営
営業屋Sales Innovation
Expert Insight PUBLISHED: 2026.10.13

営業メールの一斉送信は違法?
特定電子メール法の同意・例外・表示義務

この記事の3つの要点

  • 1

    営業メールを一斉に送ること自体を直接禁じる条文はありませんが、会社あての営業メールも、広告・宣伝のためのメールであれば特定電子メール法の「特定電子メール」にあたり、原則として、あらかじめ同意した相手にしか送れません(同法第3条第1項)。同意がなくても送れるのは、名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手、取引関係にある相手、アドレスをインターネットで公表している団体や営業を営む個人などに限られます。

  • 2

    公表されているアドレスでも、アドレスと一緒に「広告メールお断り」のような、広告・宣伝のメールを送らないよう求める文言が公表されていれば、公表アドレスの例外にはあたらず、同意やほかの例外がなければ送れません(同法施行規則第3条)。送る場合は、送信者の正式な名称、受信拒否の連絡先とその旨、住所、苦情や問い合わせの受付先をメールに表示し(同法第4条)、拒否されたら以後は送らないことが求められます(同法第3条第3項)。

  • 3

    同意のない送信や表示の漏れは、まず総務大臣と内閣総理大臣の措置命令の対象となり、命令に従わないと1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人は3,000万円以下の罰金)が科され得ます。送信者情報を偽った送信には、命令を経ずに同じ罰則があります。消費者向けの通信販売の広告メールには特定商取引法のきまりも重なるため、両方の違いを押さえておきましょう。

営業メールを一斉送信する前に、特定電子メール法の同意や例外を確かめる関門を通し、広告メールお断りの会社には送らないことを表したイメージ

新規開拓にメールを使おうとすると、会社の代表アドレスに営業メールを一斉に送るのは違法なのか、ホームページに載っているアドレスなら送ってよいのか、メールの最後に何を書かなければならないのかと、いくつもの疑問が出てきます。営業メールのきまりの中心になるのは、迷惑メール対策のための特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)で、送ってよいかどうかは「一斉に送るかどうか」よりも、相手の同意や例外にあたるか、拒否の表示がないか、必要な表示をしているか、拒否されたら止めているかで決まります。この記事では、e-Gov法令検索で確かめた現行の条文と、総務省・消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」などの公的な資料をもとに、法律の対象、同意と3つの例外、公表アドレスと「広告メールお断り」の表示の扱い、表示義務と受信拒否、罰則、特定商取引法との違いを順に整理し、最後に送る前のチェックリストをまとめます。

結論|営業メールの一斉送信は「誰に・どう送るか」で違法かどうかが分かれる

結論から言うと、営業メールを一斉に送ることそのものを禁じる条文があるわけではありません。特定電子メール法が営業メールについて主に決めているのは、広告や宣伝のためのメール(特定電子メール)を誰に送ってよいか、メールに何を表示しなければならないか、そして拒否された相手にはそれ以降送らないこと、です。1通ずつ手で送っても、配信の道具でまとめて送っても、このきまりは同じようにかかります。

ただし、措置命令について定めた同法第7条は、「一時に多数の者に対してする」特定電子メールの送信を典型的な場面として挙げていて、ガイドライン(28ページ)は、1回の操作で広い範囲の相手に無差別かつ大量にメールを送る場合などを想定していると説明しています。一斉送信は、きまりを守れていないときの影響が大きくなりやすい送り方だと考えておくとよいでしょう。判断の要になるのは、次の4つの点です。

確かめる点中身条文
同意相手があらかじめ送信に同意しているか、同意の記録を残しているか第3条第1項第1号・第2項
例外同意がない場合に、名刺など書面での通知・取引関係・アドレスの公表のどれかにあたるか第3条第1項第2号〜第4号
表示送信者の名称、受信拒否の連絡先とその旨、住所、苦情・問い合わせの受付先を表示しているか第4条、施行規則第7条・第9条
拒否受信拒否の連絡を受けた相手に送っていないか第3条第3項

