の目的と中身が事業用か |
| 個人事業主や小さな会社に電話する | 事業用か、個人用・家庭用かで扱いが分かれる | 勧める商品が、主に誰のどんな用途に使われるか |
| 代表者名や担当者名、個人の携帯番号を含むリストを使う | 個人情報保護法 | 利用目的、取得の仕方、安全な管理 |
| 名簿業者から個人の情報を含む名簿を買う | 個人情報保護法(適正な取得、確認・記録義務) | 名簿業者の届出、取得の経緯、記録の保存 |
| 不動産など、業種ごとに勧誘のきまりがある商品を扱う | 業種ごとの法令(例:宅地建物取引業法施行規則) | 自社の業界の勧誘のきまり |
「違法かどうか」だけで判断しない
法律に触れないことと、相手に迷惑をかけないことは同じではありません。法人あてで特定商取引法が適用されない電話でも、断った相手に何度もかければ相手の仕事を止めることになり、苦情や会社の評判の悪化につながります。この記事では、法律のきまりを確かめたうえで、法人あての電話でも同じ考え方で守りたい運用もあわせて整理します。なお、問い合わせフォームを使った営業の法律の考え方は、「フォーム営業は違法?利用規約・特商法・個人情報保護法の正しい理解」で別に整理しています。
消費者にかける電話は「電話勧誘販売」|特定商取引法の主なきまり
消費者庁の「特定商取引法ガイド」は、電話勧誘販売を、事業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引と説明しています。電話の中で申込みを受けた場合だけでなく、電話をいったん切ったあとに消費者が郵便や電話などで申し込んだ場合でも、電話での勧誘によって購入の意思が決まったのであれば電話勧誘販売にあたるとされています。また、勧誘のためであることを告げずに電話をかけるよう求めるといった方法で、消費者のほうから電話をかけさせて勧誘した場合も含まれます。
電話勧誘販売には、守らなければ行政処分の対象になる行政のきまりと、消費者が契約をやめられるといった契約の効力に関わる民事のきまりがあります。同ガイドの説明をもとに、主なものを表にまとめます。
| きまり | 中身の要点(消費者庁「特定商取引法ガイド」より) |
|---|---|
| 氏名等の明示(第16条) | 勧誘に先立って、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品(権利、役務)の種類、契約の締結について勧誘する目的である旨を告げる |
| 再勧誘の禁止(第17条) | 契約を締結しない意思を表示した者に対して、勧誘を続けることや、再び勧誘することを禁止 |
| 書面の交付(第18条・第19条) | 申込みを受けたときや契約を結んだときに、販売価格、支払いの時期と方法、クーリング・オフに関する事項などを書いた書面を渡す |
| 前払式の通知(第20条) | 代金を先に受け取り、商品をすぐに渡せないときは、申込みの承諾の有無などを書面で知らせる |
| 禁止行為(第21条) | 事実と違うことを告げる、故意に事実を告げない、威迫して困惑させるといった行為の禁止 |
| クーリング・オフ(第24条) | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができる |
| 過量販売の解除(第24条の2) | 通常必要とされる量を著しく超える契約は、契約締結後1年間は申込みの撤回や解除ができる(特別の事情があったときを除く) |
| 取消し(第24条の3) | 事実と違うことを告げられて誤認した場合などに、申込みや承諾の意思表示を取り消せる |
勧誘の前に告げる4つのこと
第16条で告げるべきとされているのは、事業者の氏名(名称)、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品などの種類、そして契約の締結について勧誘する目的であることの4つです。消費者庁の「特定商取引に関する法律の解説」は、この規定の趣旨を、相手が勧誘を受けるか拒否するかを判断する最初の重要な機会を確保することにあると説明し、少なくとも相手の契約の意思の形成に影響を与える行為を始める前に告げなければならないとしています。アンケートのお願いのように切り出して、途中から商品の話に移るような電話は、この趣旨に沿いません。
「いりません」「結構です」と言われたら勧誘を続けない