この記事で拠った資料

条文は、e-Gov法令検索で2026年10月12日に確かめた現行のもの(特定電子メール法は2025年6月1日施行の改正まで、同法施行規則は2020年12月15日施行の改正まで反映された版)によります。考え方の説明には、総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」(平成23年8月)、総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(2018年7月版)、消費者庁「特定商取引法ガイド」、一般財団法人インターネット協会の「改正迷惑メール対策法に関するQ&A」(2008年の改正のころの資料)を使い、どの資料のどこに拠ったかを本文の中で示しています。法律の当てはめは事実関係によって変わるため、個別のケースの判断は専門家に確かめてください。

特定電子メール法の対象|会社のメールアドレスあての営業メールも含まれる

特定電子メール法は2002年7月1日に施行され(同法施行規則の附則)、2008年12月1日に施行された改正で、取引関係などの場合を除き、あらかじめ同意した相手にだけ広告や宣伝のメールを送れる「オプトイン方式」が導入されました(総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」の解説)。まずは、どのようなメールがこの法律の対象になるのかを確かめます。

「特定電子メール」とは何か

同法第2条第2号は、営利を目的とする団体と、営業を営む場合の個人を「送信者」とし、その送信者が自己または他人の営業について広告や宣伝を行うための手段として送るメールを「特定電子メール」と定めています。会社が自社の商品やサービスを案内する営業メールは、典型的な特定電子メールです。ガイドライン(1ページ)は、広告や宣伝のウェブサイトへ誘導することが送る目的に含まれるメールも特定電子メールにあたるとしているので、本文で売り込みをしていなくても、サービスの紹介ページへのリンクに誘う形の営業メールは対象になると考えておきましょう。

法人・会社のメールアドレスあてでも対象になる

第2条第2号の定義は、受け取る側を個人に限っていません。ガイドライン(18ページ)も、ウェブサイトでアドレスを公開している事業者に事業者向けの広告・宣伝メールを送ることを前提にして、後で説明する「公表アドレス」の例外を設けた理由を説明しています。インターネット協会のQ&Aも、平成17年の改正以降は事業者向けのメールも規制の対象としていると説明しています。法人あてだから、会社のメールアドレスあてだから対象外、ということにはならない点に注意が必要です。

特定電子メールにあたらないメール

一方でガイドライン(1〜2ページ)は、取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせのように、広告や宣伝の内容を含まず、広告のウェブサイトへの誘導もしないメールや、広告を含まない単なる時候の挨拶は、特定電子メールにあたらない場合があるとしています。政治団体・宗教団体・NPO法人・労働組合などの非営利団体が送るメールも、特定電子メールにはあたらないとされています。ただし、事務連絡の形をとっていても、新しいサービスの案内やそのページへのリンクが入っていれば広告・宣伝の手段と見られうるので、挨拶だけのつもりで迷うメールは、特定電子メールとして扱っておくほうが安全です。

問い合わせフォームからの送信との関係

フォーム営業でよく聞かれるのが、ホームページの問い合わせフォームに入力して送る場合も同法の対象になるのか、という点です。同法の「電子メール」は総務省令で定める通信方式を用いるものと定義されていて(第2条第1号)、フォームへの入力と送信は形が違うため、同法の直接の対象ではないと解説されることが多く、インターネット協会のQ&Aも、現行法ではフォームは電子メールにあたらないとしたうえで、常識の範囲で判断すべきだとしています。ただ、整理が分かれる面もあるため、本記事では断定しません。

はっきりしているのは、フォームで届かなかった会社にメールで送る場合や、フォーム営業への返信で知ったアドレスにその後も広告のメールを送る場合は、メールの送信として本記事で説明するきまりがかかることです。フォーム営業の法律面の論点は「フォーム営業は違法?利用規約・特商法・個人情報保護法の正しい理解」で、送る側が守りたいマナーは「フォーム営業マナー基準v1を公開|迷惑にしない10のチェックリスト」で整理しています。

原則は同意(オプトイン)|同意がなくても送れる3つの例外

同法第3条第1項は、次に挙げる相手以外には特定電子メールを送ってはならないと定めています。第1号があらかじめ同意した相手で、第2号から第4号が、同意がなくても送れる例外です。

送れる相手条文どんな相手か気をつける点
同意した相手第3条第1項第1号あらかじめ、送信を求める旨か、送信に同意する旨を送信者などに知らせた相手同意を証する記録の保存が必要(第3条第2項)
書面でアドレスを知らせた相手同第2号・施行規則第2条名刺などの書面で、自分のアドレスを送信者などに知らせた相手知らせる方法は原則として書面
取引関係にある相手同第3号広告・宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある相手新規開拓の相手は通常あたらない
アドレスを公表している相手同第4号・施行規則第3条アドレスをインターネットで公衆が見られる状態にしている団体、営業を営む個人アドレスと一緒に拒否の文言があれば例外にあたらない

同意をもらったら、同意の記録を残す

同意をもらって送る場合は、同意があったことを証する記録を保存しなければなりません(第3条第2項)。施行規則第4条と総務省「法律のポイント」によると、保存するのは、アドレスごとに同意を受けた時期や方法などの状況を示す記録で、同意を求めるときに書面やメール、ウェブサイトの定型の文面を示していた場合は、アドレスの一覧と、その定型の文面の記録でもよいとされています。保存期間は、その記録に係るメールを最後に送った日から1か月(措置命令を受けた場合は1年間)です。インターネット協会のQ&Aは、サイトの「個人情報の取り扱い」に広告メールを送ると書いておくだけでは同意を得たことにならないとし、分かりやすい場所で明示的に説明して、本人の意思で同意してもらうよう求めています。資料請求やセミナーの申込みの画面で同意をもらうなら、同意の欄と、同意した日時が残る仕組みを用意しておきましょう。

名刺など書面でアドレスを知らせてもらった場合

第3条第1項第2号の通知の方法は、施行規則第2条で原則として書面とされています。ガイドライン(15ページ)は、名刺などの書面でアドレスを知らせた側には、そこからメールが送られてくることについて一定の予測可能性があると考えられるためだと説明しています。展示会や商談で交換した名刺のアドレスは、この例外にあたりうるということです。ただ、インターネット協会のQ&Aは、名刺の交換は所属や連絡先を示すためのもので、自由に使ってよいという意味ではないとして、十分な配慮を求めています。名刺を受け取った場面と日付を記録しておき、送る内容もその接点に関係のあるものにしておくと安心です。

取引関係にある相手

ガイドライン(17ページ)は、「取引関係にある者」を、社会通念上、明示の拒否がなければ広告・宣伝メールが送られることを許容していると認められるような社会関係にある者と説明しています。継続的に取引している相手が典型で、一度の購入だけでは必ずしも継続的な関係にあるとは言えないものの、以後の取引が予定されている場合には取引関係にあるといえる場合もあるとしています。これから取引を始めたい新規開拓の相手は、通常この例外にはあたりません。

アドレスを公表している団体・営業を営む個人

会社のメールアドレスに営業メールを送る場面でいちばん関わるのが、第3条第1項第4号の例外です。施行規則第3条は、公表の方法を、自分のアドレスをインターネットを利用して公衆が閲覧できる状態に置く方法としています。ガイドライン(18ページ)は、この例外を設けた理由として、ウェブサイトなどでアドレスを公開している事業者にビジネス向けの広告・宣伝メールを送ることは事業者間で実際に行われ、ビジネス慣習上も一定の範囲で認められていると考えられること、そもそもアドレスの公表は基本的にメールを受け取るために行われるものであることを挙げています。個人の場合は営業を営む人に限られるため、個人の私的なアドレスは、どこかに載っていてもこの例外にはあたりません。

営業メールを、同意・取引関係・公表アドレスの関門の順に通し、広告メールお断りの表示がある相手では送信を止める特定電子メール法の考え方を表した図
同意か例外にあたるかを確かめ、拒否の表示があれば送らない

公表アドレスでも「広告メールお断り」の表示があれば例外にならない

公表アドレスの例外には、大切なただし書きがあります。施行規則第3条は、自分のメールアドレスと併せて、特定電子メールの送信をしないように求める旨の文言をインターネットで公衆が閲覧できる状態に置いたときは、この限りではない、つまり例外にあたる「公表」にはならないと定めています。会社のホームページに代表アドレスが載っていても、その近くに広告メールを断る表示があれば、公表アドレスの例外を理由に送ることはできません。同意をもらうか、名刺などの書面での通知や取引関係といったほかの例外にあたらない限り、そのアドレスには広告・宣伝のメールを送れないということです。