第17条の「契約を締結しない旨の意思を表示」について、同じ解説は、相手が「いりません。」「関心がありません。」「お断りします。」「結構です。」「間に合っています。」などと、明示的に契約の意思がないことを示した場合を挙げています。そのうえで、電話勧誘販売では、応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど、黙示的に意思を示したと考えられる場合もあたるとし、勧誘されている商品について「その商品はいりません」と示す場合のほか、「一切取引を行うつもりはありません」という意思を示した場合も含まれるとしています。本条の違反には罰則は定められていませんが、主務大臣による指示や業務停止命令などの対象になると説明されています。
深夜早朝や長時間の電話は「迷惑を覚えさせる仕方」にあたりうる
特定商取引法の省令(第64条第1号)は、電話勧誘販売の契約の締結について「迷惑を覚えさせるような仕方」で勧誘することなどを、指示の対象となる行為の一つとして定めています。解説は、客観的にみて相手が迷惑を覚えるような方法であればよく、実際に迷惑と感じることは必要ではないとしたうえで、深夜早朝や長時間の電話勧誘、職場への電話勧誘などは、相手が承諾している場合などを除いて、これにあたる場合が多いと考えられるとしています。
「職場への電話勧誘」が挙げられている点は、会社あてに電話する営業でも覚えておきたいところです。会社の代表番号にかけていても、従業員個人に、個人として使う商品や投資などを勧めるのであれば、相手は消費者として電話を受けていることになり、電話勧誘販売のきまりを意識する必要があります。
違反したときの扱い
同ガイドによると、行政のきまりに違反した事業者は、業務改善の指示、業務停止命令、役員等の業務禁止命令などの行政処分の対象になるほか、一部は罰則の対象にもなります。業務停止命令を出したときは、その旨を公表しなければならないとも定められています(第23条第3項)。電話の一本一本は小さなやりとりでも、勧誘のしかたが問題になれば、会社の名前とともに処分の事実が知られることになります。
会社あての電話営業と特定商取引法|「営業のため」の取引は適用除外
では、会社に電話して、業務で使う商品やサービスを勧める場合はどうでしょうか。消費者庁の「特定商取引法ガイド」は、適用除外(第26条)として、「営業のため、又は営業として締結するもの」には特定商取引法が適用されないとしています。同法は、取引に不慣れな消費者との間でトラブルが多い販売の形を対象にした法律であり、事業者どうしの営業のための取引は、原則としてこの法律の外にあるという整理です。
「特定商取引に関する法律の解説」は、「営業のために若しくは営業として」とは商行為に限られず、通常、事業や職務の用に使うために購入したり、役務の提供を受けたりする場合はこれにあたると説明しています。会社の総務部に業務用の機器の保守を案内する、営業部に営業支援のサービスを紹介するといった典型的な法人向けのテレアポは、この適用除外にあたると整理されることが多いでしょう。
相手が事業者なら一律に外れる、というわけではない
注意したいのは、この適用除外が「相手が会社なら関係ない」という意味ではない点です。同じ解説は、この規定の趣旨は契約の目的・内容が営業のためのものである場合に適用しないというものであって、契約の相手方の属性が事業者や法人である場合を一律に適用除外とするものではないと明記しています。そのうえで、一見事業者名で契約を行っていても、購入する商品や役務が事業用というより主として個人用・家庭用に使うためのものであった場合は原則として規定が適用されるとし、実質的に廃業していたり、事業の実態がほとんどなかったりする零細事業者の場合には、適用される可能性が高いとしています。
国会での質問に対する政府の答弁書(平成20年10月10日、参議院議員の質問主意書に対するもの)も、電話機などのリースの訪問販売をめぐる質問に対し、平成17年12月6日の通達改正で明確化したとおり、訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売で契約者が事業者である場合を一律に適用除外としているわけではなく、契約の目的・内容が営業のためのものである場合を除いて適用の対象としている、と答えています。
個人事業主や小さな会社に電話するときの目安
個人事業主や家族で営む小さな会社は、事業者であると同時に、暮らしの場と仕事の場が重なっていることも多い相手です。どのような場合に消費者と同じ扱いになるかは、勧める商品や役務の中身、相手の事業との関係といった事実によって判断されるため、一律の線は引けません。次の表は、考え方を整理するための想定ケースです。
| 想定ケース | 考え方の目安 |
|---|---|
| 製造業の会社の購買担当に、工場で使う消耗品を勧める | 事業の用に使うための取引で、適用除外と整理されることが多い |