どのような表示が「拒否の文言」にあたるか

ガイドライン(19ページ)は、拒否の表示について、広告・宣伝メールを送らないよう求めることを目的とし、はっきり拒否する意思表示だと分かる用語を、アドレスの直前や直後など、公表するアドレスと併せて表示することが適当だとしています。用語の例として挙げられているのは、「特定電子メール」「広告メール」「宣伝メール」「迷惑メール」などの文字と、「拒否」「お断り」「送信しない」などの文字を組み合わせたものです。インターネット協会のQ&Aも、アドレスのすぐそばに広告・宣伝メールを送らないよう求める記述がある場合などは、広告・宣伝メールを送ってはいけないと説明しています。

アドレスの近くの表示(例)扱いの目安
「広告メールお断り」「宣伝メールの送信はお断りします」ガイドラインの例にあたる組み合わせ。公表アドレスの例外にあたらず、同意やほかの例外がなければ送れない
「迷惑メール・特定電子メールの送信を拒否します」同じく例にあたる組み合わせ。同意やほかの例外がなければ送れない
「営業目的のご連絡はご遠慮ください」(問い合わせページの注意書きなど)ガイドラインの例とは言い回しが違い、法律上の扱いは本記事では断定しない。相手が営業の連絡を望んでいないことは明らかなので、メールも送らない側に倒す
表示なし公表アドレスの例外にあたりうる。表示はあとから加わることもあるため、送る前に確かめ直す

なお、ガイドラインは、このような表示をしても、単なる私信など特定電子メールにあたらないメールまで送れなくなるわけではないとしています。拒否の表示は、あくまで広告・宣伝のメールについての意思表示です。

「公表」は、その会社が自分で公開したアドレスに限られる

インターネット協会のQ&Aは、「公開されている」とは本人の意思で公開していることが大前提で、本人が意図しない形でインターネット上に見えているアドレスは公開とはみなされないと説明しています。名簿のサイトや、他社がまとめた一覧に載っていたアドレスは、その会社が自分で公表したものとは限りません。営業リストのアドレスは、相手の会社の公式サイトのどのページに載っていたかまで確かめ、そのページのURLと確かめた日を残しておくと、後から説明できます。名簿やリストを買って使う場合の個人情報保護法の線引きは、「名簿業者・営業リストの購入は違法?個人情報保護法で見る線引き」で整理しています。

会社のメールアドレスに営業する前に見ておく場所

拒否の文言はアドレスのすぐそばに書かれていることが多いものの、問い合わせページの注意書きや、サイトポリシー、利用規約に書かれていることもあります。送る前に、アドレスが載っているページのアドレスの前後、問い合わせページ、サイトのポリシーや規約を見て、広告メールを断る表示や営業お断りの表示がないかを確かめ、結果を記録しておきましょう。表示はあとから加わることもあるので、リストを作った日と送る日が離れているときは、送る直前に見直すと安心です。インターネット協会のQ&Aが述べているように、アドレスを公開する理由は連絡や受付をスムーズにするためで、自由に使ってよいという意味ではありません。違法かどうかだけでなく、相手が不快に感じないかという目でも判断したいところです。

営業メールに書かなければならないこと|表示義務と受信拒否

送ってよい相手に送る場合でも、特定電子メールには決まった事項を表示しなければなりません(第4条)。表示する事項と場所は、施行規則第7条・第9条とガイドライン(24〜27ページ)で、次のように定められています。

表示する事項根拠表示する場所
送信者の氏名または名称(送信を委託した場合は、送信に責任を有する者)第4条第1号受信者が容易に認識できる任意の場所
受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL第4条第2号受信者が容易に認識できる任意の場所
受信拒否の通知ができる旨施行規則第9条第1号上の通知先の直前または直後(送ってきたアドレスへの返信で拒否できる場合は、受信者が容易に認識できる任意の場所)
送信者の住所施行規則第9条第2号任意の場所。リンク先でもよいが、その場所を示す情報をメールに表示する
苦情や問い合わせを受け付ける電話番号、メールアドレスまたはURL施行規則第9条第3号任意の場所。リンク先でもよいが、その場所を示す情報をメールに表示する

送信者の名前は正式な名称で、本文の最初か最後に

ガイドライン(27ページ)は、送信者の氏名または名称は正式なものでなければならず、ウェブサイト名やサービス名(「〇〇運営事務局」など)、屋号、ブランド名の表示では送信者名を表示したことにならないとしています。また、表示は受信者に分かりやすいように本文の最初か最後に書くことが推奨され、何度もクリックしないと必要な表示にたどりつかないようなものは表示として不適当だとされています。苦情や問い合わせの受付先は、法令上はメールアドレスかURLだけでもよいものの、可能な場合は電話番号も書くことが推奨されています(26ページ)。

営業メールの末尾に置く表示の例(想定)

【このメールの送信者】株式会社〇〇(正式な会社名)
住所:〒000-0000 東京都〇〇区〇〇1丁目2番3号
お問い合わせ:電話 00-0000-0000/info@example.co.jp
今後このようなご案内が不要な場合は、下記のメールアドレスかURLからお知らせください。以後お送りいたしません。
配信停止:stop@example.co.jp/https://example.co.jp/stop

※ 想定の例です。会社名・住所・連絡先は自社のものに置き換えてください。受信拒否ができる旨は、配信停止の連絡先のすぐ前かすぐ後に置きます。

送信者情報を偽らない

第5条は、送信に使ったメールアドレスや、送信に使った電気通信設備を識別するための符号を偽って特定電子メールを送ることを禁じています。総務省「法律のポイント」は、この送信者情報として、送信に用いたメールアドレス、IPアドレス、ドメイン名を挙げています。後で説明するとおり、これには措置命令を経ずに罰則があります。実在しない差出人アドレスを使う、他社のドメインを名乗るといった送り方は、たとえ届きやすくするためでもしてはいけません。

拒否されたら、それ以降は送らない

同意をもらった相手や例外にあたる相手でも、受信拒否の通知を受けたら、その意思に反して送ってはいけません(第3条第3項)。拒否の通知の方法は、拒否するアドレスを明らかにして、メールの送信その他の任意の方法で行うものとされているので(施行規則第5条)、配信停止のURLからの手続きだけでなく、返信で「今後のご案内は不要です」と伝えられた場合なども、拒否として扱うのが自然です。総務省「法律のポイント」は、後で争いにならないよう拒否の通知を受けた記録を保存するよう勧めていて、ガイドライン(22〜23ページ)は、受信者ごとに異なる停止用のURLを用意するなど、簡単に拒否できる方法を用意することを推奨しています。

拒否の情報は、担当者や部署、配信の道具をまたいで共有しておかないと、別の担当者のリストから同じ会社に送ってしまいます。拒否した会社は社内のNGリストにまとめ、メールだけでなく問い合わせフォームや電話など別の手段でも同じ会社に連絡し続けないよう、送る前に照合する流れを決めておきましょう。

営業メールの本文の末尾に、送信者の名称・住所・問い合わせ先と受信拒否の手段をまとめて表示する特定電子メール法の表示義務を表したイメージ
送信者の名称・住所・問い合わせ先と、受信拒否の手段を本文に表示する

罰則と措置命令|何をすると罰せられるのか

特定電子メール法の罰則は、違反の種類によって、すぐに罰則の対象になるものと、まず措置命令が出され、その命令に従わないと罰則の対象になるものに分かれます。e-Gov法令検索で確かめた現行の条文(第7条・第34条・第35条・第37条)と総務省「法律のポイント」の整理をまとめると、次のとおりです。

違反の内容まず起きること罰則
送信者情報を偽った送信(第5条)命令を待たずに罰則の対象(措置命令の対象にもなる)1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第34条第1号)。法人は行為者を罰するほか、法人に3,000万円以下の罰金(第37条第1号)
同意のない相手への送信(第3条第1項)、拒否した相手への送信(第3条第3項)、表示義務違反(第4条)、架空のアドレスあての送信(第6条)措置命令(第7条。架空のアドレスあての送信は総務大臣による)命令に従わない場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第34条第2号)。法人には3,000万円以下の罰金(第37条第1号)
同意の記録の保存義務違反(第3条第2項)措置命令(第7条)命令に従わない場合、100万円以下の罰金(第35条第1号)。法人にも100万円以下の罰金(第37条第2号)

措置命令は、送信者が第3条や第4条を守っていないと認められ、電子メールの送受信上の支障を防ぐため必要があると認められるときに、総務大臣と内閣総理大臣が、送信の方法の改善に必要な措置をとるよう命じるものです(第7条)。内閣総理大臣のこの法律による権限は、政令で定めるものを除き、消費者庁長官に委任されています(第31条)。