| 個人で営む飲食店の店主に、店の予約管理の仕組みを勧める | 店の営業に使うものなら事業用と考えやすいが、中身や使い方によって変わる |
| 自宅で営む個人事業主に、家庭でも使う機器を「事業用」として勧める | 主として個人用・家庭用に使うものであれば、原則として規定が適用される |
| ほとんど営業していない零細事業者に、事業用として契約を勧める | 事業の実態がほとんどない場合は、適用される可能性が高い |
| 会社の代表番号から従業員個人につないでもらい、個人向けの商品を勧める | 相手は消費者として勧誘を受けており、電話勧誘販売のきまりを意識する |
| 副業を始めたい個人に、稼ぐための教材を勧める | お金を稼ぐ意思があることだけで「営業のため」に直ちにあたるわけではない |
最後の例について、消費者庁の「訪問販売等の適用除外に関するQ&A」は、電話で勧誘されて情報商材を買った消費者の例を挙げ、「営業のために若しくは営業として締結するもの」にあたるかは、取引の種類、消費者が行おうとする利益活動との関連性や目的、必要な設備などを準備しているかといった事情を踏まえ、その消費者が取引に習熟していると認められるかどうかを総合的に検討する必要があるとしています。法人向けのつもりでかけた電話でも、相手と商品の組み合わせによっては消費者向けのきまりがかかりうる、と考えておくのが安全です。個別の事案での当てはめは事実関係によって変わるため、判断に迷う場合は弁護士などの専門家に確かめてください。
適用除外でも、同じ考え方で名乗り、断られたらやめる
法人あての営業で特定商取引法が適用されない場合でも、電話の最初に会社名と自分の名前、営業の案内であることを伝え、断られたらかけ直さないという運用は、そのまま続ける価値があります。受付で用件をぼかしたり、知り合いのふりをしたりすれば、つながったあとに信頼を失います。名乗りと目的を先に伝えれば、相手は取り次ぐかどうかをすぐに判断でき、互いの時間を無駄にせずに済みます。受付への伝え方や下調べの工夫は、「アポイント獲得率を上げる12の改善ポイント【BtoB】」でも整理しています。
テレアポリストと個人情報保護法|会社の情報と担当者の情報を分けて考える
テレアポリストに何を載せるかによって、個人情報保護法との関わり方も変わります。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、法人その他の団体は「個人」にあたらないため、法人等の団体そのものに関する情報は個人情報にあたらない一方、役員や従業員等に関する情報は個人情報にあたると説明しています。
| リストの列 | 扱いの目安 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 会社名・所在地・法人番号 | 法人そのものの情報 | 表記ゆれをそろえ、重複や断りの記録との照合に使う |
| 会社の代表電話番号・FAX番号 | 法人の連絡先 | 今も使われている番号かを確かめる |
| 代表者名・役員名 | 個人情報にあたる | 登記やホームページで公表されていても保護の対象 |
| 担当者の氏名・部署・役職 | 個人情報にあたる | 利用目的の特定と、取得したときの通知や公表 |
| 担当者の直通番号・個人の携帯番号 | 氏名と同じ行に記録すれば、氏名とあわせて個人情報として扱う | 本当に必要かを考え、集めない選択も検討する |
| 架電の記録(話した相手・断りの内容) | 担当者の氏名と結びつけば個人情報を含む | 安全に管理し、利用する必要がなくなったら消すよう努める(第22条) |
公表されている名前でも個人情報として扱う
「ホームページや登記で公開されている名前だから自由に使ってよい」と考えがちですが、個人情報保護委員会のQ&A(Q1-5)は、公知の情報であっても、利用目的や他の個人情報との照合など取扱いの態様によっては個人の権利利益の侵害につながるおそれがあることから、既に公表されている情報も他の個人情報と区別せずに保護の対象としている、と説明しています。代表者名を受付で伝える目的で載せる場合も、個人情報を扱っているという前提で管理しましょう。
担当者名を入れるなら守ること
担当者の氏名などをリストに入れて事業に使う場合は、利用目的をできる限り特定し(第17条)、偽りその他不正の手段で取得せず(第20条)、取得したときは、あらかじめ公表している場合を除いて速やかに利用目的を本人に通知するか公表し(第21条)、漏えいなどを防ぐために必要で適切な措置を講じる(第23条)ことが求められます。自社のプライバシーポリシーで、営業のご案内に使うことをどう示しているかを確かめておきましょう。
個人の携帯番号は「集めない」ことも選択肢