「懲役」ではなく「拘禁刑」になっている

総務省「法律のポイント」(2018年7月版)などの以前からの解説では「1年以下の懲役」と書かれていますが、e-Gov法令検索の現行の条文では、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)により、2025年6月1日から「1年以下の拘禁刑」になっています。古い解説を読むときは、この違いに気をつけてください。

措置命令は実際に出されている

総務省の報道資料(2018年3月13日)には、受信者の同意を得ずに広告・宣伝のメールを送り、同意の記録も保存せず、メールの一部に送信者の名称や受信拒否ができる旨などを表示していなかった事業者に対して、総務省と消費者庁が第7条に基づく措置命令を行った例が載っています。受信した人は、違反と思われるメールについて総務大臣や内閣総理大臣に申し出ることができ(第8条)、一般財団法人日本データ通信協会の迷惑メール相談センターも、違反と思われる広告宣伝メールの情報提供を受け付けています(総務省「法律のポイント」)。罰則に至らなくても、受け取った側の申し出をきっかけに調べられる仕組みがあり、会社の信用にも響くことを覚えておきましょう。

特定商取引法の広告メールのきまりとの違い

広告のメールには、特定電子メール法のほかに、消費者を守るための特定商取引法のきまりもあります。総務省「法律のポイント」は、両者は規制の観点と対象が異なるものの、広告宣伝メールの内容などによっては一部、両方の法律の適用を受ける場合があると説明しています。主な違いを、同資料の比較表と、消費者庁「特定商取引法ガイド」、現行の条文をもとにまとめます。

項目特定電子メール法特定商取引法(通信販売の電子メール広告)
目的電子メールの送受信上の支障の防止消費者保護、取引の公正
対象営利団体や営業を営む個人が送る広告・宣伝のメール全般(事業者あても含む)通信販売などの電子メール広告(販売業者などと、広告を受託した事業者)
同意なしで送れる場合名刺など書面での通知、取引関係、公表アドレスなど相手の請求に基づく場合、契約の内容や履行の通知に付随する場合など。名刺・取引関係・公表アドレスの例外はない
記録の保存最後に送った日から1か月(措置命令を受けた場合は1年間)最後に送った日から3年間
違反したとき送信者情報の偽装を除き、措置命令を経て罰則承諾を得ない電子メール広告そのものに100万円以下の罰金(第72条第1項第2号)。行政処分の対象にもなる
事業者どうし対象になる営業のために、または営業として締結する取引には適用されない(第26条第1項第1号)

消費者庁「特定商取引法ガイド」によると、特定商取引法は、消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送ることを原則として禁じています(第12条の3・第12条の4)。一方で、同法は営業のため、または営業として締結する取引には適用されません(第26条)。インターネット協会のQ&Aも、特定商取引法は原則として事業者間取引の電子メールを対象外とし(連鎖販売取引は対象)、特定電子メール法は事業者向けのメールも対象にしていると説明しています。法人あての営業メールでは特定電子メール法が中心になり、個人の消費者に通信販売の広告を送る場合は両方の法律を確かめる、という整理になります。

個人事業主や、個人のお客様向けの窓口に送るとき

営業先に個人事業主が含まれる場合や、BtoBのつもりで作ったリストに個人のお客様向けの窓口が混ざっている場合は、どちらの法律がどこまでかかるのかの判断が難しくなります。総務省「法律のポイント」は、通信販売などの電子メール広告を個人に対して行う場合には特定商取引法の適用があり、そのメールが通信販売などの電子メール広告であれば、取引関係や名刺の例外にあたる場合でも、請求や承諾なしには送れないと注意しています。相手が事業として窓口を開いているかを確かめ、判断に迷う相手には送らないか、専門家に確かめてから送るようにしましょう。

担当者の名前入りのアドレスは個人情報保護法も関わる

リストのアドレスが担当者の名前入りのアドレスであれば、個人情報保護法も関わります。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、法人そのものに関する情報は個人情報にあたらない一方で、役員や従業員に関する情報は個人情報にあたるとし、メールアドレスだけでも、どの会社の誰のアドレスかが分かるような場合は、特定の個人を識別できる情報の例に挙げています。代表アドレスと担当者個人のアドレスを列で分け、担当者のアドレスは、利用目的の特定や安全な管理といった同法の決まりに沿って扱いましょう。

営業メールを送る前のチェックリスト

ここまでの内容を、送る前に確かめる項目にまとめます。リストの1行ごとに、どの項目をいつ確かめたかを残しておくと、相手から問い合わせを受けたときにも説明しやすくなります。

No.確かめること根拠記録しておくこと
01送るメールは広告・宣伝のためのものか(リンク先での案内を含む)第2条第2号、ガイドライン1ページメールの目的と文面の版
02相手から同意をもらっているか第3条第1項第1号・第2項同意を受けた日時と方法
03同意がない場合、名刺など書面での通知・取引関係・公表アドレスのどれにあたるか第3条第1項第2号〜第4号どの例外か、アドレスを知った経緯
04公表アドレスなら、その会社が自分の公式サイトで公開しているものか施行規則第3条、インターネット協会Q&A載っていたページのURLと確かめた日
05アドレスの直前・直後などに、広告メールや宣伝メールを拒む表示がないか施行規則第3条ただし書、ガイドライン19ページ表示の有無と確かめた日
06サイトに営業お断りの表示や、問い合わせ窓口の利用目的を限る記載がないか相手の意思の尊重、サイトの規約表示の有無と確かめた日
07過去に受信拒否や、お断りの連絡を受けていないか(別の担当者・別の手段も含む)第3条第3項拒否を受けた日と内容
08送信者の正式な名称、受信拒否の連絡先とその旨、住所、苦情・問い合わせ先を本文に入れたか第4条、施行規則第7条・第9条署名のひな形の版
09送信に使うメールアドレスやドメインを偽っていないか第5条送信元のアドレス
10相手が個人の消費者で、通信販売の広告にあたらないか特定商取引法第12条の3・第26条相手の種類(法人・個人事業主・個人)
11担当者の名前入りのアドレスを、個人情報として扱っているか個人情報保護法、通則編ガイドライン利用目的と管理の担当
12拒否を受けたら、全担当者・全手段で止める仕組みがあるか第3条第3項、法律のポイント4ページNGリストへの登録日

リストの列の持ち方は、フォーム営業のリストを例に「フォーム営業リストの作り方|問い合わせフォームURL付き企業リストの手順」で、メールDMのリストの選び方や配信停止の管理は「メールDM営業の成功法則:開封率・返信率を最大化するリスト選定と配信テクニック」で詳しく説明しています。

営業メールを一斉送信する前に、担当者どうしがノートパソコンとチェックリストで同意・拒否の表示・表示義務を確かめている様子
送る前に、同意・例外・拒否の表示・表示義務をチェックリストで確かめる

ご注意:本記事は、条文と官公庁の資料をもとにした一般的な情報の整理であり、法律相談ではありません。法律の解釈や適用は事実関係によって異なるため、個別のケースの判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

フォーム営業と組み合わせるとき|メール窓口への切り替えを使う場合の注意

営業メールを一斉に送る代わりに、問い合わせフォームから1社ずつ連絡するフォーム営業を選ぶ会社もあります。当社のアポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のツールで、紹介ページでは、まずフォームから送り、それでも届かなければサイトに載っているメールアドレスへ自動で切り替えるとしています。

紹介ページには、営業お断りを明記したサイトや「営業お断り」と書かれたフォームには送らないこと、一度断られた相手はNGリストで自動的に外すこと、取引先・既存のお客様・競合などをExcelでアップロードして社名やドメインの単位で自動で除外できること、本文の末尾にオプトアウトのURLを自動で付ける機能を使えることが書かれています。一方で同じページは、本サービスはお客様の責任で利用する自動送信ツールであり、特定電子メール法・個人情報保護法・送り先サイトの利用規約は利用者の側で確認したうえで使うよう案内しています。メール窓口への切り替えを使う場合は、本記事のチェックリストのとおり、公表アドレスの例外にあたるか、アドレスの近くに広告メールを断る表示がないかを確かめ、送信者の正式な名称・住所・問い合わせ先を文面や署名に入れておいてください。