個人情報保護委員会のQ&A(Q1-4)は、メールアドレスについて、ユーザー名やドメイン名から特定の個人を識別できる場合はそれだけで個人情報にあたり、それ以外の場合も、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるときは、その情報とあわせて全体として個人情報にあたることがあると説明しています。電話番号も、担当者の氏名と同じ行に記録していれば、氏名とあわせて個人情報として扱っておくのが安全です。
法人あてのテレアポは、会社の代表番号から受付を通して担当の部署につないでもらうのが基本の形です。個人の携帯番号まで集めると、管理の手間と漏えいのリスクが増えるうえ、受け取った相手に「どこで番号を知ったのか」という不安を与えることにもなります。代表番号を中心にしたリストで足りるのであれば、個人の連絡先は最初から載せないという選択も検討してください。
名簿業者のリストは違法?|名簿屋が成り立つ仕組みとオプトアウト届出
「名簿業者は違法ではないのか」「名簿屋はなぜ合法なのか」と疑問に思う方が多いのは、本人の知らないところで名前や連絡先が売り買いされていることへの違和感からでしょう。まず、法人の名称・所在地・代表番号のような法人そのものの情報だけで作られたリストであれば、先に見たとおり個人情報保護法の「個人情報」にはあたりません。問題になるのは、代表者名や担当者名、個人の住所や電話番号など、個人の情報を含む名簿です。
名簿を買うこと自体は禁止されていない
個人情報保護委員会のQ&A(Q4-2)は、名簿業者から個人の名簿を購入すること自体は禁止されていないとしたうえで、購入に際しては適正取得(第20条第1項)や、第三者提供を受ける際の確認・記録義務(第30条)が適用される点に留意する必要があるとしています。具体的には、相手方が個人データを取得した経緯などを確認・記録する必要があり、その結果、相手方が不正の手段で取得したことを知り、または容易に知ることができたにもかかわらず取得した場合は、第20条第1項に違反するおそれがあるとしています。さらに、平成27年改正の施行(平成29年5月30日)以降は、一般的に名簿業者はオプトアウト規定による届出が必要になったため、個人情報保護委員会のホームページで、その名簿業者が届出をしていることを確かめる必要があると解される、と説明しています。
名簿屋が成り立つ仕組み|オプトアウトによる第三者提供
個人情報保護法は、個人データを第三者に渡すときは、原則としてあらかじめ本人の同意を得なければならないと定めています(第27条第1項)。その例外の一つが、オプトアウトによる第三者提供です(同条第2項)。本人の求めに応じて提供を停止することにしたうえで、提供する個人データの項目、取得の方法、提供の方法、本人の求めを受け付ける方法などを、あらかじめ本人に通知するか本人が容易に知り得る状態に置き、個人情報保護委員会に届け出れば、本人の同意がなくても第三者に提供できるという仕組みです。
ガイドライン(通則編)も、オプトアウトによる第三者提供の事例として、住宅地図業者や、ダイレクトメール用の名簿などを作成・販売するデータベース事業者が、必要な事項を自社のホームページに常時掲載して本人からの停止の求めを受け付けられる状態にし、委員会に届出を行ったうえで販売する場合を挙げています。名簿業者が商売として成り立っているのは、この届出の制度に沿って運営されている限り、本人の同意のない提供が法律で認められているためです。裏を返せば、届出をせず、停止の求めを受け付ける仕組みも持たないまま個人の名簿を売ることは、この制度の外にあるということになります。
ただし、オプトアウトで提供できる個人データには限りがあります。病歴などの要配慮個人情報に加え、2022年4月1日からは、不正に取得された個人データと、他の事業者からオプトアウトで提供を受けた個人データも、オプトアウトでは提供できなくなりました(個人情報保護委員会「オプトアウト規定により第三者に提供できる個人データの限定」)。同じ改正で、届出の事項に事業者の氏名・住所等や「第三者に提供される個人データの取得の方法」などが加わり、提供をやめたときにも委員会に届け出ることになりました。
名簿業者はどこから情報を得ているのか
名簿業者がどこから情報を集めているかは、届出の事項である「取得の方法」として個人情報保護委員会が公表しており、委員会のサイトの「オプトアウト届出書検索」で事業者ごとに確かめられます。委員会が届出事業者を対象に行った「オプトアウト届出事業者に対する実態調査」(令和5年2月27日から3月20日に実施、届出事業者として登録のある法人・個人162先が対象、回収120件・回収率74.1%)の報告書には、個人データの取得の方法として、次のような回答が抜粋されています。
- インターネット上で公開されている情報からの取得
- 官公庁が各種法令・制度に基づき公開している情報の閲覧
- 市販されている電話帳・新聞・雑誌・書籍の購入
- 商業登記の全部事項証明書に記載されている情報(代表者の氏名や役員の氏名など)
- パートナー企業であるデータベース取扱事業者からの取得
同じ委員会の注意喚起(令和5年4月26日)は、この調査を踏まえて、提供するデータの適正な取得や、提供元がオプトアウト届出事業者かどうかの確認を求めています。また、令和4年4月1日から令和5年1月31日までにオプトアウトでの提供実績がある届出事業者のうち、約3割から提供先に対する本人確認手続などを実施していないとの回答があったとして、身分証明書の提示依頼や法人の実在性の確認などを行うよう呼びかけています。
名簿を買う前と受け取るときに確かめること
| 確かめること | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 名簿業者の届出 | 個人情報保護委員会のサイトで、オプトアウトの届出をしているかを確かめる | 委員会Q&A(Q4-2) |
| 提供元の情報 | 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名 | 第30条第1項第1号 |
| 取得の経緯 | どこから、どのように集めた情報か。契約書や、提供元が公表している説明で確かめる | 第30条第1項第2号 |
| 記録の作成 | 提供を受けた年月日、提供元、取得の経緯、本人を特定する事項、データの項目、委員会により公表されている旨(オプトアウトで受け取る場合) | 第30条第3項・規則第24条 |
| 記録の保存 | 記録の作り方によって1年または3年 | 第30条第4項・規則第25条 |
| 不正取得の疑い | 不正に集めたと知り、または容易に知ることができる名簿は受け取らない | 第20条第1項 |
「第三者提供時の確認・記録義務編」のガイドラインは、委員会により公表されていない事業者からオプトアウトで個人データの提供を受けた場合は、不正の手段による取得(第20条第1項)にあたるおそれがあるとしています。個人の携帯番号付きのように、どこから集めたのか説明のつかない情報を売りにする名簿は、とくに慎重に扱いましょう。名簿や営業リストを買うときの考え方は、「名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引き」と「営業リストはどこで買う?購入の相場・リスク・自作との比較」でも整理しています。
2026年7月に公布された改正にも目を向ける
個人情報保護法については、2026年7月17日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。個人情報保護委員会の概要資料によると、オプトアウトによる第三者提供について提供先の身元と利用目的の確認を義務化することや、詐欺行為などで個人情報を不正に取得する行為に罰則を設けることなどが盛り込まれており、施行は原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内とされています。政令や規則、ガイドラインの整備はこれから進むため、名簿を扱う場合は委員会の発表を確かめながら運用を見直してください。
「電話お断り」と言われたら|断りの記録の付け方と時間帯の配慮
テレアポでいちばん避けたいのは、断られた相手に、社内の別の担当者が知らずにまたかけてしまうことです。消費者への電話勧誘販売であれば再勧誘の禁止(第17条)に触れるおそれがあり、法人あてで特定商取引法が適用されない場合でも、相手の仕事を何度も止めることになります。
個人情報保護法の面でも、担当者個人の情報を使っている場合は無関係ではありません。ガイドライン(通則編)は、本人の権利または正当な利益が害されるおそれがあるとして利用停止等が認められると考えられる事例として、電話勧誘を受けた本人が停止を求める意思を示したにもかかわらず、事業者が電話勧誘を繰り返し行っていることから、本人が利用停止等を請求する場合を挙げています。また、電話勧誘をやめたあとに本人が消去を求めた場合も、利用する必要がなくなったとして利用停止等が認められる事例に挙げられています。
断りの記録に残す項目
| 項目 | 書く内容 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 日時 | 断りを受けた日と時刻 | いつから架電の対象から外したかの確認 |