料金は月額3,000円(税込)と、フォーム送信成功1件につき3円(税込)で、送信に失敗した分とメールでの補完は0円です。フォーム送信成功50件までは無料で試せ、お試しにクレジットカードの登録は不要です。契約期間の縛りはありません。送り方のマナーとクレームを防ぐ考え方は、「フォーム営業のマナーと法律を徹底解説|クレームを防ぐ3つの鉄則【2026年版】」もあわせてご覧ください。

まとめ:営業メールの一斉送信は、それだけで違法になるわけではありませんが、会社あての営業メールも特定電子メール法の対象で、原則は同意した相手にだけ送れます。同意がなければ、名刺など書面での通知・取引関係・公表アドレスのどれかにあたるかを確かめ、公表アドレスでも「広告メールお断り」などの表示があれば、その例外は使えません。送るときは送信者の正式な名称、受信拒否の連絡先とその旨、住所、問い合わせ先を表示し、拒否されたら全社で止めます。個人の消費者への通信販売の広告では特定商取引法も確かめ、迷う相手には送らないか、専門家に確かめましょう。

よくある質問(FAQ)

Q.営業メールの一斉送信は違法ですか?

A.一斉に送ること自体を直接禁じる条文はありませんが、広告・宣伝のためのメールは特定電子メール法の対象となり、原則としてあらかじめ同意した相手にしか送れません。同意がなくても送れるのは、名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手、取引関係にある相手、アドレスをインターネットで公表している団体や営業を営む個人などです。送るときは送信者の名称や受信拒否の連絡先などを表示し、拒否されたら以後は送らないことが求められます。本記事は法律相談ではないため、個別の判断は専門家にご相談ください。

Q.会社のホームページに載っている代表アドレスに営業メールを送ってもよいですか?

A.自分の意思でアドレスをインターネットで公表している団体には、同意がなくても広告・宣伝のメールを送れる例外があります(特定電子メール法第3条第1項第4号)。ただし、アドレスと一緒に「広告メールお断り」などの送信を拒む文言が公表されている場合は、この例外にあたりません(同法施行規則第3条)。アドレスの前後や問い合わせページ、サイトのポリシーに拒否の表示や営業お断りの表示がないかを確かめ、確かめた日を記録しておきましょう。

Q.法人あての営業メールは、特定電子メール法の対象外ではないのですか?

A.対象外ではありません。同法の「特定電子メール」の定義は受け取る側を個人に限っておらず、総務省・消費者庁のガイドラインも、事業者どうしの広告・宣伝メールを前提に公表アドレスの例外を説明しています。消費者向けの通信販売の広告を規制する特定商取引法は、営業のために締結する取引には適用されないため、法人あての営業メールでは特定電子メール法が中心になります。

Q.営業メールに書かなければならないことは何ですか?

A.送信者の正式な氏名または名称、受信拒否の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL、受信拒否の通知ができる旨、送信者の住所、苦情や問い合わせを受け付ける電話番号・メールアドレス・URLのいずれかです(特定電子メール法第4条、同法施行規則第9条)。ガイドラインでは、サービス名や屋号、ブランド名だけでは送信者名を表示したことにならないとされているため、正式な会社名を書きましょう。

Q.特定電子メール法に違反すると、すぐに罰則がありますか?

A.送信者情報を偽った送信には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人は3,000万円以下の罰金)の罰則が直接定められています。同意のない相手への送信、拒否した相手への送信、表示義務違反は、まず総務大臣と内閣総理大臣の措置命令の対象となり、その命令に従わない場合に同じ罰則が科され得ます。消費者向けの通信販売の広告メールでは、特定商取引法により、承諾を得ない送信そのものにも罰則があります。

フォームを先に、メールは補完に

問い合わせフォームを先に、届かない会社だけメール窓口へ

アポジェネPROは、AIが1社ずつホームページを読んで文面を書き分け、問い合わせフォームに送るクラウド型のフォーム営業ツールです。フォームで届かなければメール窓口へ自動で切り替えます。
料金は月額¥3,000+フォーム送信成功1件¥3(いずれも税込)。送信に失敗した分とメールでの補完は¥0で、フォーム送信成功50件まで無料で試せます。契約期間の縛りはありません。

ApoGenePROを50件無料で試す

※ お試しにクレジットカードの登録は不要で、カードの登録はお試し後の契約時のみです。メール窓口への送信を含め、特定電子メール法などの確認はご利用者の側で行っていただく必要があります。

営業の常識を、
変える。