| 相手 | 会社名と、電話に出た人の部署や役割(受付・担当者など) | 誰の判断で断られたかの確認 |
| 断りの範囲 | 「この商品は不要」「今後の営業電話は一切不要」「この番号には電話しないでほしい」など | どこまで外すかの判断 |
| 相手の言葉 | できるだけそのままの言い回しで | 社内での解釈の食い違いを防ぐ |
| 案内された連絡方法 | 「用件はフォームで」「資料は郵送で」など | 指定された方法に切り替える |
| 記録した人と共有日 | 記録した担当者と、社内の断りの一覧(NGリスト)に移した日 | 共有漏れの防止 |
断りの範囲を分けて書くのは、消費者庁の解説が、特定の商品について「その商品はいりません」と示す場合と、「一切取引を行うつもりはありません」と示す場合を分けて挙げているように、断りの言葉によって外すべき範囲が変わるからです。迷ったときは広く外す側に倒し、「今後の電話は不要」と言われた会社は、扱う商品が変わってもかけない会社として扱うのが安心です。
断りの記録は社内で一つにまとめる
部署ごと、担当者ごとに別々のリストを持っていると、断りの記録が共有されません。架電の記録は一つの一覧にまとめ、かける前に照合する決まりにしておきましょう。照合の鍵には、表記がゆれやすい会社名よりも、法人番号や会社の代表電話番号を使うと漏れが少なくなります。断られた会社の一覧は、リストを作り直すときにも捨てずに引き継ぎます。営業屋が公開している「フォーム営業マナー基準v1を公開|迷惑にしない10のチェックリスト」でも、過去にお断りの意思を示した企業へ送らない仕組みを項目の一つに挙げており、電話でも考え方は同じです。
電話をかける時間帯の配慮
法人への電話は、相手の営業時間内にかけるのが前提です。そのうえで、始業直後や昼休み、終業間際のように相手が慌ただしい時間は避けると、話を聞いてもらえる余地が広がります。消費者への電話勧誘販売では、先に見たとおり、深夜早朝や長時間の電話は「迷惑を覚えさせるような仕方」にあたる場合が多いとされています。どの時間帯がつながりやすいかは業種や会社によって違うため、架電の時刻と結果を記録に残し、自社のデータで確かめていくのが確実です。
業種によっては、特定商取引法とは別に、業法で勧誘のしかたが決められていることもあります。たとえば宅地建物取引業法施行規則(第16条の11)は、宅地建物取引業者が契約の締結を勧誘する際に、勧誘に先立って商号や名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘の目的を告げずに勧誘すること、契約を締結しない意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を示した相手に勧誘を続けること、迷惑を覚えさせるような時間に電話することなどを禁じています。自社の業界にこうしたきまりがないかも、あわせて確かめておきましょう。
テレアポをかける前のチェックリスト|リスト・名乗り・断りの記録
ここまでの内容を、電話をかける前に確かめる項目としてまとめます。リストを作るとき、かける直前、電話の最中、電話のあとに分けておくと、担当者が替わっても同じ確かめ方を続けられます。
| いつ | 確かめること | 関係するきまり・考え方 |
|---|---|---|
| リストを作るとき | 相手は会社か、個人事業主か、消費者か | 特定商取引法の適用除外(第26条) |
| リストを作るとき | 代表者名・担当者名・個人の携帯番号などを載せるか。載せるなら利用目的を示しているか | 個人情報保護法第17条・第21条 |
| リストを作るとき | 買った名簿なら、名簿業者の届出と取得の経緯を確かめて記録したか | 個人情報保護法第20条・第30条 |
| かける直前 | 社内の断りの一覧(NGリスト)と照合したか | 特定商取引法第17条(消費者の場合)、相手の意思の尊重 |
| かける直前 | ホームページに「営業電話はお断り」「問い合わせはフォームのみ」などの表示がないか | 相手の意思の尊重 |
| かける直前 | 相手の営業時間内か、慌ただしい時間帯ではないか | 省令第64条(消費者の場合)、マナー |
| 電話の最初 | 会社名、自分の名前、営業の案内であること、用件を先に伝えたか | 特定商取引法第16条(消費者の場合)と同じ考え方 |
| 電話の最中 | 勧める商品は相手の事業に使うものか、主に個人用・家庭用ではないか | 特定商取引法の適用の判断 |
| 電話の最中 | 事実と違う説明や、相手を困らせる言い方をしていないか | 特定商取引法第21条(消費者の場合) |
| 電話のあと | 断られたら、日時・範囲・言葉を記録し、その日のうちに共有したか | 再勧誘の防止、個人情報の利用停止等への対応 |
消費者を相手にする事業で、電話で契約まで進める場合は、このほかに書面の交付やクーリング・オフへの対応が必要になります。消費者向けの電話勧誘販売を行う場合は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」と条文を確かめ、必要に応じて専門家に相談したうえで、社内の手順を整えてください。
迷ったときの考え方:まず「相手が誰で、勧めるものを何に使うのか」を確かめ、そのうえで「名乗る・目的を告げる・断られたらやめる・記録して共有する」の4つを、法人あてでも消費者あてでも同じように続けることが、法律のきまりを守るうえでも、相手との信頼を保つうえでも近道です。
フォーム営業やメールと組み合わせるときの法律の考え方
電話でつながらなかった相手や、「用件はフォームで」と案内された相手には、問い合わせフォームやメールで連絡することもあります。電話とフォーム営業の向き不向きは「テレアポ vs フォーム営業を徹底比較!獲得単価・効率・成果の違いと使い分け【2026年版】」で比べていますが、連絡の手段を変えると関係する法律も変わる点に気をつけましょう。
広告や宣伝のためのメールには特定電子メール法がかかり、原則としてあらかじめ同意した相手にしか送れず、送信者の氏名または名称や受信拒否の連絡先などの表示が必要です。総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」は、同意なしに送れる場合の一つとして、自分のメールアドレスをインターネットで公表している者(個人の場合は営業を営む場合に限る)に送る場合を挙げていますが、アドレスの公表とあわせて広告宣伝メールを送らないよう求める旨が公表されている場合は、同意なく送ることはできないとしています。
問い合わせフォームを使う場合は、各サイトの利用規約や「営業お断り」の表示が関わります。どの手段で連絡した場合も、テレアポリストの記録の列に「フォーム送信済み」「メール送付済み」と残しておけば、別の担当者が別の手段で重ねて連絡してしまうことを防げます。
会社の代表番号を中心にしたリストを作るなら|リスジェネの使い方
最後に、当社の企業データベースをご紹介します。営業屋のリスジェネ(ListGene)は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作れるツールです。企業情報の検索と閲覧は無料で、ダウンロードするときだけ1件3円がかかり、17件から購入できます。初期費用と月額費用はかかりません。
紹介ページでは、「推奨チャネル:テレアポ」「電話番号あり」で絞り込めば、電話をかけるためのリストを作れると案内しています。リスジェネのデータ収集ポリシーは、企業が自社のWebサイトで公開している法人の情報と、国税庁の法人番号公表サイトなどの公的なデータをもとにデータベースを構成していると説明しています。そのうえで、代表者名などの一部の項目は個人情報にあたりうるとして、公開情報からの適正な取得であることの確認、削除依頼への対応、利用目的の明示を行うとしています。
ダウンロードしたリストに代表者名などの列が含まれる場合は、本記事で説明したとおり、自社でも個人情報として利用目的を示し、安全に管理してください。リストを手にしたあとも、社内の断りの記録との照合、名乗りと目的の明示、断られたらかけ直さないという運用は、ご利用になる会社自身で行っていただく必要があります。テレアポリストの列の決め方や架電記録の付け方は、「テレアポリストの作成方法|無料の集め方・作成ツール・AI活用の注意点」で詳しく説明しています。
まとめ:会社あてに電話で営業すること自体を一般に禁じる法律は見当たりませんが、消費者に電話して契約を勧めれば特定商取引法の電話勧誘販売のきまりがかかり、相手が個人事業主や小さな会社でも、勧めるものが主に個人用・家庭用であれば同じ扱いになる場合があります。リストでは会社の情報と代表者・担当者など個人の情報を分け、名簿業者から個人の情報を含む名簿を買うなら、届出と取得の経緯を確かめて記録しましょう。そして、名乗る・目的を告げる・断られたらやめる・記録して共有するという基本を、法人あての電話でも続けることが大切です。
ご注意:本記事は、消費者庁・個人情報保護委員会・総務省などの公的な資料と条文をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。記事中の資料の内容は2026年10月に確認したものです。
よくある質問(FAQ)
Q.テレアポは違法ですか?
A.会社あてに電話で営業すること自体を一般に禁じる法律は見当たらず、直ちに違法とは言い切れません。ただし、消費者に電話して契約を勧める場合は特定商取引法の電話勧誘販売のきまり(名乗りと目的の明示、断った人への再勧誘の禁止、書面の交付、クーリング・オフなど)がかかり、担当者名などを含むリストを使う場合は個人情報保護法が関わります。本記事は法律相談ではないため、個別の判断は専門家にご相談ください。
Q.会社あての電話営業にも、特定商取引法のクーリング・オフはありますか?
A.特定商取引法は、営業のため、または営業として結ぶ契約には適用されないとしているため(第26条)、会社が業務で使う商品やサービスの契約は、原則としてクーリング・オフなどの対象外と整理されます。ただし、相手が事業者であれば一律に外れるわけではなく、事業者名での契約でも、主として個人用・家庭用に使うものであれば原則として同法が適用されると、消費者庁の解説は説明しています。
Q.個人事業主に電話するときは、何に気をつければよいですか?
A.勧める商品やサービスが、相手の事業に使うものか、主として個人用・家庭用に使うものかを確かめることです。消費者庁の解説は、実質的に廃業していたり、事業の実態がほとんどなかったりする零細事業者の場合には特定商取引法が適用される可能性が高いとしています。名乗りと目的を最初に伝え、断られたらかけ直さないという、消費者向けと同じ運用をしておくと安心です。
Q.名簿業者から買ったリストで電話してもよいですか?
A.法人の名称や代表番号だけのリストであれば、個人情報保護法の個人情報にはあたりません。代表者名など個人の情報を含む名簿を買うこと自体も禁止されていませんが、個人情報保護委員会は、名簿業者が個人データを取得した経緯などを確認・記録する必要があること、名簿業者がオプトアウトの届出をしているかを委員会のホームページで確かめる必要があることを示しています。不正に集めたと知り、または容易に知ることができる名簿は使わないでください。
Q.「電話はお断り」と言われた会社に、別の担当者や別の商品でかけ直してもよいですか?
A.かけ直さないのが基本です。消費者への電話勧誘販売では、契約しない意思を示した人への勧誘の継続や再勧誘が禁止されており、消費者庁の解説は「一切取引を行うつもりはありません」という意思を示した場合も含まれるとしています。法人あてで同法が適用されない場合でも、断りの日時・範囲・言葉を記録して社内で共有し、別の担当者が重ねてかけないようにしましょう。
会社の代表番号を中心に、条件で絞ったリストを作る
リスジェネ(ListGene)は、AIが分析した100万社超の企業データベースから、業種・地域・規模などで絞り込んで営業リストを作れるツールです。
企業情報の検索・閲覧は無料で、ダウンロードは1件3円(17件から)。初期費用・月額費用はかかりません。
※ 代表者名など個人の情報を含む項目を使う場合は、利用目的の明示や安全な管理を自社でも行ってください。電話のかけ方や断りの記録の運用は、ご利用になる会社自身で行っていただく必要があります。